横浜町田関節脊椎病院
(東京都 町田市)
越宗 幸一郎 院長
最終更新日:2024/12/10
迅速な検査で機を捉えた治療を
東急田園都市線すずかけ台駅近くの「横浜町田関節脊椎病院」。国道246号沿いにあり、東名高速道路横浜町田ICからは4分ほどと車でのアクセスも便利だ。整形外科の中でも股関節、膝関節、肩関節、脊椎の治療に特化し、各疾患の専門医が在籍している。患者の体への負担が少ない低侵襲な手術に力を入れており、特に脊椎の手術は、遠方から来院する患者もいるという。「動ける喜びを共に創り、共に感動できる場を創造する」という理念のもと、患者中心の診療を迅速に提供している。「手術5割、リハビリテーション5割」と越宗院長が話す通り、理学療法士による回復支援を充実させ、自立した生活に向けた支援に力を注いでいる点も特徴だ。保存療法を含め、股・膝の人工関節置換術、肩の関節鏡手術、脊椎最小侵襲手術など、患者の症状に合わせた適切な治療を提案している。骨粗しょう症に起因する圧迫骨折では、骨粗しょう症の治療を担当してくれるクリニックとの連携も強化していきたいという越宗院長に、同院の特色や力を入れている治療などについて聞いた。(取材日2024年9月4日)
病院の特色をお聞かせください。
股・膝・肩などの関節疾患、および脊柱管狭窄症などの脊椎疾患に強みを持つ整形外科の専門病院です。比較的軽症の場合は保存的療法も選択肢とし、必要に応じて人工関節手術や脊椎外科手術を中心とした手術療法をご提案します。いずれの手術療法におきましても、患者さんの体の負担を少なくした低侵襲での手術を実施している点も特徴です。院内にはCT、MRI、超音波、透視機能つきエックス線、骨密度測定器といった大学病院と同等クラスの検査機器を備え、最短で初診当日にCTやMRIでの検査が可能です。迅速な診断と治療を可能とし、手術後のリハビリテーションも早期に開始し、退院後の自立につなげています。当院では対応が難しい外傷や、特殊な検査や専門的な治療が必要な疾患は、速やかに連携する医療機関にご紹介しています。
最近目立つ疾患、気になる疾患はありますか。
骨粗しょう症に伴う圧迫骨折が多く見られます。骨粗しょう症というと高齢の方を想像されるかもしれませんが、閉経後の女性も急激に骨密度が減る傾向にあります。すると、脊椎が弱くなり、重いものを持ち上げたり、尻もちをついたりした拍子に背骨が押しつぶされて変形したり、胸椎・腰椎の圧迫骨折を起こしたりすることがあります。この場合、当院では、背骨に骨セメントを注入する治療を行います。しかし、根本にある骨粗しょう症の治療を並行して行わなければ、何度も骨折を繰り返すことになりかねません。当院でも治療は行っていますが、骨粗しょう症は継続的な治療が肝なので、できれば身近なかかりつけのクリニックで診てもらえたほうが患者さんの利便性は高いでしょう。治療ができるクリニックはまだ限定的なので、骨粗しょう症治療の進め方や、病院と連携して治療することの意義などについて、定期的に地域連携の会を開催して啓発しています。
内視鏡治療や腰椎固定術のメリットなどを教えてください。
内視鏡治療による体の傷は8mm程度で済むため、痛みが少なく回復までの時間が早まることが期待できます。ただ、小さな入り口から治療するため、手術時間が長くなるのはデメリットといえるでしょう。加えて、手術部位から出る血の塊を排出するドレインの管理に長けていないと、安全性が損なわれる点に注意が必要です。当院では内視鏡治療に習熟した医師とスタッフが手術を行っていますので、安心してお任せください。また、腰椎固定術は、内視鏡治療で圧迫を取り除いても痛みが改善されない腰椎変性すべり症などに対して、数センチの切開部から金属板を入れて固定する手術です。体を支える機能を補うことで症状の改善が期待できますが、金属板を入れた後に痛みが伴うため、術後の疼痛管理が欠かせません。適切な管理をしても痛みがゼロにはならないので、事前にその点を詳しく説明したうえでご検討いただくようにしています。
早期のリハビリテーションを重視されているのはなぜですか。
早期からリハビリテーションを始めることで、早期の社会復帰が期待できるからです。リハビリテーションは整形外科に欠かせない重要な治療で、「手術5割、リハビリテーション5割」といっても過言ではありません。当院では手術当日または翌日からリハビリテーションを開始し、理学療法士がマンツーマンで筋力の回復をめざす運動療法を行います。また、筋肉の使い方や適切な姿勢なども指導し、患者さんが自立した暮らしをできるようサポートします。私をはじめとする医師、理学療法士、看護師は毎週カンファレンスを行い患者さんの状態を共有しているため、治療からリハビリテーションまでの方針に一貫性があり、退院までの予定をご本人やご家族とも具体的に話し合うことができます。治療にもリハビリテーションにも適切なタイミングで介入することが重要で、即座に検査して現状を把握できる当院のような専門病院の存在意義は今後大きくなると思っています。
これからの目標や地域の方々へのメッセージをお願いします。
開業時から病床数を増やし、現在は42床で運用しています。地域の方に広く知っていただいたおかげで手術件数は飛躍的に伸びていますが、まだまだ対応できる余力がありますので、頼りにしていただきたいですね。「腰痛が続いている」などといった場合、MRIですぐに原因が解明できることも少なくありません。腰の痛みや足の痛み・しびれ、歩行障害などでお悩みの方、低侵襲の手術やスピーディーな対応が可能な医療機関をお探しの方は、ぜひ当院にご相談ください。最初から手術を念頭に置いて受診され、当日の検査と診断で手術が適切と判断されれば、初診から1、2週間後には手術を受けていただけます。私の専門分野である脊椎手術では、将来的にはAR(拡張現実)を使った手術も可能になるでしょう。そうした先進的な医療を積極的に取り入れていきますので、今後の当院にどうぞご期待ください。
越宗 幸一郎 院長
国立岡山病院(現・国立病院機構岡山医療センター)で脊椎・脊髄外科を中心に診療経験を積む。岡山県、広島県、兵庫県神戸市などの関連病院で整形外科、脊椎・脊髄外科に従事。2019年に同院の立ち上げ時から参加し、2020年の開院後は脊椎・脊髄外科領域を専門に診療する。2022年から現職。日本整形外科学会整形外科専門医。