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地方独立行政法人神奈川県立病院機構 神奈川県立循環器呼吸器病センター

(神奈川県 横浜市金沢区)

萩原 恵里 院長補佐

最終更新日:2023/12/26

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循環器・呼吸器の高度な専門医療を提供

1954年に結核療養所「県立長浜療養所」として診療を開始した「神奈川県立循環器呼吸器病センター」。時代の流れとともに結核以外の呼吸器疾患や循環器疾患へのニーズに応えるため施設や体制を整えてきた同院は、現在、循環器・呼吸器の専門病院として、地域のみならず全国の循環器および呼吸器領域の医療をけん引する存在となっている。呼吸器の分野においては、肺がんに対する低侵襲治療や、間質性肺炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、結核をはじめとする感染症、循環器内科との連携による息切れや気胸にも注力し、特に難病である間質性肺炎については多職種が連携し質の高い診療を行う。また、2020年4月には神奈川県の新型コロナウイルス感染症重点医療機関の指定を受け、入院患者に対して積極的に治療を行ってきた。女性職員数が多く、女性の活躍が目立つ同院。萩原恵里院長補佐もその一人で、呼吸器内科部長と地域連携室長・感染管理室長を兼務しながら、日々専門性の高い医療に取り組む。穏やかな笑顔が印象的な萩原院長補佐に同院が展開する専門性の高い診療について聞いた。(取材日2023年8月29日)

貴院が注力する間質性肺炎の診療の特徴を教えてください。

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間質性肺炎は肺の間質を中心に炎症や繊維化が起こる肺疾患の総称で、種類が多彩なことから呼吸器内科の中でも診断が難しいとされる難病です。小倉高志所長が全国的に知られる間質性肺炎のスペシャリストであることから、当院には国内の広い範囲から患者さんが受診に訪れています。当院では、間質性肺炎センターを全国でも早期から立ち上げ、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士によるチームで患者さんの包括的なサポートを行っています。診断についてはクライオ肺生検という特殊な気管支鏡を使用した先端の生検による診断技術の向上とともに間質性肺炎の原因究明に努めているほか、呼吸器外科との連携で胸腔鏡を用いた外科生検も積極的に実施しています。治療では特にリハビリテーションに力を入れており、薬の治療だけではなかなか症状改善が期待できないことも多いため、呼吸リハビリや栄養指導、酸素療養なども併用しています。

呼吸器感染症についてはどのように取り組んでいますか。

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新型コロナウイルス感染症の対応については結核病棟をすべて新型コロナウイルス感染症の病棟とし、看護師による腹臥位療法を取り入れるなど積極的に治療を行ってきました。エビデンスを出すことで地域や全国の治療の発展に貢献したと自負しています。結核病棟は2022年7月に再開しましたが、結核もまだ過去の病気とは言えない状況です。加えて、今増えているのが非結核性抗酸菌症で、治療が難しいため結核同様多くの患者さんをご紹介いただいています。このように感染症にも幅広く取り組んでいますので、咳や痰などの症状が長引くときやレントゲンに影がある、診断に迷うときはぜひご相談ください。痰や胃液の検査など専門的な検査で診断してまいります。また、呼吸器感染症以外にも肺がん治療に注力している同院では、肺がん包括診療センターを設置しています。化学療法、外科治療、放射線治療の3つに対応し、迅速に診断し適切な治療へとつなげています。

息切れを専門に扱う外来も開設されていますね。

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息切れは心臓弁膜症や心不全など心臓が原因で起こる場合と、肺気腫、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、間質性肺炎など肺の疾患が原因で起こる場合があります。その他、多いのは高齢になったことによる筋力低下で、当院ではこの3つの要素について循環器内科と呼吸器内科が連携し原因を分析して治療を行うほか、歩き方を特殊なカメラで撮影し、その評価をもとに心肺機能を高めるための歩き方のトレーニングをするなど、専門病院ならではの診療を実践しています。外来の名称に「息切れ」と入れたのは、息切れの原因がどこにあるのかがわからなくても息切れという症状で治療にたどり着けるようにしたかったからです。同様に心臓、肺どちらでも起こる胸痛についても、診療科を特定せず症状だけでご紹介いただけるように「胸痛」の外来としています。また、循環器内科では心房細動センターを開設し、不整脈に対するアブレーションにも注力しています。

日々の診療で大切にされていることはありますか?

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患者さんと接するときにはその方が何を欲しているかをよく聞くようにしています。同じ病気であっても、あらゆる治療を試したいという人もいれば、まったく治療を望まない人もいるので、何を希望してここへ来られたかを見極めることが大切です。開業の先生からのご紹介についても、ただ診断してお帰しするのではなく、ご希望に応じてしっかり診療を心がけています。また、当院ではACP(アドバンス・ケア・プランニング)にも力を入れており、特に肺がんや間質性肺炎は治療をしても良い結果が望めないこともあるため、ACPをどのタイミングで行うかを考えておく必要があります。大学病院や大規模病院では治療が終わると最後は他院へということがありますが、当院では積極的な薬物治療ができなくても緩和治療を行うなど、急性期から終末期まで一貫して患者さんに関わっています。それも当院の特徴の一つですね。

最後に、地域に向けてのメッセージをお願いいたします。

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息切れや咳、痰は年齢のせいだと思ってやり過ごしている人は、一度ぜひかかりつけの先生にご相談の上、当院を受診してください。県立病院と聞くと敷居が高いと思われるかもしれませんがそのようなことはなく、ただ慢性的に咳が続いている患者さんや、健康診断で異常があった場合なども対応いたします。当院の呼吸器内科は医師が23人在籍しており、勉強のためにと全国から若手の医師も集まっています。まだまだ余力はありますので、「こんなことでいいのかな」と思わずに遠慮なくご相談ください。それが病気の早期発見につながります。また、当院では地域の皆さまに向けて公開講座を定期的に行っています。医療や生活に関することをテーマに、医師、理学療法士、管理栄養士などがそれぞれの専門分野について情報発信しており、近年ではオンラインでの実施となりましたが、今年は4年ぶりに対面で開催することとなりました。興味がある方はぜひご参加ください。

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萩原 恵里 院長補佐

1987年横浜市立大学医学部卒業。1991年同大学院卒業。米国FDA研究員、茅ヶ崎市立病院、横浜市立大学附属病院などを経て2007年より神奈川県立循環器呼吸器病センター勤務、2017年に呼吸器内科部長、2022年4月に院長補佐、医療局長兼呼吸器内科部長に就任。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本感染症学会感染症専門医。2020年からは新型コロナウイルス感染症重点医療機関として陣頭指揮を執った。

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