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大阪医科薬科大学病院

(大阪府 高槻市)

南 敏明 病院長

最終更新日:2023/12/07

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三島医療圏「最後の砦」として地域を支える

大阪府北部の高槻市、茨木市、摂津市、島本町からなる三島地域を支える中核的な病院である「大阪医科薬科大学病院」。2021年には大学統合により名称変更した記憶も新しい。三次救急医療を担う「最後の砦」として救命救急センターを含む中央診療部門を設けるほか、多様な地域患者のニーズに応えるために、内科、外科、整形外科、産科、リハビリテーション科など豊富な診療科をそろえ、がん医療総合部門や循環器部門など柔軟できめの細かい医療体制を実践している。2022年には新本館A棟が完成し、2025年5月には新本館B棟の完成が控えており、ソフト面ばかりでなく、ハード面でもますます充実した医療体制をめざす同病院。病院長の南敏明先生は「スーパースマートホスピタルをめざし、デジタル化を進めるとともに患者さんの利便性を高め、これから先も信頼していただける病院をめざしていきたい」と話す。新館の完成に向けて2018年から新本館建築プロジェクト推進会議議長を務めていたという南病院長に、病院の歴史からリニューアルによって変わること、また今後の展望までじっくり聞いた。(取材日2023年10月19日)

病院の歴史と地域における位置づけについてお聞かせください。

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当病院は、2021年に大阪医科大学と大阪薬科大学の大学統合により、名称を「大阪医科薬科大学病院」と改めました。903病床、2100人あまりの病院スタッフ、幅広い診療科・部門からなる地域の中核的な病院です。病院理念には「社会のニーズに応える安全で質の高い医療を皆様に提供するとともに良識ある人間性豊かな医療人を育成します」と掲げており、地域の皆さまに信頼される病院として、また特定機能病院、臨床研修病院としても、世界的視野を持つ人間性豊かで広い知識と高い専門技術を持つ医療人材の育成をめざしています。特に救急ではいかなる手術も24時間365日受け入れ、三次救急医療に対応する病院として高槻市、茨木市、摂津市、島本町の三島医療圏の「最後の砦」という自負を持って役割を果たしてまいりました。これまでの成果を受けて、2022年には日本医療機能評価機構より「一般病院3」の評価を受けています。

現在は病院をリニューアル中とのこと。今後の方針は?

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2027年には旧大阪医科大学が創立100年を迎えます。それを記念して新本館の建築をはじめ、さまざまな形で病院改革を実施。テーマを「スーパースマートホスピタル」として、「超スマート医療を推進する大学病院」を基本方針に掲げています。具体的には、2016年から中央手術棟の本格稼働を開始。ハイブリッド手術室2室、ロボット手術室2室など先進技術を導入しました。A棟1階にある救命救急センターとの連携でスムーズな手術を実施し、医師や看護師、薬剤師、臨床工学技士などによるチーム医療を実践しています。緊急手術では患者氏名やIDなどを伝達するだけで麻酔科の医師や看護師に情報が伝わり、すぐに手術ができる緊急体制が取れるようになっています。特に産科の緊急帝王切開に関しては、他院から患者さんの連絡があってから平均21分、手術室に入って来てから赤ちゃんの誕生まで平均10分かからずに実施できています。

どのような診療分野に力を入れていますか?

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緊急手術は、心臓血管外科、脳神経外科、産科で多く施行されています。新しく建つB棟では、これまで別々であった、例えば循環器内科と心臓血管外科のような、内科系と外科系の2つの診療科の外来を一つにし、患者さんが受診しやすい工夫を行っています。高齢化により他の病気を併発している患者さんも多く、今後はよりきめ細かな診療が必要となるため、チーム医療を中心とした部門化はますます重要性が高まるでしょう。また当病院は地域がん診療連携拠点病院の指定を受けています。がん診療には長年取り組んでおり、A棟最上階の12階にはがん医療総合部門、がんゲノム医療管理室、遺伝カウンセリング室が配置されており、放射線治療や化学療法、緩和ケア、がん相談支援など、がんに関わることのすべてを統括しています。さらなるがん医療の質と安全の向上につなげていきたいと思っています。

地域連携にも注力されています。

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長年、地域の病院やクリニックの先生方とともに情報交換や勉強会を開催し、地域における医療向上をめざした取り組みを行ってきました。先ほどお話しした産科の帝王切開なども、地域の先生方と連携して搬送経路などのシミュレーションを重ね、時間短縮を実現してきました。ほかにも、救急の現場を想定した指導救命士の再教育実習・論文作成、メディカルスタッフに対するDX教室やアレルギー勉強会なども実施してきました。また、地域の先生方にとって重要なのは、いかに地域全体で患者さんを診ていくかということでしょう。今後は麻酔科を中心に緩和ケアに注力し、在宅での治療サポートも充実させていきたいと思っています。新病棟には整形外科以外にも、循環器内科と脳神経外科の病棟内にリハビリテーションルームを設置します。より多くの患者さんに対して超早期からのリハビリテーションを実現するなど、手術だけでなく、術後ケアに関しても注力しています。

最後に今後の展望についてお聞かせください。

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中央手術棟、新本館A棟とB棟の建築にあたっては、病院スタッフから聞き取りを行い現場の声を反映しました。例えば、中央手術棟の手術室では小さな針を落とした時も見つけやすいよう床の色を一部変え、無機質になりがちな廊下の壁には風景のパネルを配置するなどのアイデアはスタッフの意見を採用しています。患者さんの利便性を高めるため、循環器内科と心臓血管外科、呼吸器内科と呼吸器外科などをユニット化させ、乳腺外科などには女性だけが入れるフロアを設けるほか、ニーズの高い無痛分娩に麻酔科の医師も今まで以上に積極的に対応していきます。ほかにも、スマホを使った待ち時間の短縮や患者さん自身はほとんど動かずに入院手続きが行える患者サポートエリアも進めています。しかし、地域の「最後の砦」であること、医育機関として尽力することはこれまでと変わりありません。ハード面ソフト面においても充実した大学病院をめざして邁進していきます。

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南 敏明 病院長

1987年大阪医科大学卒業、同大学麻酔科学教室に入局。1993年同大学大学院修了、2002年同大学麻酔科学教室教授。2005年大阪医科大学附属病院中央手術部長、2006年関西医科大学客員教授、2012年大阪医科大学附属病院副院長。2016年同病院の医療安全推進部部長や新館の建築プロジェクト議長を務め、新館構想にも尽力。2020年同病院病院長、2021年より大阪医科薬科大学病院病院長。医学博士。

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