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傷が小さく目立たない
腹腔鏡による鼠径ヘルニアの手術

国家公務員共済組合連合会 九段坂病院

(東京都 千代田区)

最終更新日:2024/06/21

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  • 保険診療
  • 鼠径ヘルニア

鼠径ヘルニアは腹壁の弱った部分から臓器が飛び出してしまう疾患で、小腸が出てくることから「脱腸」とも呼ばれている。足の付け根にぽっこりとした膨らみができ、見た目で気づくことも多い。良性疾患であるため必ずしも治療が必要になるとは限らないが、痛みなどの症状で日常生活に支障があるときは、外科を受診するのが望ましいという。長く鼠径ヘルニアを専門的に扱ってきた「九段坂病院」の外科では、傷の小さい腹腔鏡下修復法の中でも特に高度な技術が必要となる単孔式のTEP法(完全腹膜外修復法)を積極的に実施している。そこで同院の外科部長であり、単孔式のTEP法に早くから取り組んできた長浜雄志先生に、鼠径ヘルニアの特徴や治療について聞いた。(取材日2024年4月9日)

治療は、従来の鼠径部切開法のほか、専門的に扱う医療機関では傷が小さく目立たない腹腔鏡手術での対応も

Q鼠径ヘルニアとはどんな病気ですか?

A

鼠径ヘルニアについて説明する長浜先生

体の弱い部分や隙間から臓器が飛び出す病気をヘルニアと言い、それが足の付け根付近で起こるのが鼠径ヘルニアです。男性に多く高齢になるほど発症しやすい傾向にあります。鼠径ヘルニアには、外鼠径ヘルニア、内鼠径ヘルニア、大腿ヘルニアの3種類があり、外鼠径ヘルニアは、睾丸がおなかの外に出るための穴から腸が飛び出ている状態で、鼠径ヘルニア全体の7割を占めています。内鼠径ヘルニアは、鼠径靱帯の上で内側から腸が飛び出していて、この2つは圧倒的に男性に多いのが特徴です。一方、足の血管の脇から飛び出す大腿ヘルニアや、骨盤にある閉鎖孔から飛び出す閉鎖孔ヘルニアは女性に多く見られます。

Q治療は必要ですか? 治療をする場合はどんな治療になりますか。

A

鼠径ヘルニアは良性疾患で日常生活に大きな支障を及ぼす可能性も低いため、必ずしも皆さんに治療が必要ではありません。痛みなどの症状が問題になるのであれば治療をすることになりますが、ヘルニアの状態によってはそのまま過ごしていただき、症状が強くなってきたら治療をするという選択肢もあります。専門家が診れば、様子を見てもいいか、あるいはすぐに治療をすべきかがわかりますので、気になる人は一度外科を受診してください。治療はほとんどの場合で手術一択となり、従来の鼠径部切開法のほか、鼠径ヘルニアを専門に扱う医療機関では傷が小さく体への負担が少ない腹腔鏡を使った手術も行われています。

Q手術にもいろいろな方法があるのですね。

A

患者に合わせて手術方法を選択する

手術には、鼠径部を切開する鼠径部切開法と腹腔鏡を用いた傷の小さい腹腔鏡下修復法があります。さらに腹腔鏡下修復法には腹腔内から腹壁を修復するTAPP法(経腹的腹膜外修復法)と、腹腔外から腹壁に空間を作り修復するTEP法(完全腹膜外修復法)があります。当院では基本的にTEP法で対応しますが、がんの手術経験のある人は過去の手術の影響で腹腔鏡手術がしづらいことがあるため、侵襲が大きくなってもより安全面に配慮して治療を行うことを優先し、鼠径部切開法を行います。同様に、血液抗凝固薬を服用している人は、TEP法では薬を再開した際に後出血が起こるリスクがあるため、鼠径部切開法を選択します。

Qこちらでの鼠径ヘルニアの手術の特徴について教えてください。

A

鼠径ヘルニアは触診だけで診断されることもありますが、当院では、触診ではわからない部分にヘルニアがないかも含めて評価するため、手術前に超音波検査やCT、造影検査を併用し、腹壁のどの部分にヘルニアが起こっているかの確認を行います。手術をする場合は、腹腔鏡手術の適応のある患者さんのほぼすべてを単孔式のTEP法で実施します。単孔式のTEP法は、おへその下に約2cmの傷を1つだけつけて行う腹腔鏡手術で、傷が目立たないのが特徴です。再発ヘルニアやいろいろな手術を繰り返した患者さんにはTAPP法を併用することもありますが、技術力の高まりとともにほとんどの症例がTEP法で可能になっています。

Q気になる手術後の生活や入院期間について教えてください。

A

安全面を重視して全身麻酔を施した上で手術を行う

日帰り手術を実施する医療機関もありますが、当院では、麻酔をしっかりかけて手術をしたほうが難しい症例でも安全面を重視した治療ができることから、全身麻酔で手術を行います。そのため、最短でも手術当日に入院していただき、回復経過を十分確認してからお帰りいただくようにしています。術後は単孔式の腹腔鏡手術でも切開した傷の痛みが多少は残りますが、鎮痛剤を処方しますので、いつもどおりの生活を送っていただけるでしょう。但し、スポーツやおなかに瞬間的に力が入る動作については、傷の具合を診ながら個々の患者さんの状態に合わせて再開するのが良いでしょう。

患者さんへのメッセージ

長浜 雄志 部長

東京医科歯科大学卒業。同大学第一外科入局後、カリフォルニア州立大学サンディエゴ校留学。2015年より現職。鼠径ヘルニア治療の専門家として研鑽を積み、腹壁瘢痕ヘルニアの手術にも早くから取り組む。日本外科学会外科専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医。

当院では、しっかりとした診断のもと、手術法を決定してから手術に臨んでいます。TEP法は専門的な技術が必要なため、国内では対応できる施設が限られていますが、当院では、以前から鼠径ヘルニアの専門的な治療に取り組みTEP法についても早くから行ってきました。再発ヘルニアや他院では治療が難しいと言われた難症例についても対応いたしますので、お困りの方は気軽にご相談ください。手術をする必要があるかどうかも含めて、ご自身の体の中で弱くなってきたところを補強していきましょう。入院期間については患者さんの忙しさに合わせて適宜検討いたしますので、ご相談ください。

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