医療法人社団慶晃会 南山リハビリテーション病院
(東京都 稲城市)
伊藤 大起 院長
最終更新日:2024/12/18
患者がより良い人生を送れるよう回復を支援
東京都南多摩地区にある稲城市を一望する高台に、2021年に開設された「南山リハビリテーション病院」は104床を持つ回復期リハビリテーション(リハビリ)の専門病院。1〜3階のすべてにリハビリ室を設けるなど、専門病院ならではの充実した設備が特徴だ。さらに2023年に就任した伊藤大起院長は、大学病院や地域の基幹病院のリハビリテーション科で20年近く治療に携わってきた専門家。「これまで培った高い専門性と豊富な知見をもとに、当院の医師やスタッフと協力して患者さま一人ひとりに適したリハビリをめざします」と話す。「同じ病気でも症状や障害が起きる部位も程度もさまざま。体だけでなく心に残った傷のケアも含め、患者さまのより良い人生を過ごせるようサポートしたいと考えています」。加えて退院した患者ができる限り自立した生活を送れるよう、訓練の時間だけでなく院内の生活全般をリハビリの機会と捉え、セラピストと看護師が協力して回復支援に取り組んでいる。そうした同院の特徴やリハビリに対する思いなどを伊藤院長への取材で詳しく聞いた。(取材日2024年8月27日)
こちらの病院が地域で果たす役割を教えてください。
当院は104床の病床すべてが回復期リハビリテーション病棟という専門病院で、対象となる病気・ケガの治療を終えた患者さまを急性期病院から受け入れ、365日行う集中的なリハビリにより、ご自宅や施設で日常生活が送れるよう回復を支援しています。ただ、脳卒中や骨折といった疾患の名称は同じでも、人により症状・障害が起こる部位や程度、どの程度まで回復が見込めるかは患者さまによってさまざまです。また、ご本人の年齢や職業、家庭での役割、退院後はご自宅または施設でどのように暮らしたいかという希望なども踏まえて、回復の目標を決める必要があります。そして、体だけでなく心に残った傷のケアも考慮し、患者さまがより良い人生を過ごせるようサポートするのがリハビリなのです。私は患者さま一人ひとりを診て、個々の障害を診て適切に治療する、個別性の高いリハビリを当院で実践したいと考えています。
リハビリ専門病院としてどんな強みがありますか?
私は日本リハビリテーション医学会リハビリテーション科専門医で、大学病院や地域の基幹病院でのリハビリに20年近く携わってきました。そこで培った専門性と豊富な知見をもとに、院長として院内をまとめ、ほかの医師やスタッフと協力して診療にあたることで、患者さま一人ひとりに適したリハビリが可能になると考えています。当院の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったセラピストはベテランも若手もさまざまな病院で経験を積んでおり、患者さまごとに個別化したリハビリテーションが行えると思います。私自身も長年の現場で多くのセラピストから得た学びを生かし、個々の患者さまに合ったリハビリテーションのプログラムを提供するよう心がけています。また、退院後にもう少しリハビリを行った方がよい方、障害が残ってしまった方には、リハビリテーション医による外来診察や、訪問リハビリ、通院リハビリなどフォローアップも充実させております。
どのようにリハビリを行うのでしょうか?
当院は急性期病院から紹介された患者さまが入院されます。事前見学もありますが、多くの場合は受け入れ日に、入院後のリハビリの予定を本人とご家族に説明します。ただ、状況は日々変化するため、患者さまごとに担当者が随時集まって話し合い、その後のリハビリを検討しながら治療を進めています。特にご自宅や施設での生活に必要なADL(日常生活動作)の回復・再習得には力を入れ、訓練の場面だけではなく、院内の生活全般でも患者さま自身が日々行う動作「しているADL」の回復を図っていきます。また、脳卒中や脊椎損傷の中枢神経障害、下肢切断等のリハビリの専門性を求められる疾患にも重点を置いております。ボツリヌス療法、電気刺激療法、体外衝撃波治療(ESWT)、なども行っており、回復期の間から先進のリハビリテーション医療を提供できるようにしています。
設備や院内環境などの特徴をお聞かせください。
設備面では1〜3階すべてにリハビリ室を設け、1階は共通利用のスペースとして主に生活環境を想定した訓練を行うよう入浴訓練が可能な浴室ユニット、調理室などが配置されています。2階と3階のリハビリ室は同じ階の病室に入院された患者さま向けで、病室からの移動もスムーズです。しかも廊下に面した壁はガラス張りで、看護師のいるスタッフルームからも患者さまの様子がわかり、一人ひとりの回復状況が自然に共有できるのも特徴です。それを参考に訓練以外の生活シーンでも看護師が患者さまの自立を促すよう行動を支援でき、「しているADL」の回復に役立っています。また食堂、トイレ、浴室も2階と3階それぞれに設け、入院生活がワンフロアで完結するよう配慮しています。1階ロビーはホテルのような雰囲気になっており、長く入院される患者さまも多いため、病院らしくない造りを意識して設計しています。
最後に地域の皆さんへのメッセージをお願いします。
患者さまをご紹介いただく回復期リハビリの専門病院として、高い専門性を持つ医師をはじめ、多くのセラピスト、看護師、介護福祉士、社会福祉士、管理栄養士、薬剤師など多職種が連携し、患者さまの回復をサポートしています。患者さま一人ひとりに適したリハビリを心がけていますので安心して入院ください。疾患を患ってしまったその時、回復期のリハビリを受けられる機会はたった一度きりです。大切な期間に最善のハビリテーションを提供できるようわれわれも日々研磨を重ねていきたいと考えています。また、当院の職員にとっても誇らしく思える職場であってほしく、家族や友人に勧められる病院、風通しの良い職場づくりを心がけてきました。とても明るい雰囲気の病院なので、患者さまの皆様にも楽しくリハビリに励んでいただけると思います。
伊藤 大起 院長
2001年日本医科大学卒業。リハビリテーション医療に興味を持って国立病院機構東京医療センターにて研鑽を積み、脊髄損傷専門のリハビリテーション病院の診療も経験。東海大学医学部専門診療学系リハビリテーション科学に入局し、東海大学医学部付属大磯病院、伊勢原協同病院のリハビリテーション科を経て、2023年から現職。日本リハビリテーション医学会リハビリテーション科専門医。