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横浜市立大学附属市民総合医療センター

(神奈川県 横浜市南区)

田村 功一 病院長

最終更新日:2025/12/02

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地域の砦として「先端医療の、その先へ」

1871年、医師の早矢仕有的氏が設立した長崎に次ぐ全国2番目の近代西洋式病院に始まり、関東大震災や第二次世界大戦の被害による移転・再建を繰り返しながらも、約150年にわたり診療を続けてきた「横浜市立大学附属市民総合医療センター」。市民には「市大センター病院」として親しまれ、現在は同市金沢区にある横浜市立大学附属病院とともに、横浜市の高度医療を支える存在の一つだ。市民の生命を守る「最後の砦」をめざし、高度専門医療、救急医療を実践。幅広い診療科を設けて内科・外科が連携することはもちろん、高度救命救急センターとも密に連携し、「決して逃げない医療」を提供している。「『先端医療の、その先へ』というスローガンを掲げ、専門性の追求にとどまらず、多職種が協働しながら一人ひとりの患者さんを広く支える全人的医療をめざしています」と語る田村功一病院長に、同院の今とこれからを聞いた。(取材日2025年8月27日)

こちらの特徴と役割をどのように捉えていますか?

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当院は横浜市立大学の付属病院の一つで、研究・高度専門医療・救急医療の三本柱を掲げています。横浜市立大学では、石川学長が掲げる「研究の横浜市立大学」のもと、国が進める「J‐PEAKS(地域中核・特色ある研究大学強化促進事業)」の採択大学の一つとして、産学共同で臨床と結びついた研究を強化しています。当院でも大学付属病院の専門性、また明治時代からの洋式病院としての歴史と伝統、市中心部に位置する利便性を生かし、横浜市立大学や横浜市立大学附属病院との一体感を向上させながら、高度専門医療を追求しています。さらに、当院の救急は高度救命救急センターでの三次救急のみならず、一次、二次救急にも対応しています。高齢化で救急搬送件数が増える中、今年から二次救急の輪番制にも参加し、地域ニーズに応える努力を続けています。つまり、先端でありながら地域に根差すことを目標とする、これが当院の特徴であり役割なのです。

就任から1年、これまでの取り組みを教えてください。

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組織改革を進め、安全性に配慮した質の高い医療を保ちつつ、持続可能な経営に向けて収益の確保に努めてきました。組織の改革には、明確な理念を示した上で、具体的方策を提示すべきというのが私の考え。実は新型コロナウイルス感染症の流行下において透析患者さんの対応に奔走しながら、大学院で病院経営やマネジメントを学び、MBAも取得しました。先に挙げた三本柱を理念としつつ、大学付属病院でありながら地域に根差した病院として積極的に救急患者を受け入れること、昨年度GHCUを2床増やし、重症者に集中治療室での高度全身管理を広げることなどを具体策として取り組んでいます。これらの取り組みにおいて他職種の連携は不可欠。協力して効率的な動きを工夫し、その積み重ねで改善を図っています。病院は一人の力では変わりません。組織全体で意識改革を進め、健全な経営と良質な医療の両立をめざしているところです。

他院との連携や地域医療に向けた工夫はありますか?

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救急医療において、これまでは三次救急中心でしたが、現在は二次救急も担い、より幅広い患者さんを受け入れています。地域の先生方が患者さんを紹介しやすいように、SNS予約システムを導入したり、初診枠を増やしたりと、間口を広げているのも工夫の一つです。また、受け入れた患者さんの状態が安定したら必要に応じて地域に逆紹介する、いわゆるダブル主治医制度も実践し、入院前から退院までの一貫した支援を提供するよう取り組んでいます。立地上、どうしても横浜市内だけに目が行きがちですが、神奈川県全体を視野に入れることも必要です。150年以上前に官民合資で生まれた「十全病院」をルーツに持つ歴史ある病院ですから、地域とともに歩む姿勢を大切にしています。地域の皆さんにとって気軽に頼れる存在でありたいと考えています。

病院として掲げる理念や将来のビジョンを教えてください。

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私たちが掲げているスローガンは「先端医療の、その先へ」です。少子高齢化を受け、糖尿病、腎臓病、循環器疾患、がんなど、複数疾患と闘う方が増えています。専門性を深めるだけでは不十分で、複数の病気を抱えた患者さんを全人的に支えることが求められているのです。各分野の知恵を持ち寄り、少しでも予後を良くすることがわれわれの使命。先端医療は「狭く深く」なりがちですが、それに加えて「広く支える」視点を忘れずに向き合い続けたいと考えています。また、医学データサイエンスの専門家であり、横浜市立大学特命副学長も歴任した横浜市長が提唱する、AIを介しての文医連携にも取り組むべきでしょう。市民の健康寿命を延ばすことこそ、当院のめざす医療の姿です。もちろん、これは当院が進めるだけでは不十分。行政や地域医療機関とも手を携えて、今後も取り組みを進めていきたいと思います。

市民や患者さんに伝えたいメッセージはありますか?

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大学病院と聞くと格式が高いと思われがちですが、決してそうではありません。患者さんが受診に迷うのはもちろん、地域のドクターも「このような患者を送って良いものか」と悩むという話も聞きます。横浜市の中心に位置する大学病院として、高度専門医療を必要とする患者さんだけではなく、一般診療そして比較的軽症の一次救急から中等症の二次救急、そして重症で緊急手術を必要とするような三次救急の患者さんに至るまでのシームレスで確実な診療応需体制を多職種協働にて構築していることが特長です。地域の先生方とも緊密に連携しています。紹介いただいた患者さんは必要に応じて地域に逆紹介し、安心してかかりつけ医院に戻っていただける体制も整えています。「先端医療の、その先へ」という理念のもと、私たちは市民の皆さんの生活と健康を支えるために全力を尽くしています。どうぞ遠慮なく、気軽に当院を頼っていただければと思います。

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田村 功一 病院長

横浜市立大学大学院医学研究科修了。医学博士。日本学術振興会海外特別研究員として米ハーバード大学医学部留学。横浜市立大学医学部循環器・腎臓・高血圧内科学主任教授、同大学附属病院副病院長兼患者サポートセンター長、横浜国立大学総合学術高等研究院(IMS)次世代ヘルステクノロジーセンター副センター長兼IMS客員教授などを歴任後、2024年4月横浜市立大学附属市民総合医療センター着任、同年6月より現職。

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