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医療法人社団三喜会 鶴巻温泉病院

(神奈川県 秦野市)

出江 紳一 院長

最終更新日:2025/10/30

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回復期、慢性期の多様な医療ニーズに対応

鶴巻温泉駅のすぐそばにある「鶴巻温泉病院」は、「自分の母親が長期療養できるような理想の病院を建てたい」との創設者・荒井喜八郎氏の思いから始まっている。1979年の創設当初から入院患者へのリハビリテーションに力を入れ、現在は回復期リハビリテーション病棟、障害者病棟、特殊疾患病棟、医療療養病棟、緩和ケア病棟、地域包括ケア病棟を備え、介護医療院も併設する多機能な病院へと発展している。急性期病院での治療を終えた患者を受け入れて自宅での生活で必要となる身体機能・体力の回復支援を行うほか、重度の障害者や神経難病の患者の療養、末期がんの患者への緩和ケアなどに幅広く対応可能。在宅療養後方支援病院および救急告示病院として、在宅療養中の患者の一時入院にも対応する。「リハビリスタッフや、さまざまな専門性を持つ看護師、介護職などのスタッフが充実し、生き生きと働いているのも当院の特徴です」と話す出江紳一(いずみ・しんいち)院長に話を聞いた。(取材日2025年10月1日)

多機能病院としての特徴や地域での役割をお聞かせください。

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当院には多様な病棟があり、それぞれ対象とする患者さんや入院目的が異なります。そのため急な病気・ケガを診る急性期医療を除いて、回復期から慢性期までのさまざまな医療ニーズに対応できる点が特徴です。例えば回復期リハビリテーション病棟は、急性期病院で脳梗塞や大腿骨骨折などの治療を受けた患者さんが対象。すぐにご自宅や施設に戻られても体力が十分でなく、日常生活に必要な動作もうまくできない方がほとんどなので、当院に数ヵ月入院していただく間にそれらの回復を図るのが目的です。私は2023年から当院に勤め、2025年10月に院長に就任しましたが、リハビリ関係のスタッフは人数も多く、意欲があって生き生きと働いていると感じます。看護師やソーシャルワーカーをはじめ多職種との連携も緊密で、患者さんが退院されるまでのタイムラインを念頭に、その方の状態やご自宅の環境に合わせてリハビリを行う点もスキルが高いと思います。

その他の病棟はどんな目的があるのですか。

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障害者病棟、特殊疾患病棟、医療療養病棟は、重度の障害のある方や神経難病の患者さん向けの病棟で、ご自宅では難しい医療措置が必要な方でも長期にわたり療養可能です。緩和ケア病棟は主に末期がんの患者さんが入院されますが、受け入れにはまだ余裕がある状態なので、在宅療養中の方などに活用いただければと考えています。地域包括ケア病棟も在宅療養中の患者さんが中心で、容体が急変したときに高齢者救急の役割を担うほか、パーキンソン病で筋力低下が進んでいる患者さんに短期入院していただき、筋力維持のトレーニングを行うといった「リハビリ入院」にも対応します。2019年に院内に併設した介護医療院は非常にご希望が多く、満床に近い状態が続いているものの、なるべく地域の方にご利用いただけるよう配慮しています。また、当院ではさまざまな慢性期の患者さんにも適したリハビリを提供し、療養生活の質の向上も図っています。

地域との連携にはどのように取り組まれていますか。

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当院の地域連携室は急性期病院やクリニックと密接に連携し、患者さんのスムーズな入退院に努めています。多機能病院として、リハビリを行う短期入院なら地域包括ケア病棟、長期療養が望ましい方は慢性期の病棟と、患者さんの状態に合わせた入院病棟があることも強みの一つ。加えて当院は在宅療養後方支援病院のため、近隣で在宅療養を行うクリニックの医師と患者さんが同意し登録していただければ、患者さんの体調や容体が急に悪化したときに24時間いつでも当院で受け入れる体制を整えています。ただ、すでに入院が必要になった方だけでなく、今後は健康から要介護へと至る中間の段階といえるフレイルの状態をいち早くキャッチして、できる限り健康な状態へと戻すような取り組みも必要でしょう。そのために地域の訪問看護ステーションや地域包括支援センターと、地域にお住まいの高齢者の状態を知るような連携ができないか検討しています。

病院の今後の展望などをお聞かせください。

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患者さんが長く過ごされてきた地域にある当院ですから、ご自宅とは違いますが、それに近い居場所と感じられる存在になれたらと願っています。ご家族の方には「自分の親を入院させて本当に良かった」と思っていただけると、「自分の母親が長期療養できるような理想の病院を建てたい」という創設者の思いもかなうでしょう。また私自身はさまざまな病院でのリハビリに加え、東北大学大学院では医工融合の領域でリハビリ関連機器の研究・教育にも従事しました。その経験を生かして、医療現場のニーズを踏まえたリハビリ支援の機器などを、企業と共同開発できればと考えています。さらに患者さんのリハビリへの取り組みを促すため、早くからコーチングに基づくコミュニケーションも研究・実践してきました。当院でもその考えをベースに職場のコミュニケーションの活性化を図り、より良い医療をめざすアイデアが生まれることを期待しています。

最後に地域の皆さんにメッセージをお願いします。

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皆さんの健康は地域の急性期病院からクリニックまでが切れ目なく連携し、支えていくことが大切です。その中で当院は、急性期病院ではカバーできない回復期や慢性期の医療を担い、クリニックの先生方では対応が難しくなった在宅療養の患者さんなどを受け入れています。さらに在宅療養中の筋力低下やフレイルなどの問題には、短期入院でリハビリを行うことも必要でしょう。その場合も身体機能の回復を図ることにとどまらず、患者さんが退院後に「生きる意欲」を高められるような入院にできればと考えています。一方、看取りまで考えた長期療養の入院には、どのような状態まで医療を受け、どこからは療養へと移行するのかなど、ご家族もたいへん迷われるでしょう。当院は簡便でわかりやすい事前指示書を用意し、ホームページからダウンロードできるようにしました。事前に見ていただけると、考え方の一助になるかもしれません。

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出江 紳一 院長

1983年慶應義塾大学医学部卒業。リハビリを専門とし、国立療養所村山病院、藤田保健衛生大学病院、慶應義塾大学月ヶ瀬リハビリテーションセンターで診療後、静岡市立静岡病院では心臓リハビリにも従事。東海大学医学部講師、助教授を経て、東北大学大学院医学系研究科および同医工学研究科で教授を務め、医工連携の研究・教育に注力する。2023年10月鶴巻温泉病院副院長、2025年10月から現職。

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