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東京慈恵会医科大学葛飾医療センター

(東京都 葛飾区)

飯田 誠 院長

最終更新日:2024/09/12

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総合診療体制で地域の多様なニーズに対応

東京慈恵会医科大学の4つの附属病院の中で、本院に次ぐ長い歴史を持つのが「東京慈恵会医科大学葛飾医療センター」だ。患者の約9割を近隣の葛飾、江戸川、足立、荒川各区の住民が占めており、区東北部医療圏の急性期医療を支え続けてきた。荒川と並行して流れる中川に面し、住宅街に囲まれるようにどっしりと構えるそのたたずまいもまた、「地域密着型の病院」としてのこれまでの歩みを彷彿とさせる。同大の理念である「病気を診ずして、病人を診よ」の言葉通り、診療にとどまらず患者の退院後の生活にまで目配りし、地域の病院、開業医、行政、福祉関係者との緊密な連携のもと、全人的な医療の提供に努めている。「この規模の大学病院だからこそ、診療科の垣根なく多職種連携が図られ、複数の合併症を抱える患者さんにも対応しやすい総合診療体制を整えています」と語る飯田誠院長に、同院の歩みや地域連携の取り組みなどについてじっくり話を聞いた。(取材日2024年4月22日)

こちらは「地域密着型」の大学病院なのだそうですね。

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葛飾区、江戸川区など近隣にお住まいの方が患者さんの約9割を占めており、地域の皆さんから親しみいただいているという実感があります。それは前身である「東京慈恵会医科大学附属中川堤療養所」の開院以来続く当院の特徴であり、区東北部医療圏の中核としての役割を担い続けています。2012年の新病院完成と「葛飾医療センター」への改称から12年。変化の著しい時代にあって、地域のニーズに幅広く対応する急性期病院としての位置づけを明確にしつつ、地域の関係機関との連携強化を図りながら歩みを進めてきました。大学病院としては規模は小さいですが、だからこそ診療科ごとの縦割りに陥ることなく、多職種間、あるいは診療科相互の横の連携が取りやすいため、互いに顔の見える関係性の中で総合力を発揮できるというのが、当院の最大の強みだと考えています。

診療環境にも総合診療体制の考え方が反映されているようですね。

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まず、病院1階に救急部、内科、小児科を同区画に収めた「プライマリーケアユニット」を設けて一体的な運用を進め、お子さんからご高齢の方まで、救急の患者さんを1つの部署で診る体制をとっています。設備面では高解像度のMRIをはじめ、CTや内視鏡、血管造影に用いるアンギオグラフィーなど、各種検査機器を順次適したものに更新しており、外部からのオーダーにも応える形で医療資源の共同利用にも積極的に対応しています。また、入院用ベッドの空き状況、ICUやCCUの稼働状況などのリアルタイムの情報を、スタッフの携帯電話に通知できる仕組みが整っていること、加えて、病院で通常行われているような診療科ごとの入院ベッド数の割り当てをせず、小児科と産科を除くすべての科で空いているベッドを共有していることも、救急や入院受け入れの門戸拡大につながっています。

患者の退院後の生活を見据えた支援にも注力されていますね。

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院内の「入退院・医療連携センター」を窓口として、専属の看護師やソーシャルワーカー、事務スタッフがチームとなって、入院前の段階から退院後の生活設計のサポートを行っています。ペイシェント・フロー・マネジメント(PFM)と銘打ったこの取り組みは、センター内のヒアリングブースで患者さんやご家族に、仕事や経済状況、ご家庭内の介護力などを聞き取り、退院後の生活環境を整える支援、受け入れ病院や施設の検討、各種社会保障の利用などについてアドバイスします。当院の入院患者のうち約5割を65歳以上の方が占め、退院後の診療面と生活双方に対するサポートは不可欠です。地域の開業医の先生方との連携も強化しつつ、当病院とかかりつけの双方に主治医がいる「2人主治医制」のもと、退院後も切れ目なく、安心して必要な医療を受けられる体制づくりを行っています。

地域の医師会、病院などとの連携組織も発足させたと伺いました。

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昨年春に当院からの呼びかけで、「地域医療支援委員会」を発足させました。地域の医師会長や歯科医師会長、近隣病院の院長、行政、消防署長にご参加いただき、関係機関の生の声を聞く貴重な機会をいただいています。地域医療の一翼を担う病院として独りよがりな運営ではいけませんし、外から見て葛飾医療センターの現状はどうなのか、客観的な視点からの忌憚のないご意見ご要望をお受けして、できることから改善につなげていきたいと考えています。年4回の会合の中では、例えば救急に関する話題も多く出されました。連携先からの要望も理解し、歩調を合わせるよう努めていくことは、より緊密な連携を図る上で重要なことだと考えます。

今後の展望と読者に向けたメッセージをお願いします。

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国の方針に従い、今後は当院も入院や救急により注力していくことが見込まれ、2023年8月には「紹介受診重点医療機関」となりました。近年は救急ニーズの高い循環器内科において、直接専門の医師につながるホットラインを設けてスムーズな救急の受け入れに奏功しているほか、とりわけ地域の需要が高い呼吸器内科、地域で数少ない入院加療にも対応する耳鼻咽喉科など、各科ともさらなる高みをめざして日々の診療にあたっています。横の連携をいかんなく発揮しつつ、「地域と共生し、進化・創造し続ける病院」として、必要な医療を適時適切に提供できるよう努めてまいります。質の高い医療の提供、若手医師の育成といった大学病院としての役割も含め、当院の存在が今後とも、地域の皆さまの安心感につながることを願っています。

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飯田 誠 院長

1992年東京慈恵会医科大学卒業。同年東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科学講座入局。国立小児病院(現・国立成育医療研究センター)免疫アレルギー研究部での研鑽を積み、2005年同大附属青戸病院(現・同大学葛飾医療センター)耳鼻咽喉科診療部長に就任。副院長を経て2022年4月から現職。副鼻腔疾患を専門とし、耳鼻咽喉科レジテント教育にも力を注ぐ。同大耳鼻咽喉科学講座教授、医学博士。

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