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地方独立行政法人埼玉県立病院機構 埼玉県立小児医療センター

(埼玉県 さいたま市中央区)

岡 明 病院長

最終更新日:2025/09/11

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密な地域連携の核として小児医療を支える

さいたま新都心駅からペデストリアンデッキでつながっている「埼玉県立小児医療センター」は、埼玉県内における小児医療の最後の砦となるべく、主に県内の医療機関から紹介を受けた子ども患者を対象に、周産期医療から小児救急医療、小児がん、生体肝移植など、特殊な病気・重症・難症例などに特化した高度医療を提供している。院内には楽器をモチーフにした元気な色使いのオリジナルキャラクターが踊り、病院ボランティアの手による季節感あふれるデコレーションが親子ともに沈みがちな心を慰めてくれる。病院長の岡明先生は、常に穏やかな笑顔で患者や家族を安心させてくれ温かな雰囲気のドクター。「小児医療に特化した病院で働けることは小児科の医師として夢のようです。子どもたちの命を助けるためにどうすれば良いのか、すべてのスタッフとともに心を一つにして働けるのはとても幸せなことと感じています」と語る岡病院長に話を聞いた。(取材日2020年6月10日・再取材日2025年8月5日)

埼玉県の小児医療の中核を担う御院の特色について伺います。

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当院は小児医療に特化し、埼玉県内の医療機関と密に連携し、主に重症や難症例のお子さんの診断・治療を担っております。埼玉県内の小児医療連携は非常によく機能しており、いわゆるかかりつけ医として身近なクリニックなどの一次医療機関や入院や手術が必要な医療を担う地域の病院などの二次医療機関、当院を含む重篤・特殊疾患も扱い専門性の高い医療を提供する三次医療機関が、子どもの内科的・外科的疾患から子どもの心身の成育まであらゆる分野でそれぞれの役割を果たすことで連携体制が取れています。それは新型コロナウイルスの流行時にも効力を発揮し、小児の分野では医療崩壊を招くことはありませんでした。こうして当院が埼玉県の小児医療の最後の砦・セーフティーネットをめざし、その役割を十二分に果たすことができるのも、地域の医療機関の方々や患者さんとご家族のご協力のたまものと感謝しております。

こちらの病院の特徴的な取り組みを教えてください。

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当院には主に地域の医療機関からご紹介のあった重症の方、がんや重篤な心疾患など難しい病気で専門性の高い治療が必要な方が来院されています。小児科の中でも診療内容により細かく分かれ、内科系、外科系で複数の領域に分かれ診療を行っています。また隣接している隣接するさいたま赤十字病院と連携した総合周産期母子医療センターもあり、MFICU(母体胎児集中治療室)やNICU(新生児集中治療室)を備え、リスクの高い妊産婦さんや新生児を24時間体制で見守っています。新生児専用の救急車も用意し、当院に到着するまでの間、車内で初期治療ができる体制を整えています。さらに小児がん拠点病院の指定を受けており、これまでさまざまな治療や研究を行ってきています。今は医療の進歩によって小児がんの治療も進化し、さらなる向上をめざしてがんゲノム医療など先進的な医療にも取り組んでいます。

生体肝移植や24時間体制の小児救急についても教えてください。

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生体肝移植は、2019年からさいたま赤十字病院と連携して始まりました。小児専門病院としては数少ない存在で、また2施設連携という点も稀有。重要肝疾患で肝不全となり肝移植でしか救命が望めないお子さんに対して手術を行い、着実に実績を残しています。生体肝移植だけでなく、小児救命救急センターでは24時間体制で重症患者の治療を行っています。不慮の事故にも十分対応できるよう外傷にも対応可能な救急専門の医師を配置。さいたま赤十字病院と共同してドクターカーを運営し、救急現場に小児がいる場合は当院の医師や看護師が直接現場に向かい現地で救命にあたり、重篤な場合は、PICU(小児集中治療室)やHCU(高度治療室)に受け入れて救命活動・治療を行っています。

療養環境についてはどのような配慮がなされているのでしょうか。

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当院では子どもの発育、発達に合わせて良質の医療環境を保持するよう努めています。乳児の時には表現もまだ難しいでしょうし、幼児期は言葉が話せてもうまく伝えられない。思春期になると大人には話しづらいこともあるでしょう。そのような成長に伴う心の変化に寄り添うとともに、子どもの権利も大切にしています。また、3階には発達部門を設けて、成長と発達に関わるさまざまな診療を提供しています。こちらの分野も小児精神科の専門的治療を必要とするお子さんを積極的に受け入れております。子どもたちは何かと不安ですから、当院ではチャイルド・ライフ・スペシャリストと呼ばれるスタッフが在籍し、入院生活に慣れるためのお手伝いや、治療に対する心の準備ができるようお手伝いするなど、さまざまなかたちでサポートし、ご家族滞在用の施設も設置。子どもたちが学習の機会を失うことのないよう、埼玉県立けやき特別支援学校も併設しています。

最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

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少子高齢化社会を迎え、子どもの医療を取り巻く現状は厳しいものになりつつあります。そのような中でも地域で密な連携体制を維持・発展させ、今後ますます重要になっていく役割を果たしていきたいと思っています。これからも子どもたちの命を支える最後の砦をめざして、地域の多くの皆さん方の期待にお応えしたいです。当院のスタッフは全員、子どもたちの命を助けるという目標に向けて心を一つにして働いています。「For the future, For the Children=子どもたちの未来は、私たちの未来」という基本理念のもと、子どもたちの未来のために私たちは何をすべきかをコンセプトに組織全体で取り組んできており、これまで数々の具体的な成果を上げてきています。今後も小児医療の最後の砦、地域の子育てのセーフティーネットになれるよう、埼玉県で安心して子育てしていただける環境づくりに貢献してまいります。

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岡 明 病院長

1984年東京大学医学部卒業後、同大学医学部附属病院小児科入局。ハーバード大学医学部付属ボストン小児病院神経科研究員、東京大学医学部附属病院小児科准教授、杏林大学医学部小児科教授などを経て、2013年から東京大学医学部小児科教授。2020年病院長就任。専門は小児神経学。日本小児科学会小児科専門医。日本小児神経学会小児神経専門医。

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