医療法人社団桜友会 所沢ハートセンター
(埼玉県 所沢市)
三宅 隆之 院長
最終更新日:2025/03/21


地域のニーズに応える循環器診療をめざす
小手指駅から車で約5分。所沢入間バイパスから上新井新道に少し入ったところにあるのが、「所沢ハートセンター」だ。循環器疾患を専門とし、救急を含む急性心筋梗塞への心臓カテーテル治療から不整脈のアブレーション治療など、命に関わる重大な病気の治療に力を入れている同院。加えて、心臓リハビリテーションや人工透析も提供することで、地域の人々の健康の維持や向上をサポートすることにも努めている。そんな同院の院長を2023年5月より務め、「良い治療をするためには、患者さんと私たち医療者の相互理解が大切だと考えています」と話す三宅隆之院長に、同院のことや循環器診療にかける思いなどを聞いた。(取材日2024年10月1日)
最初に病院の概要を紹介していただけますか?

当院は、狭心症や心筋梗塞、心不全、不整脈などの循環器疾患を専門に診療を行っている病院です。急性心筋梗塞など救急の患者さんにも24時間365日体制で対応していて、カテーテルを用いて冠動脈の狭くなった部分を治療する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)などを積極的に行っています。また、心房細動をはじめとする不整脈に対するカテーテルアブレーション治療にも力を入れています。専門の医師が常勤でいるほか、埼玉医科大学からも専門の医師に来てもらうなど積極的に取り組んでおり、症例数も増えています。ほかに、心臓病をはじめとする循環器疾患の心臓リハビリテーションや末期腎不全に対する人工透析も提供しています。また、高度な医療や療養が必要な患者さんには、近隣の医療機関との連携を取りながら、より適切な治療が提供できるよう努めています。私自身は、昨年の4月より桜田真己初代院長の後を引き継いで院長を務めています。
力を入れていることは何ですか?

当院では開院以来、循環器疾患を専門に診療を続けてきており、特に急性心筋梗塞や狭心症などへの冠動脈インターベンション治療に力を入れて取り組んできました。しかし、これは患者さんにとって良いことですが、近年は治療技術やデバイスの進化、二次予防の取り組みなどによって、治療後に再び病変部が細くなってしまう再狭窄が非常に少なくなったといわれています。その影響か、最近では症例数もピーク時の半分くらいに減っています。その代わりと言っては変ですが、不整脈に対するアブレーション治療は増えています。高齢化に伴い不整脈は増加していますし、特に心房細動は脳梗塞の原因になりますので、心房細動自体と脳梗塞予防の2本立ての治療が必要となります。当院でアブレーション治療を専門とする谷口宏史先生と森仁先生は、手技が丁寧なのと同時に早いのが特徴です。それによって、患者さんへの負担や合併症も少なく治療することが望めます。
心臓リハビリテーションや人工透析についても教えてください。

心臓リハビリテーションは、心臓病の患者さんが体力を回復して自信を取り戻し、快適な家庭生活や社会生活に復帰できるようにすること、そして再発や再入院を防止することをめざして行う総合的活動プログラムのことです。超高齢社会においては、いかに心不全にさせないかというのは大きなポイントです。そして多くの場合、運動療法は心臓にも良いですし、第二の心臓ともいわれる足も鍛えられて、薬を追加しなくても日常生活動作の向上がめざせますから、心臓リハビリテーションはとても重要だと考えています。人工透析は、利用している患者さんはそれほど多くありませんが、その分一人ひとりに個別の対応ができているのが特徴です。体調が優れないときには、当院で診られるものはすぐに診ますし、消化器の症状など当院では難しいものは、すぐに紹介状を用意します。旅行に行くのであれば旅行先の透析施設に紹介状を書くなど、きめ細かく対応しています。
医療に取り組むにあたって大切にしていることはありますか?

患者さんと私たち医療者の相互理解です。例えば、治療にも限界がありますよね。私たちは患者さんを100%助けられるわけではありませんし、患者さんだってどうしても薬を飲み忘れたり、体に良くないといわれているのに食べすぎてしまったりすることはあるでしょう。ですから、私たちは患者さんの気持ちや事情を、患者さんは私たちに完璧を求めても難しいことがあることを理解することが大切。患者さんの権利はもちろん大切ですが、無理な要望まで権利だと思われてしまうと、私たちはどうしようもありません。そういうことが重なると医療の質が低下してしまって、結果として誰も得しないんです。ですから、お互いをリスペクトとまでは言わなくても、私たちは患者さんやご家族にできる限り配慮した医療を提供する。患者さんにも私たちの思いや考え方、状況を理解してもらう。そうやって、お互いにウィンウィンの医療を提供していければ良いなと考えています。
最後に、今後の抱負と読者へのメッセージをお願いします。

開院してから約20年がたちました。医療を取り巻く環境には厳しいものがありますが、例えばあと10年やったらおしまいではなくて、形にはいろいろあるかもしれませんが、地域の皆さんに必要不可欠な病院だと思ってもらえる医療を提供して、次の世代に残していけるような病院をめざしていきたい。それを地域医療連携につなげていくことで、患者さんやそのご家族のハッピーな生活をサポートできれば良いなと思っています。また、繰り返しになるところがありますが、患者さんと医療者の相互理解を促すことにも注力していきたいです。患者さん自身も自分の病気のことをある程度は理解して、治そうと努力してもらわないと病気は良くなりません。その部分にもしっかりと目を向けてもらいたいのです。その上で、私たちも患者さんやご家族にしっかり配慮した医療が提供できれば、より良い治療ができるのではないかと思います。そこをめざして頑張っていきたいですね。

三宅 隆之 院長
1989年防衛医科大学校卒業後、海上自衛隊に6年間勤務。舞鶴基地に赴任し、心臓カテーテル治療の研鑽に取り組む。除隊後、石心会狭山病院勤務を経て2005年より同院。副院長を経て2023年より現職。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会循環器専門医。