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昭和大学病院

(東京都 品川区)

相良 博典 病院長

最終更新日:2022/09/21

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診療科の枠を超え、チーム医療で地域を守る

「患者さん本位の医療」「高度な医療の推進」「医療人の育成」を理念とし、地域医療の発展に尽力する「昭和大学病院」。特定機能病院として、また若手医師の臨床研修病院として、「現時点での最適解」を更新すべく進化を続けている。2020年4月から院長を務める相良博典先生が注力するのは、診療科や個人の志向を越えた議論の上に共通の方向性を見出し、組織力で患者を診ていく体制の確立だ。コロナ禍においては、相良先生自ら職員たちと対話を重ね、病院としての考え方や方針について理解を求めることで同院を真のワンチームへと導いたのだそう。同時に、食道がん部門の開設、ロボット支援手術の導入、放射線治療の拡充、がんゲノム医療連携病院の指定を受けての専門的ながん医療への対応など、時代のニーズに合わせた医療の拡充にも尽力。近く迫った医師の働き方改革の施行を前に、就任当初から重視してきた「働く人にとって満足できる環境」の実現にも精力的に取り組んでいる。「医療者の働きやすさと、患者さんの利便性の両立をめざして努力を続けてまいります」と話す相良先生に話を聞いた。(取材日2022年7月4日)

まずは、病院の特徴についてお聞かせください。

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「患者さん本位の医療」「高度な医療の推進」「医療人の育成」という3つの理念に基づいて、高度な急性期医療を提供する地域の基幹病院です。就任以来、一人の患者さんに多職種の医療者が関わり、専門性を生かし合うチーム医療を重視してきました。専門分野や立場が異なれば、視野も視座も異なるのが当然で、意見が食い違うことは珍しくありません。しかし、その壁を越えて活発に議論しあうことが、最善の医療につながると考えています。直近では、コロナ禍の診療方針について、全員が深く考え意見を交わす機会がありました。スタンダード・プリコーション(標準予防策)と検査体制の充実を徹底し、積極的に重症者を受け入れつつ専門医療を継続する方針について、私自身とすべての職員との対話の場を設けたのです。その結果、さまざまな意見がありながらも最終的には全員が納得し、当初は未知の病だった新型コロナウイルス感染症に立ち向かうことができました。

診療においても、新たな取り組みを多数進めていらっしゃいます。

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侵襲が大きく、合併症も起きやすい食道がんにできるだけ低侵襲な治療を行い、術前・術後まで一貫して管理することができるよう、食道がん部門を立ち上げました。食道がんに対する胸腔鏡・腹腔鏡併用食道がん根治術を導入した村上雅彦先生を中心に、専門性を生かした周術期管理で合併症の軽減、スムーズな社会復帰をサポートしています。がんの治癒や症状緩和に欠かせない放射線治療についても、強度変調放射線治療や定位放射線治療が可能な高精度放射線治療装置を稼働させ、多職種による治療体制の強化も図りました。どちらも本格稼働の段階に入り、地域の医療機関からのご紹介が増えてきています。また、ロボット支援手術の機器も刷新し、2018年から適応範囲が広がった産婦人科、食道外科、消化器外科の分野で活用を進めています。

先生のご専門や、医師としてのやりがいは何でしょうか?

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私の専門は呼吸器・アレルギー内科です。小さい頃喘息持ちだったことと、免疫にも興味があったという理由でこの科を選びました。喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、呼吸器感染症の治療を中心に行ってきましたが、呼吸器科は診療範囲が広く、さまざまな疾患に対応できる点に魅力を感じています。診療によって患者さんが笑顔を取り戻す姿を見られることはやりがいにつながりますし、中には外来を一つの楽しみとして足を運んでくださる方もいてうれしくなりますね。特にCOPDなどは動きたくても苦しくて動けず、外出するのが面倒になって自宅にこもってしまうケースも多いんです。それでももし、「今日、先生に会えるなら行こうかなと思って」と、リハビリテーションも兼ねてご家族と一緒に受診していただければ、本当にありがたい気持ちでいっぱいになりますよね。病院長となった現在も診療は継続しており、今後もずっと携わっていきたいと考えています。

診療を行う上で、大切にしていることを教えてください。

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ご自身の病気について熱心に調べ、前向きに治療に取り組まれる患者さんは多くいらっしゃいます。ご本人の意見が治療方針を変えることもあり、患者さんから得られる学びの多さを実感します。「医療者を育てるのは患者さん」という意識を持ち、信頼して来てくださる患者さんに高水準の医療をお返しできるよう日々研鑽し続けたいと思っています。他方、処方された薬を飲まない、ドクターショッピングをしている、複数の医院で似通った薬をもらっているなどといった状況の患者さんと向き合っていくことも大切です。そうした方は、病気に関する知識がなかったり、薬を飲む理由も理解できていなかったりする場合が多いように感じます。私たちには説明の義務がありますので、わかりやすい言葉でお話しした上で、患者さんが実践しやすいように働きかけなくてはなりません。医師と患者である前に、人と人との人間関係を構築した上で治療を行うべきだと考えます。

最後に、今後の展望についてお聞かせください。

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患者さんはもちろん、ともに働く仲間に対しても、病院の方向性や取り組みをしっかりと理解・納得できる形で伝えていきたいと思っています。トップダウン的な組織ではなく、ビジョンを説明した上で共有し、歯車を噛み合わせていくことが医療の安全文化の醸成に結びつくでしょう。また、企業理念によくある「従業員の満足なしに顧客の満足なし」という考え方を、今後は医療業界もきちんと意識すべきです。2024年からは医師の働き方改革がスタートします。病院として勤務環境の改善に取り組むとともに、職員みんなで時間管理の意識を高めていく必要があります。一方で、医師の働きやすさと引き換えに患者さんの利便性が落ちないようにしなくてはなりません。当院が患者さんにとってアクセスしやすく、「あそこに行けば大丈夫だ」と安心していただける存在であり続けられるよう、医師の健康と患者さんの利便性の両立をめざしてさらにまい進してまいります。

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相良 博典 病院長

1993年獨協医科大学大学院医学研究科修了。同大学病院で勤務した後、2013年に昭和大学医学部内科学講座・呼吸器アレルギー内科学部門の主任教授に就任。2017年より同大学病院内科学講座主任、副院長を務め、2020年4月に現職就任。喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、呼吸器感染症における豊富な診療経験を持つ。日本呼吸器学会呼吸器専門医。日本アレルギー学会アレルギー専門医。

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