医療法人伯鳳会 東京曳舟病院
(東京都 墨田区)
西田 修 病院長
最終更新日:2026/05/20


「質と安全」にこだわる急性期病院
断らない救急医療を掲げ、地域を支える「東京曳舟病院」。地域の救急を担うとともに、各専門分野の医師を拡充するなど「医療の質向上」と「安全」をめざし、診療体制と運用を更新してきた。災害対応では災害拠点病院として日本DMAT(災害派遣医療チーム)を保有し、浸水を想定した救急機能の2階配置、ボートやドローン(無人航空機)の訓練、メディカルコネックスの配備などで実働性を強化。さらにフォトンカウンティングCTの運用を軸に、必要時には他医療機関からの検査依頼にも読影結果を添えて返すなど、地域全体の診療を支える姿勢を前面に据えている。曳舟駅直結、浅草・スカイツリーにも近い立地性を背景に、旅行者や訪日外国人の万が一の受け皿にも名乗りを上げる同院。2025年4月に就任した西田修病院長に、同院の現在地と展望を聞いた。(取材日2026年2月12日)
近年、病院として力を入れている強化ポイントを教えてください。

近年、医療の質と安全に配慮した体制強化の一環としてフォトンカウンティングCTを導入しました。エックス線を粒単位で読み取ることで0.1~0.2ミリの描出も期待できる高精細画像が得られ、被ばく量も従来の約5分の1に抑えられます。さらにスキャンが速く、息止めが不十分でも像が乱れにくい。心臓など動き続ける臓器をはじめ、骨を留めるネジなど医療用金属があっても描出が妨げられにくいのが特徴です。循環器では冠動脈狭窄や血流を捉えやすく、少量の造影剤で腎負担や重い副作用リスクの軽減も見込めます。脳神経でも脳梗塞の回復可能性が残る境界領域の見極めに役立ちます。この検査基盤は当院だけのためではなく、地域の診療を支えるためのものです。検査のご紹介も歓迎し、近隣医療機関からの依頼には読影結果を添えてお戻しします。大学とも連携しながら運用の幅を広げ、迷ったときに適切な判断材料を示せる受け皿として貢献していきます。
診療体制の充実も図っているそうですね。

診療体制は2026年4月を中心に大きく変わります。脳神経外科では、一刻を争う脳梗塞などに対する血栓回収療法をこれまでも24時間365日受けつけてきましたが、このほど血管内治療のエキスパート2人が加わり、さらに体制が強化されています。外科も増員が実現し、これまで難しかった救急手術にも対応します。整形外科は2025年に開設した四肢外傷部門で手術を行い、脊椎の専門性も厚くなっています。総合診療は藤田医科大学病院と連携した教育プログラムを開始し、将来の在宅医療の提供も視野に臓器横断で診る受け皿として、整形手術前後の内科的な問題も支えるほか、さらに手厚くなった救急科と協力して内科系の救急患者さんの対応にあたる予定です。また数少ない足の外科を専門とする医師が入職し、外反母趾や小児の足の悩みに特化した外来を開設し、必要に応じ手術まで行える体制を整えました。
救急医療や災害医療にも力を入れていらっしゃいます。

救急医療は、着任後に体制と運用を見直し、可能な限り断らずに動ける仕組みに改めてきました。救急隊から搬送可否の照会を受けた際の確認は必要最小限にとどめ、到着後の動線も短くして初動を速めています。判断が属人的にならないよう院内ルールを整え、迷う症例は転送も含めて「即決」を基本に。病床回転も重視し、在院日数が延びる要因を分類して手を打ち、満床で対応できない状態を減らしてきました。その結果、2025年4月以降は救急搬送数と応需率が大きく伸びています。また災害医療は災害拠点病院としての備えを軸に、日本DMATにも参加。当院施設は浸水を想定して救急センターと救急科外来は2階に置き、所有するボートやドローンの運用訓練を重ねています。現地で診療・検査を行えるトレーラー型医療ユニット「メディカルコネックス」も配備し、いざという時に動けるよう十分な準備を積み重ねています。
患者さんの安心のために多様な取り組みをなされているのですね。

医師体制を手厚くしているのは医療の質と安全を最優先に考えているからです。医師が診断や治療方針の判断、そして患者さんやご家族への説明に真摯に向き合えるよう環境を整えています。特に手術前や退院・転院など重要な場面では、丁寧な説明と十分なご納得が欠かせません。ときにはオンライン面談も活用し、コミュニケーションの質と利便性を高めています。安全面においても、精緻なカルテ記載や多重の安全確認のため時間と人員を確保しています。タスク・シフト/シェアを推進し、医師が本来の専門業務に集中できる体制を築くことが、結果として患者さんの安心につながると考えています。さらに総合診療を専門とする医師を複数配置し、原因不明の体調不良の診断を行うとともに、複雑な病態に対して各科専門家と連携しながら包括的な診療を提供しています。併せて、地域の他の医療機関や福祉施設とも連携し、切れ目のない支援につながる体制を整えています。
読者へのメッセージをお願いいたします。

当院は200床すべてが急性期一般病床です。病態や回復の段階に応じて適切な医療機関へ、また必要に応じて専門性の高い病院へと、スムーズな橋渡しを行っています。同時に、入院中から積極的なリハビリを実施し、退院後も訪問リハビリを含め生活の場で継続できる体制を整えています。在宅医療への取り組みを通じて、各医療機関や福祉施設、介護サービスが地域を「面」で支える流れを強めていきたいと考えます。当院は駅直結のアクセスの良さが強みです。通勤通学の動線にあり、浅草や東京スカイツリーにも近い観光地という特性のある場所だからこそ、地域の方はもちろん、国内旅行中の方や訪日外国人、透析などの治療を継続しながら移動する方も含め、体調を崩した時に迷わず医療にたどり着ける受け皿でありたいです。いざという時に救急車で来られる安心と、日常の通院のしやすさを両立させ、暮らしの基盤を固めていきます。

西田 修 病院長
1986年名古屋市立大学医学部卒業。カナダ・トロント大学客員教授、名古屋市立大学集中治療部助教授、藤田医科大学麻酔・侵襲制御医学講座主任教授、副院長などを経験。2025年より現職。日本集中治療医学会監事、日本医師会Covid-19有識者会議構成員、日本専門医機構認定麻酔科専門医。宮内庁で「新型コロナウイルス感染症と集中治療」に関する講義の経験も。





