医療法人社団明芳会 イムス東京葛飾総合病院
(東京都 葛飾区)
吉田 成彦 院長
最終更新日:2025/02/19


回復期リハビリ病棟とECUを新たに開設
新小岩駅北口から歩いて7分ほどの所に立つ「イムス東京葛飾総合病院」。2017年に開設された同院では、24時間365日体制で救急医療に対応。心疾患や脳血管疾患に対するカテーテル治療など高度で低侵襲の急性期医療を提供している。2024年11月には、待望の新棟が完成し、回復期リハビリテーション病棟とECU(救急入院治療室)を新設、感染症流行時や災害時の対応も視野に入れた新しい医療環境が整った。「回復期リハビリテーション病棟を新設したことで、急性期から回復期まで切れ目のない医療が提供できるようになりました」と吉田成彦院長。吉田院長は、心臓血管外科を専門とし、同院の前身となる病院で20年以上も前から心臓治療チームとして診療を続けている。そんな吉田院長に新棟の特徴などについて聞いた。(取材日2025年1月9日)
新棟が完成したと伺いました。

2024年11月に6階建ての新棟が完成し、回復期リハビリテーション病棟100床とECU16床を新しく設置しています。もともと葛飾区には回復期リハビリテーション病床が少ないので、新設したことで地域医療により貢献できると思います。また、ECUは集中治療室と一般病棟の中間に位置する高度治療室として救急の患者さんや重症の患者さんを受け入れています。個室は陰圧になっていますので、感染症の患者さんにも対応できます。また、ECUでは透析の設備も整っています。これらによって急性期から回復期まで、切れ目のない医療と介護が提供できるようになりました。心血管疾患や脳血管疾患など当院で急性期治療を受けた後、引き続き回復期リハビリテーション病棟で診ていくことができます。カルテを共有することで、主治医とリハビリテーション科の医師とが連携しながら総合的に管理できますので、患者さんにはより安心していただけると思います。
新棟は災害など有事の時の対応も考えられているそうですね。

新棟には陰圧の手術室も設置しており、ECUも空調設備によって陰圧区域を調整できるシステムを導入しています。今後、どのような感染症がまん延するかわかりませんので、新たなパンデミックが起きたときにも診療の幅を制限しなくて済むように医療体制を整えています。また、この地域は水害が心配される地域であるため、水害に耐えられる診療体制も整えています。実際、今後、どのような災害が起きるかもわかりませんので、何か起きた場合に迅速に患者さんを安全な場所に搬出できるよう外階段や、備蓄品を収容できる倉庫なども設置しています。
医療面での特徴について教えてください。

当院は「患者さんに優しい、低侵襲の治療」「専門性に特化した高度医療の提供」を基本方針に地域社会への貢献をめざしています。すでに脳血管から心臓血管、足の血管まで全身各部位の血管疾患に対するカテーテル治療に取り組んでいます。心臓疾患では、2022年から始めた心臓の大動脈弁狭窄症に対するTAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)に加え、新たに僧帽弁閉鎖不全症に対する経皮的僧帽弁接合不全修復術や、心房細動が起きた時に血栓がたまりやすい心臓の左心耳をカテーテルで閉鎖する左心耳閉鎖術を行っています。心房細動が起きると血栓が脳血管に飛んで脳梗塞を引き起こすケースがあり、そのリスクの軽減につながります。いずれも開胸せずに治療が行えるため、体への負担を軽減できます。また、手術支援ロボットも泌尿器がんや骨盤臓器脱などの手術で活用しています。さらに回復期リハビリテーション病棟では透析に対応できる点も特徴です。
地域での役割や地域連携についてお聞かせください。

回復期リハビリテーション病棟によって急性期治療を終えた後、ご自宅や施設に戻られるまでの間、適切な回復支援を受けられるようになり、地域に必要な医療を一貫して提供できるようになったと思います。平時には急性期から回復期まで切れ目のない医療を提供し、一方、有事の際にはそれぞれの状況に応じた医療を提供できる体制になっていますので、地域の方々にはより安心していただけるかと思います。また、地域連携の一環として、東京都CCUネットワークや東京都急性大動脈スーパーネットワークに加盟し、急性心筋梗塞や急性大動脈疾患の患者さんが迅速に治療を受けられるようにしています。さらに地域の医療機関の先生方から心疾患の緊急受診依頼について、当院の担当医師に直接つながる心臓ホットラインも設けています。また、開設以来、地域ニーズに応じて小児科や乳腺外科、整形外科、泌尿器科、眼科などの診療にも力を入れています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いいたします。

当院は開設して8年とまだ若い病院で、回復期リハビリテーション病棟も始まったばかりです。これから診療体制やリハビリテーションの内容などをさらに拡充していかなくてはならないと考えています。地域医療の要ともいえる救急医療では24時間365日体制で断らない医療を基本方針にしていますが、忙しいとスタッフの接遇がおろそかになってしまうことも考えられます。当院で治療や手術を受けた患者さんが笑顔で帰っていただくためには、スタッフ一人ひとりの接遇の意識が大切です。院内には目安箱を設置して患者さん方からのご意見をいただいていますが、その声を真摯に受け止めて改善できる点は改善しています。当院の入院病棟がある高層階からの眺めも素晴らしく、患者さんからも好評を得ています。こうした景色とともに、スタッフ一同笑顔で接し、地域の方々から愛される病院にしていきたいと思います。

吉田 成彦 院長
1984年和歌山県立医科大学医学部卒業。同大学附属病院を経て、国立循環器病センター、岸和田徳洲会病院、新東京病院などの心臓血管外科で診療経験を積む。2000年に新葛飾病院血管外科部長に就任。同院副院長、院長を歴任し、イムス葛飾ハートセンター院長も務める。2017年のイムス東京葛飾総合病院開設時から現職。日本心臓血管外科学会心臓血管外科専門医、日本外科学会外科専門医。