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社会福祉法人 バプテスト心身障害児(者)を守る会 久山療育園重症児者医療療育センター

(福岡県 糟屋郡久山町)

岩永 知秋 センター長

最終更新日:2026/04/02

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重症心身障害児者を支える地域の拠点

半世紀にわたり重症心身障害児者の医療を担ってきた「久山療育園重症児者医療療育センター」。キリスト教精神を土台としており、スタッフらが献身的なケアに取り組みながら病院・学校・家庭の3つの役割を果たしている。医療的なケアを必要とする重症心身障害児者の長期入所をはじめ、短期入所も受け入れているほか、在宅療養の支援や各種相談、リハビリテーションなどの外来診療も実施。医師はそれぞれの専門性を生かしながら、各種の疾患に柔軟に対応している。基幹病院と連携することで、がんなどの合併症の治療も可能になったという。一方、診療以外にも地域の福祉社会づくりの拠点としてさまざまな活動を展開しており、2025年に発足した「福岡県医療的ケア児等支援協議会」では岩永知秋センター長が会長に就任。レスパイト入院の受け入れ施設拡充などに向けた動きを加速している。「重度の障害のある人たちが懸命に生きていること、そしてそれを支える人たちがいることを多くの人に知ってもらいたい」と話す岩永センター長に、施設の歴史や特徴などについて話を聞いた。(取材日2026年2月13日)

まずは病院の歴史と理念についてお聞かせください。

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当センターはキリスト教を設立母体として1976年に開設されました。現在も他者への奉仕という精神は受け継がれており、「障害のある人たちのために力を尽くしたい」というスタッフが志高く医療と療育を提供しています。そこで私たちが果たすべき役割は3つあり、1つは病院としての役割。入所者に対する医療的ケアやリハビリの提供、在宅療養の方たちの支援など病院としての機能を持ちます。2つ目として入所者には保育士や特別支援学校との連携によって療育を提供するという学校としての側面も。生涯をここで過ごす方が多いので、そうした方にとっては私たちスタッフが家族として存在し、当センターが家庭としての顔を持つわけです。3つ目として単なる施設にとどまらず新しい福祉社会、地域共同体づくりの拠点の1つになるようめざすところ。重度の障害があったとしても、社会の中で普通に過ごせる世の中にしていきたいという想いがあります。

こちらではどのような診療を行っているのでしょうか?

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重症心身障害児者とは、知的障害と身体障害が重複しており、なおかつ重度である方を指します。人工呼吸器や経管栄養管理などの医療的なケアが必要なため、全身を診る必要があります。在籍している医師の専門は呼吸器内科、外科、小児外科、小児科などさまざまですが、それぞれが得意な分野を生かしながら協力して診療にあたっています。私自身、国立病院機構福岡病院の院長を務めていた際に、重症心身障害児者のケアを目の当たりにし、診療科の垣根を取り除くべく尽力した経験があります。当センターでも互いに協力し合い、皆さまが健やかに長生きできる医療を提供したいと思います。施設内では歯科にも対応していますが、口腔ケアは非常に重要な領域です。入所者の中には経口摂取ができても咀嚼や嚥下が困難というケースもあり、ケアが不十分だと誤嚥性肺炎のリスクが高まります。そのため歯科医師や歯科衛生士による診療も欠かせません。

だからこそチーム医療を重視されているのですね。

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もちろん、医師は皆さまの健康面を管理するという意味から欠かすことはできませんが、日常のケアという観点から看護師や介護福祉士に加え、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、保育士など多くの職種によるチーム医療が必要です。一人ひとり障害の種類と程度は違いますし、加齢に伴って成長・発達する方がいれば、衰えていく方もいる。そうした障害の特性に応じた医療、療育、看護、介護を提供するためにも、チーム医療で臨まなければなりません。現在、入所者の平均年齢は40代後半となり、加齢に伴う病気への対応も増えてきました。代表的なものとしてがんが挙げられますが、当センターでは手術ができないため、近隣の基幹病院と連携して治療にあたっています。大腸がんや乳がんなど、ぞれぞれの病気に応じて画像診断や治療方針の決定、手術などを含めてサポートしてもらえる体制を構築しています。

医療機関だけではなく行政との連携も重要ですね。

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私たちは県内13の施設が連携した「福岡県県重症心身障害施設協議会」を年2回開催しており、2025年末で計59回となりました。福岡県は重症心身障害児者に理解がある自治体で、福岡県福祉労働部障がい福祉課にも参加してもらい、密に連携を図っています。ここでは施設間の情報交換や意見交換を行っており、災害時の対応についても今後連携を図っていきたいと考えています。当センターでは短期入所も受け入れていますが、対応施設が少ないため高齢者福祉施設でも受け入れてもらえるよう福岡県からの委託を受けて医療的ケアの研修会も実施しています。2025年には新たに「福岡県医療的ケア児等支援協議会」が組織され、さらに受け入れ施設を増やせるよう各所に働きかけています。他にも当センターでは近隣の町を対象に相談支援事業も推進しており、在宅療養の支援として訪問リハビリにも取り組むなどさまざまな形で重症心身障害児者を支えています。

最後に、読者に向けてメッセージをいただけますか?

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医療的ケアが必要な方の短期入所やレスパイト入院ができるようになり、介護者の負担も少しは減りつつありますが、まだまだその負担は大きいものです。そういった方々の負担を社会全体として軽くしていくことが大切で、そのために私たちも力を尽くさなければならないと考えています。障害のあるアスリートたちは、スポーツで勇気を与えてくれる。しかしもっと重い障害のある人たちも毎日毎日懸命に生きています。重症心身障害児者がこの社会でともに生きていること、それを支えている家族や医療・療育スタッフがいるということを、広く伝えていくのも私たちの使命です。多くのボランティアやバプテスト教会の方々も当センターに来てくれます。障害があっても自分の人生を快適に自分らしく過ごせるよう、私たちを含め社会が一緒になって支援を続けていきたいものです。

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岩永 知秋 センター長

1980年九州大学医学部卒業。九州大学医学部胸部疾患研究施設(現・呼吸器内科)に入職し、米国留学を経て自治医科大学呼吸器内科講師、国立療養所福岡東病院(現・福岡東医療センター)副院長、久留米大学医学部内科学講座呼吸器・神経・膠原病部門准教授、福岡病院院長などを歴任。2019年7月より現職。「医学はサイエンス、医療はヒューマニティー」として、人を信じる医療を大切にしている。

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