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精密な治療で合併症を少なく
泌尿器疾患におけるロボット支援手術

医療法人社団明芳会 板橋中央総合病院

(東京都 板橋区)

最終更新日:2023/02/15

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  • 保険診療
  • 前立腺がん
  • 腎がん
  • 膀胱がん

2006年に日本で最初に前立腺がんに対する前立腺全摘除術で導入されたロボット支援手術。その後、保険適用の疾患も増え、今や泌尿器疾患の外科的治療の主力として、今や全国の総合病院や大学病院の多くがロボット支援手術を実施している。吉岡邦彦先生が率いる「板橋中央総合病院」ロボット手術センターでも、泌尿器疾患に対するロボット支援手術を数多く手がけている。近隣の医療機関からの紹介やクチコミで受診する人も多いという。そこで吉岡先生に、泌尿器疾患におけるロボット支援手術の歴史や特徴、メリットなど詳細を聞いた。(取材日2022年11月24日)

自在に曲がるアームと3D画像で精密性が向上。ロボット支援手術で合併症のリスクを抑え、早期回復をめざす

Qロボット支援手術とはどんな治療ですか?

A

手術支援ロボットのアーム

1980年に前立腺がんに対する開腹手術が始まり、その後、患者さんの体の負担が少ない低侵襲手術という言葉をキーワードに、従来の腹腔鏡手術が行われるようになりました。ロボット支援手術は腹腔鏡手術の進化系で、日本で初めて導入されたのは泌尿器科分野でした。手術支援ロボットは腹腔鏡や鉗子などを装着したロボットアーム、術者がアームを操作するコンソールボックス、 手術中の画像が映し出されるモニターの3つの機器から成り立ちます。二酸化炭素でおなかの中を膨らませてスペースをつくり、腹部に開いた小さな穴から筒状のポートを挿入しそこに鉗子あるいはカメラを通して、3D画像で確認しながら鉗子を操作し手術を行います。

Q泌尿器科ではどのような疾患にロボット支援手術を行いますか?

A

前立腺がん、膀胱がん、腎がん、腎盂がん、尿管がんのほか、良性疾患にも適用となります。2012年に泌尿器科の中でも特に治療件数の多い前立腺がんに対する前立腺全摘除術のロボット支援手術が保険適用となったことを皮切りに、2016年には腎がんの部分切除、2018年には膀胱がんに対する膀胱全摘、2022年に腎盂がん、尿管がんの手術も保険収載され、泌尿器科におけるすべての悪性腫瘍に対するロボット支援手術が保険収載になりました。また、良性疾患では、腎盂尿管移行部狭窄症の腎盂形成術、子宮脱および膀胱脱に対する仙骨膣固定術も保険適用になっています。

Qロボット支援手術のメリットとデメリットを教えてください。

A

何か起こった時を想定した治療の選択が重要と話す吉岡先生

一番のメリットは合併症が少ないことです。ロボットは立体視ができ自由に曲がる関節があるので、肉眼と同じように見えている状態でどんな方向にも曲げて処置をすることができます。これまで見えづらかった骨盤の奥もカメラを間近に接近させて確認することで、血管の処理も直腸面の剥離も精度が上がり、大きな合併症が起こりづらくなりました。ただしロボット支援手術も合併症はゼロではありません。例えば前立腺がんの場合、ほとんどの人に一時的ではありますが術後の後遺症として尿失禁が起こります。治療を選択する際にはどれだけ良いかだけではなく何か起こったときに許容できるかを一つの基準として検討することも大切です。

Qロボット支援手術は術後の回復が早いと聞きました。

A

当院では術後6日目にカテーテルを抜き8日で退院となります。手術して2日間は痛みがあり痛み止めを使用しますが、4日目にはほとんど痛みはなくなってきます。術後1〜2日目の痛みはどの術式でも差はありませんが、手術の傷が大きいとしばらくは動く際に痛みを生じます。その点、ロボット支援手術は傷が小さいので体動時の痛みが軽く、痛みがなくなるスピードが早いのが特徴です。退院後に気をつけていただきたいのは、2ヵ月間は尖った所に座らないということです。患部が圧迫されてしまうため、自転車には乗らないようにしましょう。それ以外は、仕事はもちろんテニスやゴルフ、ジョギングなどのスポーツも楽しんでいただけます。

Q治療をする医師にとってのメリットもあるのでしょうか?

A

手術支援ロボットを操作する様子

医師側にとっての大きなメリットは教育です。ロボット支援手術では、モニターに映し出される術者の視点の画像を周りの医師が共有することで、手術の手順だけではなく、どれくらいカメラをズームすればよく見えるかなど術者と同じ知識や感覚を身につけることができるほか、操作訓練のシミュレーターを利用して練習を重ねることで技術を習得することができます。高い技術を持つ医師が増えれば、どこの病院でもある一定レベルの治療を提供することができ、スーパーエキスパートの手術を受けるために遠くの病院に行く必要もなくなります。教育体制の充実がロボット支援手術全体の底上げになり、やがては患者さんに還元されるのです。

患者さんへのメッセージ

吉岡 邦彦 ロボット手術センター長

1987年島根医科大学(現・島根大学医学部)卒業後、慶應義塾大学医学部泌尿器科に入局。東京医科大学病院泌尿器科を経て2019年より現職。同院のロボット手術黎明期をけん引。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医。医学博士。東京医科大学泌尿器科学講座関連教授、昭和大学医学部泌尿器科学教室関連教授、慶應義塾大学医学部泌尿器科学教室講師、島根大学医学部泌尿器科学講座講師。

2000年代前半にロボット手術が始まってから20年がたち、国産の手術支援ロボットが開発されるなど今後はロボットの種類も増えてくることが予想されます。それによってより多くの病院がロボット支援手術を導入しやすくなり、治療技術が均一化され治療も広がっていくと思います。傷を最小限にすることを追求した1つのアームで手術をするシングルポートシステムや、5Gを活用した遠隔地手術にも注目が集まっていますが、技術の進歩を柔軟に取り入れていく一方で、患者さんや現場の医師にとって有益であるかを適切に見極めていくことも重要です。そういった見極めが、安全性と安心感のあるロボット手術へとつながっていくと考えています。

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