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医療法人社団 神戸低侵襲がん医療センター

(兵庫県 神戸市中央区)

藤井 正彦 病院長

最終更新日:2021/05/21

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「切らずに治す」がん医療を

「神戸低侵襲がん医療センター」は、「小さく見つけてやさしく治す」を基本理念とした、低侵襲がん医療に特化した病院だ。「切らずに治療する」がん医療の普及と一人でも多くの患者受け入れをめざし、神戸市のメディカルクラスター構想に基づいて医療関連施設の集積が進められているポートアイランドに、2013年開院した。あらゆる臓器、部位のがんに対して、より精度の高い放射線治療を行うため、開院時に先進の放射線治療装置を3種類導入。腫瘍を扱う内科の専門スタッフをそろえ、専門性の高い薬物療法を実践するとともに、カテーテル治療や内視鏡治療、緩和ケアにも対応している。専門性が高い医療の拠点というと、冷たく無機質な空間をイメージしがちだが、院内は海や空、土や緑などを連想させるアースカラーで統一され、温かみにあふれている。また、不安を抱えがちながん患者のストレス緩和と、働くスタッフへのプラス効果を期待して、どのフロアからも庭園や植栽の緑が目に入る設計が採用されている。低侵襲がん医療のメリットや特色、地域医療における同センターの役割や位置づけなどについて、病院長の藤井正彦先生に話を聞いた。(取材日2021年4月26日)

こちらの病院では、がんに対する放射線治療に対応していますね。

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放射線治療は手術ができない人が受けるものというイメージがあると思います。しかし、高精度の機器で放射線を照射すれば、手術でがんを切除する場合と比べて、遜色のない治療成果をめざすことが可能と考えています。放射線を当てることで、場合によって転移したがんの抑制にも有用です。手術は全身麻酔で行われ、臓器摘出の必要が生じるケースが少なくありませんが、放射線治療なら全身麻酔は不要で、臓器も温存できます。体にメスを入れないので、傷口による痛みや身体的な負担もありません。治療費の面でも、例えば1期の肺がん患者さんの場合、手術の半分程度の費用で済むでしょう。とはいえ、「がんは手術をして治す」という意識がまだ根強いのが現状です。外科の先生方に、放射線治療のメリットが十分に浸透していないこともあり、患者さんが放射線治療について十分な情報を得て、治療法を選択できる環境が整っていないのではと感じています。

放射線治療はあらゆるがんの治療に適用できますか?

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胃や大腸など消化管のがんには適していません。ぜん動で形や位置が変化するため正確に放射線を照射することが難しく、細胞分裂が盛んな消化管の粘膜は放射線によるダメージが大きいからです。このため、胃や大腸のがんは手術が第一選択になり、早期なら内視鏡を使って切除します。開腹手術が必要な場合は、神戸大学病院に紹介し外科手術を受けていただきます。当院には、同病院の外科医師が非常勤医師として在籍しており、内科系の医師と情報共有しながら診療を進めます。また、がん治療を担う病院として必要な設備や人材が集約されているので、患者さんには小規模病院のメリットを実感しながら治療を進めていただけると思います。例えば、小規模の病院でありながら「小さく見つける」ためにCTや超音波、MRIやPET-CTなどの画像診断装置と内視鏡検査装置を備えており、ほとんどの患者さんには受診された当日に、診断結果や治療方針を提示できます。

がんに対する薬物療法について教えてください。

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薬物療法も日々進歩しています。従来の抗がん剤は、良い細胞も悪い細胞もすべてたたいてしまいます。これに対して、分子標的薬はがん細胞の増殖に関わる特定の分子に結合することで、がんが大きくなるのを抑えます。また、乳がんや前立腺がんなどは増殖にホルモンが関わっていて、ホルモン療法を行うことでがんが大きくなるのを防ぐことが期待できます。20歳を超えると、私たちの体内では毎日1000個単位のがん細胞が発生していますが、免疫機能により撃退されています。ところが、加齢やストレスにより免疫機能が低下すると、がん細胞が生き延びて、正常の細胞になりすまして免疫機能のチェックから逃れるケースがあります。このなりすましの阻害に役立つのが、ノーベル賞でも有名な免疫チェックポイント阻害薬ですね。

感染症対策に力を入れておられるそうですね。

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プライバシーに配慮して、80床のうち68床を個室としており、もともと院内感染が起こりにくい環境です。入館時には体温測定や消毒を行い、新型コロナウイルスの感染が疑われる場合はその場で抗原検査を実施しています。入院時は事前にPCR検査を受けてもらい、陰性と確認できてから入院となります。急を要する場合は抗原検査の陰性を確認して一旦部屋に入っていただき、翌日にPCR検査の結果が出るまで病室内で待機をお願いしています。また、新型コロナウイルス感染予防のために現在は面会禁止ですが、無料の無線LANを備えておりオンライン面会が可能です。面会ができないなら入院したくない、環境が変化することに抵抗があるという方も、個室なら普段の生活環境を維持しやすく、オンライン面会を活用して親しい方とコミュニケーションできます。不安を感じる患者さんのために、少しでも良い療養環境の整備に努めることが大切と考えています。

今後の目標や展望を聞かせてください。

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開院9年目になり、当院の取り組みが次第に認知されてきましたが、放射線治療や「切らずに治す」がん医療に対する認知度はまだ不足しています。被ばく国として放射線に対する抵抗感も根強く、被ばくを恐れて定期検査をためらう方もおられるのが現状です。今後もいろいろな形で積極的に情報を発信して、一人でも多くの患者さんに生活の質を損ねないがん治療を受けていただきたいと思います。また、現在はコロナ禍により医療機関の経営環境が非常に厳しい状態にあるので、地域との連携をより緊密にして、病院の機能を地域ごとに最適化する「地域医療構想」をさらに進める必要性を実感しています。当院のような機能を持った医療機関の設備や人員を共同利用することは、経営の効率化のために、またノウハウを集積してより高度な医療を提供するためにも非常に有用です。経営の効率化が進めば、感染症対策など必要な部分にコストをかけることが可能になります。

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藤井 正彦 病院長

神戸大学医学部在学中に祖父を肺がんで亡くし放射線科を志す。広島で被ばく体験がある父に反対されるも、放射線の安全性と有用性を説いて、1982年同大学放射線科入局。大学病院および関連施設で画像診断、IVR、放射線治療、薬物療法、緩和ケアまで幅広く経験を積む。2000年から12年間神戸大学勤務、2013年神戸低侵襲がん医療センター病院長に就任。患者と向き合い、患者に寄り添ったがん診療の提供がモットー。

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