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地方独立行政法人神戸市民病院機構 神戸市立西神戸医療センター

(兵庫県 神戸市西区)

京極 高久 院長

最終更新日:2022/04/05

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地域医療の要を担い多様なニーズに応える

神戸市営地下鉄西神線のターミナルとしてにぎわう西神中央駅から西へ、「神戸市立西神戸医療センター」は駅から歩ける便利な立地にある。ニュータウンの医療を担うべく1994年に開業、1995年の阪神・淡路大震災では壊滅的な被害を受けた神戸市街地の医療機関に代わり多くの患者を受け入れ、その後もニュータウンの発展とともに歩んできた。現在では神戸市西地域の中核病院として30余の診療科を設け、がんなどの高度専門医療や救急医療、さらに小児・周産期医療にも力を入れる。また外来患者が現在も非常に多く、同院は開業医院との密なつながりを築いて「普段の受診は身近なかかりつけ医院へ、何かあればいつでもこちらへ」という役割分担の浸透にも取り組んでいるという。患者や地域からの声を常に意識し、「地域から頼られる病院であることにこだわりたいですね」と穏やかな笑顔で語る京極高久院長に、診療の特徴や今後の展望を聞いた。(取材日2022年3月14日)

最初に、病院の歴史と現在の診療状況をご紹介ください。

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西神ニュータウンは約40年前に開発され、またその後に近隣のニュータウンも相次いで街開きしました。それ以前、この辺は里山と畑が広がり、医療機関がほとんどなかったのですね。そこで地域に医療を提供すべく、当院が1994年8月に開院しました。病棟がフルオープンする前の1995年1月には阪神・淡路大震災が発生したため、直後から市街地の診療機能を肩代わりしていましたし、また少したつとニュータウンへ転入する方が増え、患者さんは一挙に増えました。そこで、中核病院として高度専門医療や救急、周産期医療などを行うほか、開業医院が少なかったために、かかりつけ医院のような役割も長い間担ってきました。現在は西区のほか須磨区や垂水区が主な医療圏で、さらに救急では神戸市西地域全域を担当していますが、同時に外来患者も非常に多く受け入れています。

高度専門医療の一環としてがん診療に力を入れているそうですね。

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当院は地域がん診療連携拠点病院であり、がん治療の3本柱である手術、放射線治療、抗がん剤治療のいずれに関しても高いレベルの診療を追求しています。消化器外科、呼吸器外科、泌尿器科では先進の手術支援ロボットを活用した低侵襲治療を行っていますし、放射線治療装置は2021年に新機器へと入れ替えました。20床を設ける外来化学療法センターでは、医師が看護師や各部門と連携しながら安全を重視した治療を実施しています。ただ地域のお声をお聞きしていますと、がんに関しては治療だけでなく緩和ケアや就労支援、家族のサポートなど、全人的なフォローアップを望まれる声も非常に多いのですね。このため、以前からあるがん相談支援センターのほか、2021年からは緩和ケアセンターも立ち上げました。患者さんががんという診断を受けた時点から、専門の看護師が積極的に関わり、希望される支援を受けてもらえるようにしています。

近年では、救急の受け入れ体制も大きく向上したと伺いました。

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当院は神戸市の二次救急病院ですが、救急搬送を連日受け入れるなど三次に近い運用を行ってきました。また、開業医が少なかった地域の病院という立ち位置もあり、歩いて受診される救急患者さんが今も多いです。特にお子さんの夜間受診は非常に多いです。従来は各科の当番の医師が救急患者を診療していましたが、通常診療との両立が難しく、また地域からの救急医療へのニーズが高いことから、2019年には新たに救急科を設立しました。各診療科の医師に加え、日中は神戸市立医療センター中央市民病院から2人の救急科医師が派遣されています。救急科で初期診療を行えるようになり救急搬送の受け入れ数が増加し、各科の負担も軽減。救急フロアに専用のCTを導入し、救急科外来を1.5倍に拡張して感染症対策を施す工事も進行中です。2022年春からは専属の看護師も増員する予定で、今後もソフト、ハード両面から救急診療の拡充に取り組んでいきます。

小児科や産科では、地域の事情に応える診療をされています。

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お子さんの時間外受診に対応するべく、小児科では医師を徐々に増員し、現在は11人で診療にあたっています。2018年からは連日17~24時まで小児救急患者を受け入れ、神戸市の二次輪番の担当日も増やしました。また医師が増えるとともに診療分野も広がり、現在は喘息や食物などアレルギー疾患に力を入れ、経口食物負荷試験なども積極的に行っています。その他、小児の血液疾患やてんかんなどの神経疾患、低身長、腎疾患なども専門的な診療を行っています。また産科では分娩数が非常に多い時代もありましたが、今ではかなり落ち着いており、紹介状がなくても受診していただけます。現在は助産師相談窓口の充実を図り、産前や産後のこまやかなサポートに力を入れていますし、安全かつ快適に過ごしていただけるよう環境づくりも始めています。リスクや合併症がある妊婦さんだけでなく、正常分娩の方にもぜひ気軽にご利用いただきたいですね。

地域との連携や病院の将来像について、展望をお聞かせください。

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地域の多くの患者さんに頼っていただけるのはありがたいことである一方、外来が常に混みあっているのは悩みの種でもあります。高度専門医療や救急医療により注力するためには、地域医療機関との役割分担を進めていく必要があると考えています。神戸市西区医師会や近隣の開業医院とは合同カンファレンスなどで以前から顔の見える関係があり、スムーズな連携が可能です。ですから患者さんには身近な診療所・クリニックと当院を、状況に応じて使い分けていただきたいですね。その一環として、2022年の春からは「入院前支援センター」を「入退院支援センター」へと改称し、地域の医療機関から紹介された患者さんを予約から受診・入院、さらに退院後まで、切れ目なくサポートできる体制を強化します。今後も神戸市西地域の医療の要を担い、地域医療機関と一体となって質の高い医療を継続的に提供し、地域の皆さまの安心や安全に貢献したいと考えています。

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京極 高久 院長

1983年京都大学医学部卒業後、同大学院医学系研究科修了。同医学部附属病院、豊郷病院外科などで研鑽を積み、1995年より神戸市立西神戸医療センターへ外科副医長として入職、消化器外科で悪性腫瘍や内視鏡手術に尽力。2010年に外科部長、2016年より副院長兼外科・消化器外科部長を務め、2021年より現職。専門は肝胆膵外科および内視鏡外科。日本外科学会外科専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医。

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