医療法人社団弘生会 東都三軒茶屋リハビリテーション病院
(東京都 世田谷区)
中村 利孝 院長
最終更新日:2026/09/11


回復期から慢性期までリハビリを切れ目なく
急性期病院と自宅をつなぐ受け皿として、治療やリハビリを通じた社会復帰を支援している「東都三軒茶屋リハビリテーション病院」。回復期リハビリテーション病棟と療養病棟を有し、リハビリから療養病棟での看取りまで切れ目のないかたちで患者に「寄り添っていく医療」を提供している。軸となる回復期リハビリでは、脳血管障害から運動器障害、廃用症候群といった疾患に対して、専門性の高いリハビリを実施。透析治療中の患者への運動器および脳血管障害のリハビリにも対応し、リハビリ専門の医師と、整形外科、一般外科、脳神経内科、腎臓内科といった分野の各専門家が、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、管理栄養士とのチーム医療を展開している。「医療は人を診るものであり、疾患を診るものではない」という考えに基づき、急性期治療を終えた患者が安心して自宅に戻れるように地域の患者を支える同院の取り組みについて、中村利孝院長に聞いた。(取材日2026年4月24日)
回復期のリハビリはどんな体制で取り組んでいますか?

開院当初は、整形外科医師の私と、一般外科を専門とする医師の2人でスタートしましたが、その後、脳血管障害の急性期治療を経験した神経内科の医師が加わり、運動器疾患、外科手術後の廃用症候群、脳血管障害の3つを中心とする体制を確立してきました。2026年4月からはリハビリ専門の医師が在籍し、全体をまとめながら、整形外科医師による運動器リハビリ、神経内科医師による脳血管障害のリハビリ、外科医師による廃用症候群などへのリハビリ、さらに、腎臓内科医師による透析患者への運動器および脳血管障害に対するリハビリを行い、4人の医師で52〜57床を運用しています。回復期リハビリ病院は非常に目的がはっきりしています。急性期治療を終えた患者さんが不安なく自宅に戻っていけるように、各疾患に精通した医師が理学療法士、作業療法士、言語聴覚士と協力し、リハビリの専門性を高め、効率的に機能回復へと導いていけるよう努めています。
透析患者さんも受け入れているのですね。

2日に1回透析治療を行う透析患者さんは、ほかの患者さんのように1日3時間、毎日リハビリができるわけではありません。疲労性が強い傾向にあり、腎臓内科医師による全身管理が必要なため、透析患者さんの回復期リハビリに対応できる病院はそれほど多くないのが現状です。そのような中、私たちが透析患者さんの回復期に対応しているのは、私たちの病院グループが、国内でも早い時期から透析医療を導入し、それを基盤に発展してきた経緯とも深く関係しており、当院の特徴の一つだと思っています。当院の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は全身状態に非常に敏感で、細部まで丁寧に評価をしています。血圧の状態や、リハビリ前後の体調の変化は、当然、どの患者さんにも重要なのですが、透析患者さんに対してはより一層、注意しています。そういったことについて、医師だけではなくセラピストや看護師も研鑽を積んでおり、とても信頼しています。
嚥下機能にも注目されていると聞きました。

飲み込みの状態は主に言語聴覚士が担当しています。嚥下は、特に肺炎後のリハビリで重視されますが、それ以外の疾患でも、高齢の患者さんの場合、誤嚥がないように見えて、知らず知らずのうちに嚥下力が低下していることがあります。そこで、言語聴覚士が食事の様子などを評価してフィードバックを行い、その内容をもとに、看護師や管理栄養士と協力して、食事の摂取状態を確認するなど、どれくらいの硬さの食べ物がのみ込みやすいかを一緒に考えていきます。ボーダーラインを見逃さないでいてくれるのは非常にありがたいですね。このように、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったセラピストや、看護師、管理栄養士がチームとなってさまざまな側面から回復期リハビリを支えていることは、それぞれの高い意識によるものであり、業務上の文書で決められるものではありません。私はこのようなコメディカルの業務への姿勢を、とても誇らしく思っています。
療養病棟ではどのようなケアを心がけていますか?

療養病棟に入院される方は、お持ちの疾患の回復が期待できない方であり、今の状態を維持することに重きを置くことになります。従って、生命力のある限りなるべく体は清潔に、日常を快適な環境でお送りいただく。そして、原因的な疾患への積極的な治療はしませんが、発熱などへの急性変化にはできる範囲で対処的治療をするというのが、今の療養病棟の基本的な考え方です。その中にはもちろんリハビリも含まれていますが、療養病棟でのリハビリは極めて限定的ではあり、体に負担をかけない程度に、今残っているADL(日常生活動作)を維持することを目的に行っています。国の政策として、在宅医療が推進される中で、当院でもどのように療養病棟を特徴づけていくかを模索中です。高齢者の慢性期で、動くことができない、寝たきりの方をどうするかという課題に対して何が正解かはまだまだわかりませんが、安楽で心地良い病棟を提供していきたいです。
最後に、将来の展望と地域へのメッセージをお願いします。

開院した当初から、私たちは回復期リハビリ病院として「回復期」に力点を置き、限られた期間内で最大限の効果を発揮することを目標に取り組んできました。今後は、当院を退院された方、あるいは、地域で在宅療養中の方に切れ目のないリハビリを提供するため、地域とどう連携していくかが、当院の一つの大きなテーマになると考えています。専門性の高い当院のセラピストが病院外でも活動できる体制を整えることで、「退院すると、病院との関係性が切れてしまうのではないか」という患者さんやご家族の不安に対応するとともに、地域全体のリハビリ活動の活発化に貢献できればと思っています。リハビリは、急性治療後ずっと必要になるものです。急性期病院、超急性期病院、在宅診療に関わる先生や看護師、セラピストなど地域全体とつながることで、高齢者医療を支えていきたいです。

中村 利孝 院長
1973年東京大学医学部卒業。産業医科大学整形外科教授、産業医科大学副学長・病院長、国立国際医療研究センター病院長などを経て、2017年より東都三軒茶屋リハビリテーション病院院長を務める。日本整形外科学会整形外科専門医。「医療の最前線にいるのは患者さん。そこで病と闘っておられる方々には、尊敬の気持ちを持つことが大切」として、同院の基本方針として「寄り添っていく医療」を掲げている。





