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横浜市立大学附属 市民総合医療センター

(神奈川県 横浜市南区)

榊原 秀也 病院長

最終更新日:2020/11/25

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決して逃げない医療で、市民の生命を守る

1871年、横浜市中区に開設された仮設の市民病院に始まり、関東大震災や第二次世界大戦の被害による移転・再建の中で、約150年も診療を続けてきた「横浜市立大学附属市民総合医療センター」。市民には市大センター病院として親しまれ、現在は同市金沢区にある横浜市立大学附属病院とともに、横浜市の高度医療を支える存在の一つだ。同院は治療が難しい患者も受け入れ、市民の生命を守る「最後の砦」のような役割を担うという。「どんなに重症の患者さんにも可能な限りの治療を尽くす、『決して逃げない』医療の実践が当院の役割です」と語る榊原秀也病院長。2020年の新型コロナウイルスの感染拡大時でも多くの重症患者に対応し、体外式膜型人工肺(ECMO)による治療も行った。榊原病院長は「患者さんに少しでも早く回復していただき、患者さんが住み慣れた地域で療養できるような地域連携も重要」と、患者の受け入れから退院後の療養先の選定まで円滑に行う入退院支援にも力を入れる。「地域の医療機関と協力して地域全体の医療の質を高めたい」と話す榊原病院長に、同院の特色や今後の動きを聞いた。(取材日2020年8月24日)

こちらの病院が地域で果たす役割をお聞かせください。

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当院は大学病院が備える高度医療・教育・研究といった役割と、「市民の皆さまに信頼され愛される病院を創造する」を基本理念に持ち、市民の生命を守る「最後の砦」とも呼べる役割を担います。診療面では、重症の患者さんに高度な医療で迅速に対応する高度急性期医療、新たな医療技術を積極的に採り入れる専門性の高い先進的医療、特殊な症例も含む重症の患者さんに24時間対応する三次救急医療を主とし、幅広い診療科を開設しています。こうした当院の役割を再認識したのが、新型コロナウイルスの感染拡大でした。私が病院長に就任した2020年4月に政府による緊急事態宣言が出されましたが、当院では2月から重症の患者さんを受け入れており、新型コロナウイルス感染症専用病床を確保し、院内の徹底したゾーニングなど適切な対策を行って、その後も多くの重症の患者さんを診てきました。私は「逃げずに立ち向かう医療」の事例の一つと捉えています。

診療面で力を入れている分野などを教えてください。

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循環器、消化器、呼吸器といった分野は内科と外科が密に協力し、緊急の治療や高い専門性が必要な治療を行い、同時に体への負担を軽減する低侵襲の治療にも力を入れています。循環器分野では、心筋梗塞・狭心症をはじめとした虚血性心疾患、大動脈疾患などは症状に応じてカテーテル治療や外科手術を実施。心臓弁膜症も外科手術に加えTAVIと呼ばれる専門的なカテーテル治療に対応します。消化器分野は早期がんに対する内視鏡治療、胆膵がんへの化学療法や内視鏡治療、肝がんのラジオ波治療などの低侵襲治療、外科による大腸がん手術を多数手がけます。呼吸器分野は慢性閉塞性肺疾患(COPD)、睡眠時無呼吸症候群、肺がんなどの症例も多く診ています。また、各診療科は高度救命救急センターと連携し救急医療にも協力します。さらに自己免疫の病気であるリウマチなどの膠原病、炎症性腸疾患(IBD)は、それぞれ専用の診療部門を設けています。

妊娠・出産期から小児まで母子の医療も重視されていますね。

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当院は2000年から産科と新生児科が一体となり、母体・胎児・新生児に一貫した医療を提供し、2017年には神奈川県の総合周産期母子医療センターとなり、多くの産科救急・新生児救急を受け入れてきました。加えて小児医療は他の診療科と連携してお子さんの病気を総合的にケアする体制を整え、小児救急にも積極的に対応しています。産科では40代での出産も珍しくなく、各種合併症への懸念も高まっています。また新生児医療が進歩し、1000g未満の超低出生体重児のお子さんの出産も可能になりました。横浜市からこうした時代に必要な周産期医療、小児医療分野の高度医療の要望を受け、当院では高度な専門性を持つスタッフによる質を重視したケアをご提供しています。一般の分娩では母乳育児、1日24時間母子同室など、母子への優しさを大切にし、今後は産科、新生児科、小児科を同フロアに配置するなど、さらに一体的なケアを充実させる予定です。

地域との医療連携はどのように行われていますか。

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当院は地域の医療機関からご紹介を受け、高度専門医療が必要な患者さんを集中して治療する地域医療支援病院で、治療を終えた後は地域で診ていただけるようサポートします。当院でこのような地域医療連携の主体となるのが地域連携推進部です。ご紹介いただいた患者さんは同部の地域連携担当が対応し、入院手続きを進める一方で、退院後に一定の療養が必要と思われるケースには、入退院支援担当が療養先と考えられる医療機関や介護施設と話し合いを進めています。このため入院直後に、患者さんやご家族と退院後のご相談もできる体制が整っているのです。私は患者さんに早く回復していただき、住み慣れた地域で療養されるのが何よりと考え、当院のような高度医療を行う病院の入院期間、外来の滞在時間をなるべく少なくするよう尽力しています。また同部では医療ソーシャルワーカーによる相談支援、がん医療に関する地域との調整などの地域連携も担っています。

今後の新たな取り組みについて教えてください。

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当院の高度救命救急センターは「断らない救急医療」を掲げ、救急車への対応にとどまらず、事故・病気の発生現場にドクターカーで医師を派遣する、現場からの早期治療開始を重視してきました。加えてECMOによる治療が可能な専用救急車両「モバイルICUカー」を開発し、横須賀市立市民病院と協力して、新型コロナウイルス感染症はじめ重症な呼吸器疾患の早期治療も始めています。また院内の医療設備の充実も図り、例えばロボット支援手術を行う機器と専用手術室を2021年度に設置予定です。手術室はこれを含め計3室を増室予定で、日帰り手術にも多く対応する方針です。さらに一部の診療科ではオンラインによるセカンドオピニオンも実施するなど、医療の質と患者さんの利便性を同時に高めるよう体制を整備します。当院は2021年に創立150周年を迎えますが、今後も市民に信頼され、愛される病院であるために、さまざまな取り組みを進めていきます。

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榊原 秀也 病院長

1985年横浜市立大学医学部卒業後、産婦人科を専攻し、大学病院、関連病院などで経験を積む。カリフォルニア大学サンフランシスコ校生殖内分泌センターにリサーチフェローとして留学。帰国後は横浜市立大学医学部講師、准教授、診療教授を歴任。横浜市立大学付属市民総合医療センター婦人科部長、同診療教授などを務め、2020年4月から現職。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本内分泌学会内分泌代謝科専門医など。

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