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医療法人社団明芳会 江田記念病院

(神奈川県 横浜市青葉区)

伊澤 寛志 院長

最終更新日:2024/08/07

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地域の患者のニーズに応える医療をめざして

都市型精神科ならびに内科療養系の病院として2004年に開院した「江田記念病院」は、精神科の医師と内科の医師、看護師、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士といったリハビリのスタッフが専門性を生かして、精神科の急性期医療から、脳卒中や骨折後の回復期リハビリ、慢性期医療までを一貫して提供している。同院では2022年に病棟を再編。認知症病棟を閉鎖し横浜市全体でニーズの高まるパーキンソン病や重度意識障害といった慢性期の患者を受け入れるため障害者病棟を開設した。一方で患者数の多い認知症については、認知症サポーターの講習を受け認知症に理解のある職員を中心に、病院全体で認知症への理解を深めケアにあたる。精神科の外来では糖尿病などの合併症の早期発見にも注力。患者の意思を尊重した医療の提供をめざすとともに、地域のニーズに柔軟に対応する同院の体制について、伊澤寛志院長に聞いた。(取材日2024年6月26日)

再編された各病棟の取り組みについて教えてください。

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以前は、精神科急性期治療病棟、回復期リハビリテーション病棟、特殊疾患病棟、認知症治療病棟の4つでしたが、認知症治療病棟を障害者病棟に変更しました。精神科急性期治療病棟については患者層にそれほど変化はなく、統合失調症、うつ病や双極性障害のような気分障害に対する急性期医療と、認知症の患者さんに可能な範囲で対応しています。回復期リハビリテーション病棟では、近隣の病院から急性期治療を終えた患者さんを受け入れ、その人らしい暮らしができるよう回復をサポートしています。特殊疾患病棟と障害者病棟はいずれもパーキンソン病のような神経難病と、脳梗塞や脳出血後の重度意識障害の患者さんが多く、例えばパーキンソン病の患者さんにリハビリを行ったり、必要ならば当院で可能な検査や治療を重ねやすいのが障害者病棟です。安定した経過の方には特殊疾患病棟に移って過ごしていただくことも検討していくというように住み分けをしています。

障害者病棟でのリハビリはどのような特徴がありますか。

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回復期リハビリ病棟では、脳出血や脳梗塞、骨折後の急性期治療が終わった方が自宅や施設に戻るための機能回復をめざしてリハビリを行います。一方で、パーキンソン病のような病気は基本的には進行していくため、障害者病棟でのリハビリの目的は生活の質をいかに高めて保持していくのかということになります。そこが回復期のリハビリとは少し違った点です。パーキンソン病は薬物療法もたくさんありますが、これまでさまざまな治療を試した患者さんが当院に転院してくるケースが多く、リハビリをしてほしいというニーズが非常に高いです。開棟したときは、スタッフもこれまでやったことのなかったリハビリを手探りで行っているような状態でしたが、経験値を少しずつ積んで、患者さんと一緒にスタッフも育っているといった状況です。リハビリではQOLの維持も期待できるので、取り組んでいくメリットがあります。

認知症への取り組みはどのように変化しましたか。

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認知症病棟はなくなりましたが、特定の病棟がなくてもすべての病棟に認知症の患者さんがいらっしゃるような状況であり随時対応しています。同時に、新しい試みとして、国が推奨する認知症サポーターの講習を病院独自に開催しており、現在職員350人のうち80人以上が認知症サポーターとして患者さんのケアにあたり、認知症に理解がある病院になることをめざしています。もちろんこれまでどおり、日本看護協会認知症看護認定看護師を中心とした専門的な認知症の対応も行っていますが、専門職ではなくても、多くの病院の職員が認知症を理解し、患者さんに声をかけたりできる環境になればと考えています。国がめざす、老若男女を問わず皆が認知症を理解し認知症の方が普通に生活できる社会にするという方向性に病院という環境が少しでも近づくことができるよう、現在進行形でサポーターを増やしているところです。

外来での特徴的な診療はありますか。

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統合失調症では体の合併症が世界的にも課題となっており、国内でも統合失調症の方の肥満や糖尿病に関するガイドラインが作成されました。昔は統合失調症で亡くなる方は自死が多かったのですが、今は、肥満や糖尿病などからくる虚血性心疾患が多いといわれています。糖尿病と統合失調症には一部共通する遺伝子があるほか、薬の副作用で太りやすく糖尿病を発症したり、そもそも体質的に糖尿病になりやすい方もいらっしゃるため、昨年から精神科の外来の患者さんに定期的な血液検査を漏れのないように実施する体制にしました。健康診断を定期的に受けている患者さんはそれを継続していただけばよいのですが、中にはまったく健診を受けていない方もいるので、そういった患者さんは外来を受診した際に血液検査を受けていただいています。必要に応じて内科の外来へと引き継ぎ、糖尿病を見過ごすことがないようにできればと考えています。

最後に地域へのメッセージをお願いします。

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2022年に日本医療機能評価機構による評価を受けた際、倫理問題の取り組みについて高い評価をいただきました。医療における倫理とは患者さん本人の意思を尊重した医療を行うことです。パーキンソン病のような慢性疾患は病状が徐々に進み、最終段階では自分自身の意思もわからなくなっていきます。そこで気をつけないといけないのがご本人の意向が置き去りのまま、医療者と家族だけで医療やケアが決められてしまうことです。また、医療職の中でも価値観や見解が異なるように、患者さんとご家族でも意見の相違が起こり得ます。それを踏まえて、医療者と患者さん・家族で話し合いを重ね、少しでもご本人の意思を尊重した医療を実現できるよう、引き続き取り組んでまいります。病気や薬といった治療のこと以外でもさまざまな悩みや不安があると思いますので、ぜひご相談ください。医師には話しづらいことがあれば、看護師や事務スタッフに気軽にお話しください。

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伊澤 寛志 院長

新潟大学医学部卒業後、同大学医学部精神医学教室入局。同大学医学部附属病院(現・同大学医歯学総合病院)精神科のほか関連病院で診療経験を積む。埼玉県立精神医療センターを経て、江田記念病院精神科入職。2020年7月から現職。専門は精神医学一般。多職種の密接な連携により医療の質の向上を図り、同時に医療安全に十分配慮した診療体制をめざしている。

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