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自治医科大学附属さいたま医療センター

(埼玉県 さいたま市大宮区)

遠藤 俊輔 センター長

最終更新日:2020/11/25

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三次救急と高度医療で地域を支える中核病院

2001年、浦和市・大宮市・与野市が合併して誕生したさいたま市。今や130万人を超える人々が暮らす大都市となったが、実は人口あたりの医師数が少ないと地域という意外な側面も持つ。そこで高度医療を担う“最後の砦”として市民の健康を守っているのが「自治医科大学附属さいたま医療センター」だ。2016年に三次救急に対応する救命救急センターを開設。重症患者を受け入れる救急医療に加え、循環器治療・周産期医療・がん治療を診療の柱に据えている。特に循環器治療では心臓血管外科手術を数多く手がけ、内科的なカテーテル治療にも注力。社会の高齢化に伴って今後心不全などの循環器疾患の増加が危惧される中、地域での存在価値をますます高めていくに違いない。2020年4月にセンター長に就任した遠藤俊輔先生は「これからの高齢社会では急性期医療といえども治す治療ばかりでなく癒やす治療も必要。今まで以上に地域の先生方と密接に連携して患者さんのケアに努めていくつもりです」と語る。地域の高度医療を担う大学病院としてさいたま市の医療をけん引しながら、患者本位の心の通った医療を展開していく考えだ。
(取材日2020年8月3日)

2016年に救命救急センターを開設されたそうですね。

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これまで大宮周辺には救命救急センターが1施設しかなく、三次救急への対応が十分ではありませんでした。当センターではそうした地域のニーズを受けて、救急を専門とする医師を配置し、救急専用のハイブリッド手術室などの設備を用意し重篤な救急患者を受け入れられる体制を整えました。年間の救急搬送件数は7600台を超え(2019年4月~2020年3月)、多いときには1ヵ月で1000件以上の搬送を受け入れています。重症患者に多く対応し、地域に貢献できているのではないかと思います。また、三次救急を始めたことで二次救急がおろそかにならないよう、救命救急センターが各診療科の医師たちと協力しながら治療にあたっています。そうした各診療科のバックアップがあるからこそ、安心して患者さんたちを引き受けることができるのです。

三次救急を担う“最後の砦”の役割を果たされているのですね。

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地域の先生方からは、当センターが「最後の砦だ」と言っていただくことが多く、その期待に応えていきたいと思っています。埼玉県では救急搬送時に2回受け入れを断られた場合に、3回目で必ず受け入れる病院の一つとして当センターが指定されています。いわゆる“たらい回し”を防ぐための取り決めです。2017年12月からはドクターカーの運用をスタート。医師が直接現場に行って診断をすることで、正確な状況判断で迅速な処置につなげています。さらに救急専用の集中治療室であるEICUを8床開設したほか、ICU・CCUを22床設けて、集中治療を専門とするスタッフが術後を管理しています。救命救急センター開設当初にはできなかった脳血管内治療部や形成外科に人員を配置したことで、脳梗塞患者へのカテーテル治療や指の切断への治療、術後の再建治療など治療の幅も広がりました。三次救急で必要となる治療はほぼカバーしています。

特徴のある診療について教えてください。

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当センターの開設当初から地元医師会を中心に要望の高かった循環器治療、ハイリスク妊婦にも対応する周産期医療、がん治療は診療の大きな柱です。循環器分野では、心臓血管外科での手術件数も多いですが、内科的なカテーテル治療でも豊富な経験があります。重傷心不全に対する植え込み型補助人工心臓での治療や肺高血圧の治療、心臓の機能回復のためのリハビリテーションにも力を入れています。循環器疾患は、高齢化が進む中でますますニーズが高まる領域ですので、より専門性の高い治療を提供していきたいと考えています。がん治療では、新たな機器の導入で放射線部門を充実させると同時に、外来での化学療法に対応するベッド数を増加、緩和ケアを専門とする医師の配置など、地域がん診療連携拠点病院として高水準の治療を提供できるように取り組んでいます。

診療ではどのようなことを大切にされていますか?

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若手の医師たちには、まずは総合診療の医師としてどんな症状でも診られるように、と伝えています。現代の医療現場はどんどん専門性が高まり、患者さんを全体的に診ることが難しい面があります。自治医科大学では総合的診療を行う医師の育成に取り組み、幅広い知識と技術の習得をめざしています。病気だけを診るのではなく、患者さんの生活環境やご家族のことなども含めた背景にも気を配ることができる医師になってほしいですね。各分野で専門性を高めながらも、常に総合的な視点で診療にあたる姿勢が大切です。また、病院の運営では患者さんの利便性を高める努力も欠かせません。その一つとして外来待ち時間短縮の取り組みを始めました。外来診療を完全予約制にして予約時間を10分単位で刻むことで、受付から診療までの待ち時間を平均20分にまで短縮。中には長くお待ちいただく場合もありますが、できるだけ余計な待ち時間を減らしたいと思っています。

最後に今後の展望をお聞かせください。

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地域の中核病院として、患者さんがスムーズに入退院できる流れをつくる必要があると考えています。そのため入院前にあらかじめ患者さんの情報を知り、入院する時点で治療計画も含めた退院後までの流れを決めておく、「ペイシェント・フロー・マネジメント」を導入しました。当センターは高度急性期医療を担う病院ですので、しっかりとその役割を果たしながら地域の医療機関や在宅医療と連携をとっていくことが求められています。患者サポート部門によって、そうした地域連携がよりスムーズになる。地域全体で患者さんを支えていくネットワークを構築することが、この地域で暮らす皆さまの安心につながると考えています。地域の方々から信頼され、頼りにしてもらえるのが、私たちの喜びですね。

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遠藤 俊輔 センター長

筑波大学医学部卒業。同大学附属病院、カナダ・マギル大学実験医学研究部門への研究留学を経て、1992年自治医科大学胸部外科に入局。胸部外科学講師、呼吸器外科部門教授、外科学講座主任教授、同大学附属病院副院長を務め、2020年に同大学附属さいたま医療センター長に就任。専門は呼吸器外科。「交通の利を生かした遠隔地医療連携モデルを創設し、自治医大のめざす“医療の谷間に灯を”ともしていきたい」と意欲を語る。

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