全国の頼れる病院・総合病院・大学病院を検索
病院・総合病院・大学病院7,913件の情報を掲載(2026年10月28日現在)

  1. TOP
  2. 福岡県
  3. 北九州市小倉北区
  4. 旦過駅
  5. 地方独立行政法人北九州市立病院機構 北九州市立医療センター
  6. 大野 裕樹 院長

地方独立行政法人北九州市立病院機構 北九州市立医療センター

(福岡県 北九州市小倉北区)

大野 裕樹 院長

最終更新日:2026/10/08

Df main z73563 20260806 0014Df main z73563 20260806 0014

がん診療を軸に、広く地域に貢献する病院

「北九州市立医療センター」の始まりは1873年、明治時代初期にさかのぼる。以来、時代に応じた幾度かの改称を経て、現在の名称となったのが1991年のこと。九州で早い時期に部門としてがんセンターを設けるなど、がん治療に特化してきた同院は、近年、救急医療の強化や周産期医療の充実も図るほか、生活習慣病への対応にも注力するなど、その役割を着実に広げている。「市立の総合病院として、これからはがん治療だけでなく、もっと広い分野で地域に貢献していかなくては」と、熱い思いを胸に改革の一翼を担ってきたのが、血液内科が専門の大野裕樹(ゆうじゅ)院長だ。同院一筋、勤続30年。2014年に副院長に就任し2018年には、新患患者の救急受け入れを開始させた。そして院長に就任した今また、新たな病院の未来像を力強く描き始めている。「北九州市立医療センターに任せておけば大丈夫」、地域の医師や市民からそう信頼される病院をめざす大野院長に、診療の主軸となるがん治療や、注力する分野、地域との「顔の見える連携」を構築するための方策など、広く話を聞いた。(取材日2026年8月6日)

長い歴史のある病院だそうですが、最近の動向を教えてください。

Hf 1

がん診療が中心ということは今も昔も変わりません。一方で、10年ほど前から日中は広く救急患者を受け入れるようになりました。実はそれ以前は、当院のかかりつけ患者さんの救急車しか受け入れないという慣習があったのですが、2018年頃、私が救急の担当を打診された際に「日中だけでも初診の救急を受け入れる」との条件を提示し、当時の院長が決断。その時の「ついにパンドラの箱を開けるか」という院長の言葉は忘れられません。それほどまでに、初診救急の門戸を開くことは病院内で大きな意味を持っていました。この救急医療への取り組みの背景には、地域の総合病院としての使命感があります。がん診療だけを行っていれば十分、とは私は思いません。現在は各診療科の医師が連携して救急を支える体制を維持しており、今も私は朝一番に、前日の救急受け入れ状況を詳細に把握し、適切な対応が取られたか細かくチェックしています。

まずは主軸となるがん診療について、その特色を教えてください。

Hf 2

「北九州市立医療センターといえば、がん治療」というイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。実際、専門的な技術を持った外科系のドクターが数多く在籍しているのが最大の特徴で、県内はもちろん他県から、がん手術のために転院してこられる患者さんは非常に多いです。前立腺がん、消化器がん、肺がん、子宮体がんなど幅広い領域でロボット支援による手術が増加傾向にあり、手術支援ロボットは2台導入しています。当院は、地域がん診療連携拠点病院として総合的な診療体制で、チーム医療を充実させ、患者さんを身体的・精神的・社会的にサポートする体制を整えています。がんゲノムに特化した外来や乳腺センター、低侵襲ロボット治療センター、放射線治療センター、胆膵センターなど、診療科を横断するさまざまな機能を備え、高度化するがん診療を適切に提供できるよう努めています。

がん以外で、特に注力されている診療は何ですか?

Hf 3

まず母子周産期医療です。産科と新生児内科が連携して、北九州市とその近郊におけるハイリスクなお産について重要な役割を担い、母体搬送の受け入れ、分娩への小児科医師の立ち会い、新生児外科疾患の手術などに24時間体制で対応しています。入院生活をより快適に過ごしていただけるよう、トイレ・シャワー室つきの個室を増室。産後ケアにも取り組んでいて、お母さんの体と心のケアを行う外来に対応しています。また、生活習慣病に対する診療にも注力しています。特に糖尿病と糖尿病合併症に特化した集学的なチーム医療を行っており、地域の診療所では血糖値などのコントロールが難しい方に対し、より専門的な治療を提供しています。整形外科領域では、椎間板ヘルニアに対する内視鏡手術が非常に多いですね。脊椎専門のドクターがおり、近隣県からも患者さんが来られています。

地域との連携を進める取り組みについて教えてください。

Hf 4

年1回は「医療連携の会」を主催し、開業医の先生方から各病院のメディカルソーシャルワーカー、介護施設のケアマネジャーなど広くお招きして、顔の見える連携が取れるよう尽力しています。先日私が院長になって初めてその会を開催して、「紹介患者さんの受け入れに責任を持つ。不当な受け入れ拒否があれば自らが対処する」と断言してきたところです。救急を含めて“断らない体制づくり”を進め、地域の医療・介護関係者が安心して患者を任せられる病院、その実現に向けた地道な努力を着実に行ってまいります。私はもちろんですが、各診療科の責任者や前院長が時間を見つけては関係各所を訪問してくれていて、そうやって足を運んで直接話をする、顔をつなぐことが結局一番大事で、連携の深化につながると確信しています。

今後の展望、市民の皆さんへのメッセージをお願いします。

Hf 5 1

独立行政法人という組織形態であっても、「市立」という名を冠する以上、公的な責任と透明性が求められます。その重みを十分に理解し、地域の期待に応え続けることを病院運営の根幹に据え、地域の開業医の皆さんが「安心して患者を任せられる病院」、市民の皆さんが「安心してかかれる病院」であるよう、今後も医療の質を高めながら地域との連携を深め、信頼を一つ一つ積み上げていきたいと思っています。市民との距離を縮める取り組みにも力を入れており、公開講座や小学生向けの体験イベントなど、地域の方々が医療知識を深める機会も提供しています。特に小学校高学年のお子さんを対象に、電気メスの体験や縫合の練習など医療の現場を体感していただくイベントは、とても人気があります。医療の現場を身近に感じたお子さんたちが、いつか医師や看護師として地域医療を支える存在になる。そんな未来への投資も続けていきたいですね。

Df main z73563 20260806 0014

大野 裕樹 院長

1990年九州大学医学部卒業。第一内科に入局し、浜の町病院や同大学腫瘍センター、輸血部などで経験を積み、1996年北九州市立医療センター赴任。血液内科で、白血病や悪性リンパ腫などに対する造血幹細胞移植に積極的に取り組むほか、救急医療も担当。2014年に副院長就任、2026年より現職。日本内科学会総合内科専門医、日本血液学会血液専門医。趣味はラグビー観戦で、診療の合間を縫って国内外問わず現地へ飛ぶ。

access.png