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日本医科大学武蔵小杉病院

(神奈川県 川崎市中原区)

谷合 信彦 院長

最終更新日:2024/12/20

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高度医療と地域医療の両輪で社会に貢献する

1937年に開設され、地域に根ざしながら高度な医療を提供してきた「日本医科大学武蔵小杉病院」は、2021年に新病院となって現在の場所に移転。大学病院がめざす高い専門性と地域ニーズに応える多様な診療科を備え、以前から注力してきた「救急医療」「周産期医療」「周術期医療」をさらに充実させる環境が整備された。谷合(たにあい)信彦院長は「その中でも救急医療では患者さんをいち早く治療する体制を維持するために、治療後は適した病院に受け入れていただく地域連携が欠かせません」と話す。「私自身も地域連携を後押ししていますが、当院がある中原区とその周辺の医療機関ではコロナ禍を経て協力体制が深まり、救急医療のほかに災害医療に対しても地域連携が盛んになっています」。しかも同院では、災害医療の訓練で用いた屋上ヘリポートが救急患者の搬送にも活用されるといった取り組みも進んでいる。周産期医療は地域周産期母子医療センターで重症例の妊婦に対応し、NICUやGCUでの集中管理も充実した。さらに周術期医療では手術支援ロボットの増台も予定する谷合院長に、同院の最近の動きなどを詳しく聞いた。(取材日2024年11月18日)

2021年新築の新病院以降の動きなどをお聞かせください。

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新病院では、二次・三次を担う高度な総合救急医療、周産期医療、周術期医療という診療の柱を強化することも狙いでした。現在は救急医療では、24時間体制で二次救急、三次救急の要請に、総合診療部門と救急科を中心に対応しています。当院がある川崎市中原区は人口増が続いていますが、近隣の病院の閉院が救急医療になるべく影響しないよう、中原区内の急性期病院との密接な連携は欠かせません。これはコロナ禍に大学病院、独立行政法人の病院、市立病院が患者さんの受け入れ調整で協力し合う中、院長同士がホットラインで直接情報をやり取りするほど関係を深めたことが助けになっています。また、災害時でも必要な医療を提供するために建物の免震性や水害に強い構造を重視しています。全体を1m以上かさ上げする、入り口の扉部分には止水板を入れる、軽症のトリアージに使えるよう2階のソファーの一部をソファーベッドにするなどの対策を施しました。

災害医療では設備に加え、運用体制も大事になりますね。

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当院での災害訓練はもちろん、前述した3病院で院長が「災害が起こる」ことを前提に緊急時の連携を話し合い、電話が使えない事態に備えて衛星電話で連絡する訓練も行いました。加えて近隣の医師会と一緒に地域と連携した災害訓練も実施しています。災害時には地域の協力が不可欠ですが、それには院長同士の連絡網や医師会を通して、普段から顔の見える関係を築いておくことが大事なんです。加えて当院には災害医療を専門とする人材も多く、周囲の医療機関向けに災害時の行動などをレクチャーする機会も作りたいと考えています。また、災害訓練の一つとして始まった当院屋上のヘリポートを使った患者さんの搬送・転送のノウハウは、平時の救急医療にも反映され、現在はドクターヘリによる患者さんの受け入れや転送も増えてきました。当大学の学是は「克己殉公(私心を捨てて、医療と社会に貢献する)」、救急医療や災害医療の取り組みはその表れといえます。

周産期医療ではどのような取り組みをされていますか?

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中原区での出産件数は多く、当院でもひと晩に数件の出産が重なることもあります。さらに地域周産期母子医療センターが設置され、出産時に体温が低下して危険な状態にある妊婦さんなどを迅速に受け入れ、安全に産んでいただける体制をめざしています。さまざまな事態に対応できるよう、同センターは産婦人科、新生児内科、小児科、小児外科で構成され、院内にはNICUやGCUを持つ高度急性期病棟、小児急病部門も備えています。当院では比較的高齢の方にも安心してお産に臨んでいただき、産後もしっかりとサポートする体制づくりは以前から進めてきました。新病院になってからは産婦人科とNICU、GCUを同一フロアに配置し、よりスムーズな動線を実現しています。小さく生まれた赤ちゃんにも、産婦人科から新生児内科、小児科まで成長とともに一貫した医療を提供しますから、自信を持ってこの地域でお子さんを生み育ててもらえたらうれしいですね。

手術など周術期医療ではどんな点が強化されたのですか?

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新病院では手術室とICU(集中治療室)を拡充し、術前・術中・術後のプロセスで機能性と安全性を高めて患者さんの状態を管理できるような体制を整えました。手術室はロボット支援手術に対応できるようスペースを広げており、すでに泌尿器科、消化器外科で稼働中。2025年にはロボットの台数を2台に増やして、呼吸器外科や心臓血管外科などの胸部外科分野や小児外科、婦人科などでも活用していく予定です。将来はロボット支援手術が外科手術の大半を占めるでしょうから、ロボットに習熟した医師を増やすためにも台数は必要と考えています。そのほかにも将来的に医療の中心を担うであろう先進技術や、患者さんの負担軽減につながる高度医療は積極的に推進していきたいですね。がん医療では新病院で抗がん剤治療用の外来化学療法室も一新し、標準治療の一つである放射線治療のための機器と人員も増やし、地域のがん診療の拠点になることをめざしています。

病院の運営体制なども含め今後の展望をお聞かせください。

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二次救急、三次救急の患者さんを当院で多く受け入れるには、必要な治療の後は適した病院に移っていただくことが必要です。そのために連携を深めたい病院を訪ねて病院のトップ同士で話し合うことと並行して、患者さんの入退院を担当する部署同士で詳細な話をして、顔の見える関係をもとに患者さんのご紹介を進めていく方針です。また「人は財産」との思いから、患者さんをご紹介いただく窓口となる地域連携室、患者さんからのご相談や入退院に対応する患者支援センターなどの部門でも人員を増やしました。こうした分野での人員増も結果的に医療の質や安全性の向上に貢献すると考えるからです。新病院は新たなスタートに過ぎません。新病院になって来られた患者さんにも、「この病院で良かった」「家族にもここを勧めよう」と思っていただける医療と質の高い接遇を心がけ、職員全員でさらに新しいことにチャレンジする精神を今後も大切にしたいですね。

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谷合 信彦 院長

1988年日本医科大学卒業。2018年より日本医科大学武蔵小杉病院消化器外科部長、2019年より日本医科大学武蔵小杉病院副院長。2020年4月、同院院長に就任。専門は肝胆膵外科、門脈圧亢進症、肝臓移植。

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