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地方独立行政法人 桑名市総合医療センター

(三重県 桑名市)

山田 典一 病院長

最終更新日:2025/10/07

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中核病院として地域の急性期医療を担う

公立の桑名市民病院、民間の平田循環器病院と山本総合病院の計3病院の統合によって誕生した「桑名市総合医療センター」。同院が開設されるまで、大きな病院がほとんどなかった桑名市とその周辺市町からなる桑員地区では、専門性の高い医療は名古屋市や四日市市の医療機関に頼らざるを得ない状態だった。しかし、地域の急性期医療を担う中核病院として同院が機能することで地域の人が地域で治療を受けられる体制が整い、現在は、救急医療を中心に、がん医療、周産期医療など幅広い疾患に対応することで、地域に安心感を与えている。地域連携支援病院としては、かかりつけ医との連携を深め、紹介・逆紹介のしやすい良好な関係づくりに力を入れるとともに、住民の健康増進のために尽力する。地域から愛され親しまれる病院となることをめざす同院の取り組みについて、山田典一病院長に話を聞いた。(取材日2025年6月23日)

病院の成り立ちについてお聞きします。

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「桑名市総合医療センター」は、2012年に公立の桑名市民病院と民間の平田循環器病院と山本総合病院の3つが合併し開業しました。病床数は400床で、地域の中核病院として急性期医療に従事し、特に救急医療に積極的に取り組んでいます。以前は地域の患者さんが川向こうの大きな病院に運ばれることも多かったのですが、当院が開業してからは、近くにお住まいの方が遠くの病院まで搬送されることのないよう、脳卒中や心臓疾患については地域の医療機関とのホットラインを開設し、24時間365日、迅速に患者さんを受け入れ、適切な治療へとつなげています。また、質の高いがん診療の提供が可能なほか、地域からのニーズが高い周産期医療にも注力しています。

特徴の一つである救急医療の受け入れについて教えてください。

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三重県は救急科の医師が全国に比べて少ない傾向にあり、以前は当院にも常勤の救急科の医師はいませんでした。しかし、3年ほど前に外科系と内科系の救急科の医師が常勤になり、平日の日勤帯に限って、ベテランの救急科の医師が若い先生を指導しながら救急の患者さんを受け入れ、体制としてはかなり充実していると思います。時間外であっても、例えば、急性心筋梗塞のような致死的疾患に対しても、循環器内科の医師が常に待機していて、緊急のカテーテル処置が必要な患者さんのもとにすぐ駆けつけ迅速に治療ができるようになっています。脳卒中も同様に、脳神経外科と脳神経内科がタイアップし、24時間緊急患者さんに対応していますので、市民の方々には安心していただけると思います。外科の緊急手術については、桑員地区の他院と連携して輪番体制を整備し、当院は、平日は月・火・金曜の3日間と休日は交代で緊急手術を行っています。

がん診療や周産期医療にはどのように取り組んでいますか?

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以前はがんと診断されると、愛知県内の大規模病院を受診する患者さんが多かったのですが、現在は桑名市内で治療を受けるケースも増えてきました。がんの種類や進行具合によっては今でも愛知県の病院を選ばれる患者さんもいますが、以前に比べると当院で治療を受ける患者さんが増えていると感じています。手術では低侵襲手術の支援ロボットを導入し、一般外科、泌尿器科、婦人科、呼吸器外科などで活用しています。化学療法や放射線治療のほか緩和医療にも対応し、地域で完結するがん治療をめざしています。周産期医療については、NICU6床、GCU6床を設置し、産婦人科と小児科が連携して、正常分娩だけでなく、リスクの高い妊娠・分娩・出生後の管理を集学的に行っています。また、地域の産院で出産後、治療が必要と判断された新生児も受け入れています。

内科系の診療科についてはいかがでしょうか。

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当院には、脳神経内科、消化器内科、呼吸器内科、循環器内科、糖尿病内分泌内科、腎臓内科などさまざまな診療科がそろい、幅広い領域の患者さんを診療しています。特に大きな特徴として、市中病院では数少ない膠原病リウマチ部門を開設し、専門的な治療を提供しています。診療科間のチームワークがとても良いのも当院らしさの一つで、特にご高齢の患者さんは高血圧や糖尿病など複数の疾患を抱えていることも多いため、各分野の専門家が気軽に相談し合い治療方針を決められることは、患者さんのメリットになると思います。私の専門である循環器内科では、ほぼ365日迅速に患者さんに対応しており、心不全ケアのチームは、入院中はもちろん退院後も地域のかかりつけの先生と連携して、再発防止に努めています。また、不整脈に対するカテーテルアブレーション治療のほか、足の傷の外来での末梢動脈のカテーテル治療など多数の専門的な治療を行っています。

病院長としての取り組みや今後の展望についてお願いします。

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良い医療を提供するためには、職員が働きやすい環境をつくるということも大切です。その一環として当院では、小さなお子さんがいても働けるように院内に365日対応の保育所を設け、しっかりと有給休暇を取得してもらうためのタスクシフトの推進や、医療DXの導入による医師の時間外労働の削減に努めています。また、私は病院長になる前は医療安全に関する責任者も務めていたため、引き続き医療安全にも力を入れています。今後充実させていきたいのは小児救急医療です。小児科医師が十分な数を確保できていないこともあり、小児救急の受け入れについて地域のニーズに応えきれていないところがあるため、できればもう少し小児科の医師を増員し、少しずつでも地域の皆さんの小児救急医療に対する要望に応えていくための体制を構築していければと思います。

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山田 典一 病院長

三重大学医学部卒業後、同大学内科学第一講座入局。同大学医学部附属病院、遠山病院、山田赤十字病院(現・伊勢赤十字病院)、茅ヶ崎徳洲会病院、鈴鹿中央総合病院などを経て、桑名市総合医療センター副病院長、循環器センター長に。2024年より現職。医学博士。日本循環器学会循環器専門医。日本内科学会総合内科専門医。三重大学客員教授、同臨床教授。平易な言葉で患者に説明し納得して医療を受けてもらえるよう心がける。

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