全国の頼れる病院・総合病院・大学病院を検索
病院・総合病院・大学病院7,968件の情報を掲載(2024年10月06日現在)

  1. TOP
  2. 東京都
  3. 大田区
  4. 洗足駅
  5. 昭和大学歯科病院
  6. 医学的配慮が必要な患者へ 最適な治療の提供をめざす

医学的配慮が必要な患者へ
最適な治療の提供をめざす

昭和大学歯科病院

(東京都 大田区)

最終更新日:2024/07/10

Top %e5%9c%b0%e5%9f%9f%e9%80%a3%e6%90%ba%e6%ad%af%e7%a7%91 %e5%95%8f%e8%a8%ba%e3%81%ae%e6%a7%98%e5%ad%90Top %e5%9c%b0%e5%9f%9f%e9%80%a3%e6%90%ba%e6%ad%af%e7%a7%91 %e5%95%8f%e8%a8%ba%e3%81%ae%e6%a7%98%e5%ad%90
  • 保険診療

高血圧や糖尿病などの生活習慣病、狭心症や不整脈、がんなどの全身疾患のある人や、その治療のために薬を服用している人も少なくないだろう。また、強い恐怖心があることから、歯の治療が受けられない人もいるかもしれない。そのように何かしらの医学的な配慮が必要な患者に対応しているのが、昭和大学歯科病院の「医科歯科連携診療部門」だ。同部門では、地域の医療機関や院内の他診療科とも連携しながら、全身麻酔やモニターでの全身管理などの手段も駆使し、一般的な歯科医院では治療を受けるのが難しい患者に必要な治療を包括的に、安全に配慮して提供することをめざしているという。そこで、同部門の取り組みについてマイヤース三恵診療科長に、詳しく教えてもらった。(取材日2024年6月7日)

病気や精神的な問題などへの配慮が必要な患者が、必要な治療を受けられるよう医科とも連携して対応

Qどのような背景の患者さんが多いのでしょうか?

A

患者の全身状態を把握した上で治療を行うというマイヤース先生

一番多いのは、心筋梗塞や狭心症など循環器疾患のある患者さんです。特に心房細動の人は、いわゆる血液をさらさらにするための薬として知られる抗血栓薬を服用していることがほとんど。そのような患者さんに抜歯が必要なときに血が止まらなくなることを心配して、紹介されてきます。高血圧の場合も、麻酔薬の中に入っているアドレナリンという成分が血圧を上昇させるので、血圧が危険なレベルまで高くならないよう管理が必要です。ほかに、糖尿病や腎臓病、薬剤アレルギー、抗がん剤治療、慢性腎不全で人工透析を受けている人、認知症、脳卒中後遺症などで体が不自由な人、歯科恐怖症や、口の中に器具を入れると込み上げてしまう人などがいます。

Q循環器疾患など全身疾患のある人の治療はどのように進めますか?

A

まずは、患者さんの主治医から診療情報提供書を頂くほか、処置の内容や使用する薬剤などの情報を伝えて注意点などを伺った上で、その返事を考慮しながら治療計画を立てます。具体的には、循環器疾患がある場合にはアドレナリンが入っていない種類の麻酔薬を使用したり、血圧を下げるために静脈内鎮静法下で治療をしたり、モニターで血圧などを管理しながら治療をします。血液をさらさらにするための薬を服用している場合には、止血を通常よりも入念にするほか、入院で治療後の経過観察をすることも可能です。薬剤アレルギーの場合には、アレルギーと関係しない薬剤を選択。人工透析を受けている場合には、透析をした当日には抜歯を避けます。

Q歯科恐怖症の人にも対応しているのですね。

A

静脈内鎮静下での歯科診療の様子

歯科治療に対して極端に強い恐怖心を持っていて診察室にさえ入ることができない人や、口の中に器具がちょっと入っただけで、吐き気を催してしまう嘔吐反射が強い人などにも対応しています。具体的には、診察室以外の部屋で話を聞いた上で、全身麻酔をかけて口の中を診て治療計画を立てます。治療は1回では終わりませんので、その度に全身麻酔をかけて治療を進めます。全身麻酔をしなくても大丈夫そうな場合には、最初はちょっとした口の中のクリーニングから始めるなど徐々に慣れてもらい、普通に治療が受けられるようになることをめざします。私たちがゴールとしているのは、普通の歯科クリニックで治療を受けてもらえるようにすることです。

Qほかに特徴はありますか?

A

当科の歯科医師の多くは、昭和大学医学部と連携して医科についても学んでいます。私も麻酔科や消化器外科で、術後の患者さんの管理などを学ばせてもらいました。最近では、救命救急について学んでいる歯科医師も多く、緊急時の対応もできるようになることをめざしています。そのため、ほとんどの歯科医師が全身的な疾患について一般的な歯科医師よりも詳しいと思いますし、点滴などもすることが可能です。また、私は公認心理士の資格を持っていて、患者さんの精神的なバックグラウンドなども考慮しながら、ケアすることに努めています。心の問題が口の中に症状として現れることは少なくありませんので、精神的なケアも大切だと考えています。

Q医科と連携することのメリットについて教えてください。

A

医科からの紹介もあるという

医科の医師と連携をすることで、一般的な歯科クリニックでは治療が難しい患者さんでも、必要な歯科治療を安全に配慮した環境で受けることが望めます。それによって、患者さんにも満足していただけるのではないかと思います。また、初診の患者さんでは必ず血圧を測定しますが、極端に高くて麻酔注射が危険な場合などは、併設の内科クリニックの医師とすぐに連携し、血圧のコントロールを依頼します。その間の歯科治療は応急処置だけにして、血圧のコントロールを図った上でしっかりと歯科治療を行っていきます。睡眠時無呼吸症候群についても、まずは内科での検査で診断をしてもらった上で、口腔内装置による治療などを行います。

患者さんへのメッセージ

マイヤース 三恵 診療科長

1994年昭和大学歯学部卒業後、同大学第一口腔外科入局。同大学助手、NTT東日本関東病院歯科口腔外科医員、昭和大学大学院歯学研究科修了、米国オレゴン大学心理学部留学、昭和大学歯学部総合歯科助手、同地域連携歯科講師などを経て2022年より現職。准教授。歯学博士。公認心理師。

現在は超高齢社会になっていますので、歯科を受診する人の大半が何かしらの病気を持っていると思います。もし、病気があるからと歯科治療を受けるのを躊躇している方がいましたら、当科では医学的な配慮をしながら治療を進めますので、安心して受診していただきたいと思います。歯科のかかりつけの先生方には、例えば全身疾患や服用している薬などで抜歯が心配な患者さんがいましたら、抜歯は当院で行って、その後の入れ歯の製作などはかかりつけの先生にしてもらうなどの連携もしています。医科のかかりつけの先生方には、当科は初診の窓口にもなっていますので、患者さんが口の中の症状でお困りであれば、気軽にご紹介いただきたいと思います。

access.png