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東京慈恵会医科大学附属病院

(東京都 港区)

小島 博己 病院長

最終更新日:2022/05/23

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患者から信頼される良質な医療を追求

東京タワーがそびえ、官庁や企業の本社が立ち並ぶ港区西新橋エリアにある「東京慈恵会医科大学附属病院」。特定機能病院として、各診療科が高度急性期医療や先進的な医療を提供するとともに、一般急性期の診療も行っている。患者層は幅広く、地域に住む人や勤務する人をはじめ定住する外国人のほか、羽田空港、東京駅、品川駅といったアクセスポイントからも30分圏内という立地であることから患者は全国から訪れる。その多様なニーズに応えるため、同院は大学附属病院として、先端の研究や人材育成にも注力している。140年の歴史の中で、同院のすべての職員が大切にしているのが、「病気を診ずして、病人を診よ」という建学の精神だ。皆が共通の思いを持ち、患者や家族が満足する医療を実践する同院の取り組みについて、2022年4月に病院長に就任した小島博己先生に話を聞いた。(取材日2022年4月5日)

たいへん歴史のある病院であると伺っています。

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当院は、1882年に高木兼寛先生が「有志東京共立病院」を開院し、その後、明治天皇の皇后・昭憲皇太后を総裁に迎え「慈恵」という名前を賜りました。1903年に「東京慈恵医院医学専門学校」が創設され、1907 年に病院名を「東京慈恵会医院」に改名、1921年には大学に昇格し、現在の東京慈恵会医科大学となりました。初代学長の金杉英五郎は、耳鼻咽喉科の初代教授であり私にとっての大先輩でもあります。関東大震災や東京大空襲で大学も病院も被災した中、1962年に旧外来棟を開設、その後2020年に新外来棟、母子医療センターがオープンし現在の姿となっています。当院には慈恵の職員であれば誰もが知っている建学の精神「病気を診ずして病人を診よ」があります。この言葉には医学的な力量だけではなく人間的な力量も兼ね備えた医師を育てようという想いが込められており、研究や医療、社会貢献などすべてのベースとなっています。

力を入れて取り組んでいる診療はありますか?

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もちろん全診療科に力を入れておりますが、特に複数の拠点病院に指定されていることが大きな強みの一つです。地域がん診療連携拠点病院として先進のがん医療に注力することはもちろん、都内でも数少ない東京都のアレルギー疾患医療拠点病院でもあります。また、東京都の急性大動脈スーパーネットワークに緊急大動脈重点病院として参加し、脳卒中など脳血管疾患の急性期や救急に重点的に取り組んでいるほか、2020年に開設した母子医療センターでは、看護師やスタッフを十分に配置し高レベルな医療の提供に努めています。当院は医療安全を第一に考え、患者さんに選ばれる、家族を紹介していただける病院をめざしています。そのために最も大切なものは「人」であり、次の時代を担う人材を育てることです。職員が常にベストな状況で患者さんに接していける環境をつくることが良い医療そして医療安全につながると考えています。

地域の医療連携はどのように進めていますか?

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地域連携は非常に重要で、積極的に病病連携・病診連携を進めています。当院の患者さんは他府県からが3割、二次医療圏以外の都内からの患者さんが約半数であることから、その特徴を生かして、より密な病診連携をしていきたいです。港区内の取り組みとしては、港区医師会との協力でワクチン接種や、港区立がん在宅緩和ケア支援センター「ういケアみなと」の管理運営、地域の小学校や中学校への出張講義など、区民の皆さんの健康維持に役立つ活動を行っています。当院は特定機能病院として高度な医療を提供していかなければなりませんが、難しい病気の治療や難しい研究だけをしていればいいわけではありません。一般急性期の診療を丁寧に行い、適切に治療をして良い結果を出すことが大切であり、これはまさに理念である全人的医療に通じるところです。

病院内の各診療科の連携についてはいかがでしょうか?

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当院は伝統的に職員同士の仲が良いのですが、新外来棟ではゾーニングを整え、さらに連携がしやすくなりました。消化器内科と消化器外科、耳鼻咽喉科と形成外科など、関連する診療科を隣り合わせにすることで患者さんの移動もスムーズになり、医師同士もすぐに相談できる動線になっています。医療がどんどん複雑になる中で、重要になってくるのがチーム医療です。例えば抗がん剤も、ここ数年で免疫チェックポイント阻害薬など薬の種類が増えました。以前の抗がん剤なら外科系の医師で管理できましたが、今は腫瘍内科専門の医師がきちんと管理することでより安全に配慮した化学療法を心がけています。緩和ケアについてもエンドステージの人だけではなく、いろいろな段階で介入していくため、医師だけではなく、看護師、薬剤部、栄養部とのチーム医療で取り組んでいます。

病院長として、医師として大切にしていることはありますか?

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病院長として今後備えていかなくてはいけないと考えているのが危機管理です。感染症対策はもちろんですが、いつ起こるかわからない災害や有事の際にも、当院が拠点となって、今以上に迅速に多くの地域の人を助けていける体制を整えていきたいです。医師としては、若い頃、耳鼻咽喉科の医師である私はとにかく手術の腕を上げたいと思っていました。そのうち研究にも興味を持ち、チームをつくって再生医療分野の研究を実用化まで進めてきました。チームもつくり、引き継いでくれる後輩もでき、手術と研究についてはある程度まで到達できたと自負しています。これは私の持論ですが、同じことばかりしていても大学にいる意味はありません。今回、病院長という機会を与えられて、60歳という年齢で手術や研究とは違った新しいことを一から始めることになり、とても面白いと感じています。管理職としては1年生。しっかりと頑張っていこうと思います。

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小島 博己 病院長

1987年東京慈恵会医科大学卒業。1995年米国ハーバード大学ダナ・ファーバーがん研究所留学。1999年東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科学講座講師。2006年同大学助教授、2013年耳鼻咽喉科診療部長を経て、2022年4月より現職。臨床では耳科手術を数多く行い、鼻の粘膜をシート状にして耳に移植する研究にも従事。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会理事。

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