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あいち小児保健医療総合センター

(愛知県 大府市)

伊藤 浩明 センター長

最終更新日:2022/09/15

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子どもの心と人生に寄り添う小児病院

病気の子を持つ親をはじめ愛知県民の願いに応えて、2001年に開院した「あいち小児保健医療総合センター」。初代センター長が循環器疾患専門だったこともあり当初は心臓病や重い慢性疾患の子どもたちの治療を主に行ってきたが、2016年救急棟の完成を機に第三次救急医療も担うことになった。現在は産科も標榜し、先天性疾患を抱える胎児期からの分娩管理も行っている。同院の特色について伊藤浩明(いとう・こうめい)センター長は「子どもの療養環境を重視した『病院らしくない病院』であることがまず一つ。また内科、外科ともに専門性の高い知識・技術を持った先生方がそろっていることも強みで、特別な講座を受けた保育士も重要な存在です」と穏やかな笑顔を見せる。「子どものことを考えて病院全体が動いており、医師もスタッフも皆、一生懸命。患者さんとそのご家族に丁寧に向き合うことを心がけています」。医療に加え、母子支援など保健部門が同院のもう一つの大きな柱で、虐待対応や子どもの事故防止などにも力を入れている。そんな同院の役割や展望などについて伊藤センター長に聞いた。(取材日2022年7月20日)

病院の成り立ちや医療部門の特徴について教えてください。

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当院は2001年、小児専門の総合病院として開院しました。子ども目線を重視した「病院らしくない」療養環境を実現したことがまず大きな特徴です。小さな家が建つ町並みを模した広いアトリウムがあることや、病棟の壁面のみならずCTなど検査機器にまで絵が描かれていることは当時かなり斬新で、現在それらが多くの小児向けの医療施設で実施されるようになったことのけん引役を果たしたと思っています。また医療の場で子どもたちに寄り添う保育士も当院では早くから要の存在となっていました。2016年小児救命救急センターがオープンし、慢性疾患中心の小児病院から高度急性期医療も行う小児病院へと方向転換することに。また同年、周産期部門も立ち上がり、先天性疾患を抱える胎児期からの分娩管理を一貫して行うようになりました。2019年には小児心臓病部門を開設、現在は内科・外科とも専門性の高い治療が展開されているところです。

診療科の特色とはどんなことでしょうか?

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初期から中心であったのは腎臓やアレルギー、内分泌代謝の病気など慢性疾患で、初代センター長が循環器内科専門だったこともあり、心臓病のお子さんを多く受け入れて県内でもかなり多くの手術を行ってきました。現在の当院の医療の使命は2つ。一つは先天性の難病や希少疾患を診ていくこと。もう一つは、一般的な病気だけれども重症者に特化して治療することです。内科も外科もこの両面を持っています。膠原病や全身性エリテマトーデス、若年性特発性関節炎など一般小児科では珍しい病気も当院の感染症や免疫疾患を扱う科では日常的。比較的よくある慢性疾患でも再発することが多いお子さんや、例えば牛乳を0.1cc摂取しただけでアナフィラキシーを起こす重症の食物アレルギーのお子さんも対象になります。複数の診療科が協力しあって治療する病気も多いですね。患者さんは東海3県はもとより泌尿器科ですと西日本からも来られています。

子どもに接する中で先生方が心がけていることとは?

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どの病院でも小児科の医師は基本的に優しいです(笑)。人柄が良く、威張りません。当院では皆が子どもやごきょうだい、ご家族に対して優しく丁寧に向き合うよう心がけています。コミュニケーションの上では保育士から学ぶことも多いですね。小児病院ならではの大切なことは、子どもの年齢に配慮しつつ病気や治療についてどのように伝えるか、将来的な見通しをどう理解してもらうか、どうやって自発的に治療に参加してもらうか、など。病気は一生付き合っていくものや予後の悪いものもあります。家族の中で一番若いのに命を落とすこともあるのです。子どもらしく自分らしく生きるために医療はどうあるべきか、いつも考えています。保育士が口にした言葉で「子どもには病気の部分もあるけど健康な部分もある」ということを心に置いて、「遊びたい」「生きたい」という健康な部分を尊重し、その子の人生に最期までご家族と一緒に寄り添うよう努めています。

こちらでは保健部門も大きな柱なのだそうですね。

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はい、保健部門は母子保健に関する情報提供や調査・研究、電話相談などを担当しますが、中でも大きな役割となっているのが早期の虐待対応です。もし体に被害を受けた場合、障害が残るのは圧倒的に頭が多く、保健部門のトップを務めているのは脳神経外科の先生です。当院に救急科ができて急性期治療を行うようになって以降は、虐待を受けた子どもたちの精神的ケアを行う心療部門が愛知県医療療育総合センター中央病院に移管しましたので、現在、当院では虐待の問題の前半部分、つまり急性期治療や子どもの保護、場合によっては警察も含めた協議会への参加などを担っています。当院は県の児童虐待防止事業に協力しており、保健部門は地域や外部組織と連携して活動することも多いですね。医療部門で体に虐待の兆候を見つけて素早く連携することもあります。保健部門の活動が手厚いからこそ医療部門は治療に専念できる面があると思っています。

今後の展望についてお考えをお聞かせください。

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これからどこの病院も少子化の影響は避けられないと思います。一般病院の小児科がどう対応していくのかはわかりませんが、現状より早いタイミングで高次な医療機関に紹介するという動きが出てくるのではないでしょうか。そのとき当院は特殊な病気だけではなく、より幅広く子どもの医療全般を受け入れる役割が求められるようになるのではないかと予測しています。当院は現在、200床の病院であるにもかかわらず、専門性の高い技術を持つ小児科の医師が130人在籍しています。専門的な治療の提供に加え、新薬開発のための治験や論文執筆、ガイドライン作成などの活動もさかんです。今後も医療・保健の分野において当院の持てる力を、子どもたちの健康支援のために捧げていきたい所存です。

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伊藤 浩明 センター長

1986年名古屋大学医学部卒業。同大大学院医学研究科修了。常滑市民病院小児科、テキサス大学ガルベストン校小児病院、国立名古屋病院小児科などを経て2001年あいち小児保健医療総合センター設立と同時にアレルギー科医長として赴任。内科部長、副センター長兼総合診療科部長などを経て2020年より現職。免疫・アレルギー部門の長を兼任する。日本小児科学会小児科専門医。アレルギーに関する著書・編著多数。

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