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東京慈恵会医科大学葛飾医療センター

(東京都 葛飾区)

吉田 和彦 院長

最終更新日:2020/11/25

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総合診療、救急医療の地域ニーズにも対応

東京慈恵会医科大学の4つの附属病院のうち、本院に次ぐ歴史を持つのが「東京慈恵会医科大学葛飾医療センター」だ。患者の約8割が7km圏内から来院する地域密着型の病院で、葛飾区を中心に荒川区、足立区の急性期医療を担ってきた。同院の吉田和彦院長は医療機関や福祉施設が連携し、地域で高齢者を支える体制に欠かせない急性期病院をめざすという。「そのために地域の重要なニーズである24時間対応の救急医療に力を入れ、複数の病気になることが多い高齢の方にも有用な総合診療を充実させました」。大学の理念である「病気を診ずして 病人を診よ」を受け継ぎ、総合内科と専門の各診療科が協力して全人的医療を行うのが同院の考えだ。「当医療センターと近隣の医療機関・福祉施設との連携で、遠くの病院まで行かなくても、ほとんどの医療がここで完結できます。さらに当医療センターは地域連携をもとに、患者さんの入院時から退院後の生活まで見据えた支援を行いますから、安心してご利用いただきたいですね」。2012年の新病院完成など、着実に診療体制の整備を進める同院の現状と今後について吉田院長に聞いた。(取材日2018年5月28日)

こちらがめざす「地域密着型の病院」について教えてください。

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当医療センターは2012年の新病院完成時に病院名を青戸病院から葛飾医療センターと変更し、「総合診療体制・救急医療体制を強化し地域密着型病院をめざす。同時に医療者への全人的・総合的教育を提供する。」とのビジョンを掲げ、地域のニーズに対応した急性期病院との位置付けを明確にしました。総合診療は、例えば高齢の患者さんが複数の病気を持つような場合、一人ひとりの症状や体調を総合的に診て、治療の優先順位を決めるといった重要な役割を果たします。救急は24時間365日オープンし、二次救急と呼ばれる中等症の患者さんまで診ています。小児科救急もあるため年齢を問わず対応できるのも強みで、日中は救急部専属の医師を中心に、夜間は外科、内科、循環器内科、小児科、産婦人科など各診療科の医師が待機しています。もちろん大学病院の大事な役目である後進の育成にも注力し、全人的医療を実践する人材を育てたいと考えています。

新病院にもそうした狙いが反映されていると聞きました。

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ええ、病院1階に救急部、内科、小児科を同区画に収めた「プライマリーケアユニット」の一体的な運用により、お子さんから高齢の方まで救急の患者さんを一つの部署で診る体制で、必要なときには専門の各診療科も連携します。「断らない救急」に向けてさらに体制の充実を図る予定です。また新病院となった後も医療機器を順次充実させ、現在はCT2台、MRI2台、8室ある手術室のうち内視鏡対応が4室、アンギオグラフィー(血管造影法)対応が2室と、地域の急性期病院として十分な設備を擁し、23の診療科で幅広い分野をカバーします。アンギオグラフィーは血管の状態を画像で把握する装置で、診断時だけでなく脳の血管内治療、不整脈のカテーテルアブレーション治療といった手術でも活用され、体への負担が少ない治療を実践できるよう環境を整備しました。

地域の医療機関とはどのように連携していますか?

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医療機関との連携窓口および患者さんの相談窓口である「入退院・医療連携センター」を設け、専属の看護師、ソーシャルワーカー、手続きを担当する事務スタッフなどが対応しています。特に当医療センターは入院前から退院後の生活も見据えた支援を行うPFM(ペーシャント・フロー・マネジメント)に力を入れ、ご紹介の患者さんなどは入院前、救急での入院なら入院直後に相談の機会を設けています。具体的には同センターに設けたヒアリング用のブースで、患者さんやご家族に仕事やお金の問題、ご家庭の介護力などを伺い、退院後の生活環境を整える支援、受け入れ病院や施設の検討、各種社会保障の利用アドバイスなどを行うものです。また入院される方の半数近くが65歳以上のため、退院後も地域の医療機関による継続的な診療は欠かせません。幸い周囲に看取りまで重視される先生方が多く、密接な連携で末期がんの患者さんの在宅療養も可能になっています。

そのほか診療面ではどんな特色がありますか?

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当医療センターは全人的医療を基本とし、総合内科を中心に一般的な病気を幅広く診ていく中で前述した脳の血管内治療、不整脈のアブレーション治療など、地域のニーズに応じて新たな医療は随時とり入れています。脳の血管内治療は脳神経外科の担当ですが、同科では脳腫瘍に対して手術、放射線治療、化学療法を組み合わせる集学的治療のほか、神経内視鏡手術も行っています。加えて神経内科では、診断が難しいとされるパーキンソン症候群に対し、脳疾患診断薬を使用し脳内のドパミン神経の変性を画像で示す画像診断法により、客観的データにもとづく診断を行っています。また脳神経外科と協力して脳深部刺激療法によるパーキンソン病の手術治療にも取り組んでいます。不整脈のアブレーション治療は循環器内科で行い、このほかに心筋梗塞や狭心症などにはバルーンやステントを用いたカテーテル治療も提供しています。

この病院の今後の目標について教えてください。

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当医療センターは地域医療と後進の育成に尽力するというビジョンのもと、「地域と共生し進化・創造し続ける病院」をめざしています。現在はその目標に向け、大学の理念「病気を診ずして 病人を診よ」を継承しつつ、3つの課題の解決に向けた作業部会を立ち上げました。課題とは「断らない救急の実現」、「手術室の効果的・効率的な運用」、「外来/病棟の働き方改革」で、これらは患者さんが適切な治療を受ける機会を増やすことになり、また職員が安心して働ける職場環境は医療安全にも資すると考えています。また教育病院としては、医学部や他の医療系の学生や研修医にとって「将来はこんな医療従事者になりたい」と思えるロールモデルが多く勤める病院をめざすと同時に、多様な病気の診療経験をもとに幅広く対応できる医師やスタッフを育て、日本の地域医療に貢献したいと考えています。

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吉田 和彦 院長

1980年東京慈恵会医科大学医学部卒業。都内の総合病院で研修医およびレジデントを経験後、1984年から東京慈恵会医科大学医学部第一外科学教室助手、講師、助教授、教授を歴任。その間、癌研究会付属病院(現・がん研有明病院)外科医員なども務め、2004年に東京慈恵会医科大学附属青戸病院(現・葛飾医療センター)外科診療部長に就任。副院長を経て、2018年4月より現職。

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