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ハートチームで
一人の患者を多職種で診療し、適切な治療を

医療法人社団明芳会 板橋中央総合病院

(東京都 板橋区)

最終更新日:2025/03/26

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  • 保険診療

治療が高度化する循環器領域では、多様な視点で病態を見極め、適切な治療を選択する必要性が高まっている。そこで注目されているのが、薬物療法やカテーテル治療を担う循環器内科と、外科的なアプローチを担当する心臓血管外科の連携による「ハートチーム」の活動だ。板橋中央総合病院では、数年前から両科がタッグを組んでハートチームを結成。太田洋副院長、山崎学心臓血管外科診療部長を筆頭に、多職種でカンファレンスを行って適切な治療方針を選択する。「ハートチームができたことで院内からの紹介がスムーズになった」と語る太田先生と山崎先生に、ハートチームで行っている治療について詳しく聞いた。(取材日2024年12月24日)

各分野の専門家がチームを組み、循環器医療の個別最適化を図っていく

Qハートチームを結成した理由を教えてください。

A

ハートチームは「近年循環器領域で重視される」と話す太田先生

【太田先生】ハートチームは近年の循環器領域で重視されているチーム医療で、得意分野が異なる専門家が連携し治療効果を最大化するための取り組みです。以前から院内連携はしていましたが、山崎先生の着任を機にチームとして治療にあたることになりました。
【山崎先生】心臓血管外科は、循環器内科をはじめ他科を経由し患者さんの紹介を受けるのが一般的です。以前は内科的治療と外科的治療の両方が選択できそうなケースについて、十分な検討がなされぬまま治療法が決まる懸念がありました。現在は、ハートチームとして多職種で1人の患者さんを診て治療方針を決定することにより、個別に適切な治療を提供できるよう努めています。

Qハートチームでは、どのような治療を行っているのでしょうか?

A

「救急患者さんの手術を担当しています」と話す山崎先生

【太田先生】詰まった血管の速やかな再生が鍵になる急性心筋梗塞の緊急症例では、当科で速やかにPCI(経皮的冠動脈インターベンション)を行います。それ以外はハートチームのカンファレンスで症例を共有し、内科的・外科的見地、看護師や薬剤師などの専門的見地から多角的に協議して治療方針を決定します。
【山崎先生】救急患者さんの救命のための手術である大動脈瘤破裂や急性大動脈解離などは私たちの担当です。カンファレンスで「PCIでは長期的に良好な成績が期待できない」と判断された虚血性心疾患に冠動脈バイパス手術、手術適応のある弁膜症や大動脈瘤の患者さんには弁膜症手術や大血管手術を実施します。

Qハートチームの連携を強化するための取り組みを教えてください。

A

【山崎先生】週に1度のハートチームカンファレンスやコミュニケーションを大事にしています。診療科や職種の垣根を超え、多職種が各々の専門性を生かし1人の患者さんを診る機会をつくり、互いの仕事を理解し補い合い高め合う関係性をつくるように努めています。また、手術事例も再びカンファレンスで所見を共有し、手術適応の見直しやレベルアップにつなげています。
【太田先生】患者さんの個人情報に配慮したチャットアプリを活用し、ハートチームに関わるすべてのスタッフで1つのグループを作り情報を共有しています。一刻を争う症例では、画像をアップロードして状況を知らせ、速やかに治療に移ってもらうための準備にも有用です。

Q心臓血管外科が力を入れている手術についてお聞かせください。

A

低侵襲手術にも積極的に取り組む

【山崎先生】成人の心臓手術では冠動脈バイパス術、心臓弁膜症の弁形成術・弁置換術、大血管手術が代表的です。弁膜症においては、胸腔鏡下の僧帽弁形成手術や大動脈弁置換術を積極的に施行しており、今後はロボット支援下の心臓手術も取り組んでいく予定です。また、大動脈疾患においては、高齢化が進んで開胸手術や開腹手術が困難な方が増えてきたこと、負担の少ない治療を望む方が多いことから、低侵襲の経カテーテル的な胸部・腹部大動脈瘤ステントグラフト治療を施行しています。術前から心臓リハビリテーションを行い、早期回復・早期復帰に向けたサポートをしている点も特徴ですね。

Q循環器内科が力を入れている治療についてお聞かせください。

A

患者一人ひとりに合わせた柔軟な対応ができるのが強み

【太田先生】循環器内科では、虚血性心疾患へのカテーテル治療、不整脈に対するカテーテルアブレーションやペースメーカー、弁膜症の心エコー検査、画像診断の4つの領域に分かれ、専門分野を生かしつつ連携して治療しています。動脈硬化が強く石灰化がみられる病変は血管を広げるために血管形成術用カテーテルといった特殊な機器を使用し、血栓でふさがれた柔らかい血管は吸引を図るなど、患者さん一人ひとりの年齢や血管の状態に応じた柔軟な対応ができるのが強みですね。

患者さんへのメッセージ

【太田先生、山崎先生】ハートチームができたことで、循環器内科、心臓血管外科の医師がそれぞれに治療方法を決定するのではなく、循環器医療に精通したコメディカルを含めて多角的に症例を検討したうえで最善の選択肢を選べるようになりました。これにより、日々進化する循環器医療の恩恵をより多くの患者さんに届けられるようになったと感じています。今後も引き続き、近隣の医療機関、および院内の他の診療科との連携をさらに深めながら、「断らない医療」をモットーに地域の皆さまの健康と暮らしを支えてまいります。

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