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医療法人福甲会 やました甲状腺病院

(福岡県 福岡市博多区)

佐藤 伸也 院長

最終更新日:2022/12/14

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「通いやすい」を重視した甲状腺専門病院

福岡市地下鉄箱崎線の呉服町駅から徒歩約4分という好アクセスな場所にある「やました甲状腺病院」。前身である「やましたクリニック」を、現理事長であり前院長でもある山下弘幸先生が開業したのは2006年。理事長の尽力もあり、わずか10年ほどで手術から入院、術後管理まで一貫して行える病院へと発展したのは2017年のことだ。甲状腺・副甲状腺専門というニッチな専門領域を担う同院には、福岡県内のみならず、熊本県、山口県などからも患者が訪れるという。「当院は比較的小規模な病院ですが、その分スタッフの風通しが良く、担当部署を超えて新しい治療やアイデアを出す気風は当院の大きな強みのひとつであると感じています」と語るのは、院長に就任した佐藤伸也先生だ。甲状腺疾患は、長期的な治療が必要な慢性疾患。そのため治療の続けやすさを考慮した提案が重要になるという。「まだまだ若い病院ですから、先達からもっとたくさんのことを学びながら、患者さんが安心して通い続けられる環境をつくっていきたいですね」と語る佐藤院長に、同院の強みなどについて詳しく話を聞いた。(取材日2022年11月18日)

病院の成り立ちや特徴を教えてください。

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当院は現理事長である山下弘幸先生が、2006年に無床診療所として開業したのがはじまりです。甲状腺・副甲状腺疾患に特化したクリニック・病院は全国的に見ても数が少ないため、通院に苦労される患者さんも多くいらっしゃいます。福岡県内だけではなく、お隣の山口県、熊本県からも患者さんがいらっしゃいます。博多駅から車で6分ほどの好アクセスなので、県外からも通いやすいようですね。2012年から現在地で有床診療所として入院・手術を開始し、2017年に病院となり現在の病院名に変わりました。それ以前は歩いて3分ほどの場所にある原三信病院で手術を行っていました。福岡県はベッド数に厳しいのですが、理事長の尽力もあって現在のベッド数は38床となりました。また甲状腺の疾患には甲状腺がん、バセドウ病、副甲状腺機能亢進症、良性甲状腺腫瘍などがあり、圧倒的に女性の方に多く見られるのも、甲状腺疾患の特徴だと言えるでしょう。

患者さんが貴院に通うきっかけには何がありますか?

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甲状腺は喉の近くにあります。とくに腫瘍の場合はそうなのですが、喉の違和感や腫れ、腫瘍があるとご自分で気づく方もおられ、その多くは耳鼻咽喉科に相談し、そこから当院に紹介、という流れがよく見られます。一方、乳腺外科や循環器内科で超音波検査で頸部を観察することがあり、そこで病変が見つかる、というケースもよくあります。また先ほど女性が圧倒的に多いと言いましたが、男性の場合は甲状腺の疾患ではなく咽頭がん、食道がんなどが見つかることもありますね。ただ、私を含めた当院のドクターは、甲状腺だけではなく、内科、外科、耳鼻咽喉科全般の知識を持っていますので、複数の科で培った知識、知見、技術を持ち寄りながら甲状腺を多角的な視点で見ていく点は、当院の大きな強みのひとつだと考えています。またその知識があるからこそ、検査結果で甲状腺の疾患ではないと診断がついたとしても、適切な病院や先生に紹介できるのだと思います。

貴院では診察の待ち時間削減にも注力されているとか。

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予約制を導入しており、再診患者の場合では受付から検査、検査結果の説明、会計までおおよそ1時間半で終わるよう、その都度チェックをしながら進めていく体制ができています。採血はどうしても結果が出るまでに1時間ほどかかりますが、そのあいだにエコーなどの他の検査を入れることで、効率よく検査・診察を行えるようにしているのです。また手術を希望される初診患者の方でも、基本的には午前中、もしくは午後の数時間の半日のみ、可能であれば術前は1回の受診で終わるように努めています。当院は離島も含めて遠方からの患者さんも多いので、その点で患者さんの負担軽減に貢献しているのではないかと感じています。大学病院などで手術を受ける場合、1日がかりの検査や診察に何度も足を運ぶということもまだ多いようなので、通院の待ち時間がネックになっているという方がおられるのであれば、当院を受診されてみてもいいかもしれません。

通いやすさは治療においても重要な要素になるのですね。

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甲状腺疾患は基本的に慢性疾患なので、長期間にわたっての通院が必要です。再発の可能性もあるため長期の経過観察が必須です。壱岐・対馬などの離島から通院される方もいますが、条件を満たせば適切な時期を見極めてお近くのクリニックなどへの切り替えも提案します。そのため、それぞれの医療機関とのネットワークの構築が非常に大切です。いまでもかなり深い信頼関係が構築できていますが、今後さらに強固にし、患者さんが治療を続けやすい環境づくりにも注力していきます。当院でも生活スタイルに合わせたお薬の処方、相談なども率先して行っています。また当院ではアイソトープ治療といって、放射線を放出するヨウ素カプセルを内服する治療も行っており、専用のベッドを2床用意しています。甲状腺疾患専門の病院と看板を掲げているからには欠かせない治療であると考えています。

今後の展望などについてお聞かせください。

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当院は比較的規模が小さめですが、その分スタッフの風通しが良い点は強みのひとつ。大規模病院になればなるほど人数も増え、臨床検査技師、診療放射線技師とドクターの距離が離れてしまいがちですが、当院ではカンファレンスにも臨床検査技師などが入るので、話が通りやすい環境だと思います。また一般的には別々になりがちな病理検査・超音波検査の部署が一緒に仕事にあたっているのも、お互いに良い影響を与えているようです。なのでいまの課題は若いドクターの育成ですね。医局や出身大学にこだわらず、新しい治療や技術に興味をもち、患者さんにもさまざまな提案ができるドクターに入ってもらうことで、当院にさらに新しい風が吹き、患者さんが継続的な治療を受けやすい環境にしていく。そのためにも歴史の長いほかの甲状腺専門病院を先達として、これからも積極的に学びを深めていくつもりです。

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佐藤 伸也 院長

1997年に大阪大学医学部を卒業。同大耳鼻科に入局後、さらに外科的な治療への理解を深めるため、北海道大学第一外科に再入局。その後甲状腺のスペシャリストをめざし、2009年から原三信病院にて甲状腺疾患の手術などを担当。2012年にやましたクリニック(現やました甲状腺病院)に入職、2021年に前院長の山下弘幸先生から院長職を引き継ぎ、現在も積極的に手術にも携わりながら患者が通いやすい病院づくりに尽力。

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