医療法人社団慈誠会 練馬駅リハビリテーション病院
(東京都 練馬区)
西川 亮 院長
最終更新日:2025/10/29


豊富なスタッフできめ細かなリハビリを提供
練馬駅に隣接するビルの上層階にあるのが「練馬駅リハビリテーション病院」だ。板橋区と練馬区を中心に多数の病院と介護施設、クリニックなどを運営することで、地域の人々の健康を包括的に支えることをめざしている医療法人社団慈誠会の一院で、区内でも希少な回復期リハビリテーション病院として、2014年に開院。3フロアに150床を備え、医師や看護師のほか、100人近くにもなるセラピストをはじめとするスタッフがチームとなり、親身で丁寧なリハビリテーションを提供。脳卒中や骨折後などの患者の在宅復帰をサポートしている。そんな同院の院長を2022年4月より務めているのが、西川亮先生。これまで悪性脳腫瘍を専門とし、大学教授も務めてきた西川先生は、「患者さんの機能回復をサポートするリハビリテーションは、人生を賭けるに値する仕事です」と、優しく丁寧な口調で話す。そんな西川院長に、同院の取り組みについて詳しく話を聞いた。(取材日2023年1月10日/情報更新日2024年3月5日)
病院を紹介していただけますか?

当院は、回復期リハビリテーションを専門とする病院です。脳卒中で倒れたり、転倒して骨折したりして治療を受けた患者さんは、できれば自宅に帰りたいわけですが、その橋渡しをするのが回復期リハビリテーションです。回復期リハビリテーションは比較的新しい概念で、当院は区内でも希少な回復期リハビリテーションを専門とする病院として、2014年に開院しました。また、当院は慈誠会という医療法人社団の一院で、現在、法人の中には病院が10院、療養施設が9施設あり、急性期の治療からリハビリテーション、自宅に帰れない場合の療養施設まで、すべてをカバーするというのがコンセプトです。一方で、実際に当院の患者さんは、グループ内の紹介よりも地域の大学病院や基幹病院などで治療を終えた方が多く、練馬に息子さんや娘さんが住んでいて、近くが良いからということでご利用いただいている方も少なくありません。
特徴は、どのようなところでしょうか?

リハビリテーションの専門職である理学療法士と作業療法士、言語聴覚士のセラピストが合わせて90人以上いて、平均年齢が29歳前後と比較的若いことが挙げられます。その中で20代と40代の2つの山があり、40代のセラピストはリハビリテーションの長い経験を持っているので、指導する立場。20代のセラピストには、実際のリハビリテーションで頑張ってもらっています。リハビリテーションの相手は高齢者が多く、若い人が熱心に取り組みすぎるとあまり良くないこともありますので、それをリーダー格の人がうまくコントロールするという良いバランスが取れていると思います。また、理学療法士は歩くなど大きな動作の練習、作業療法士は手で行う細かい作業、言語聴覚士は食べたり、喋ったりするためのリハビリテーションが専門ですが、当院では一人の患者さんにそれぞれが一人ずつ専属で担当がついて、患者さんをきめ細かくサポートしているのも特徴です。
日本医療機能評価機構による病院機能評価を受けられたとか。

当院は2025年4月に受審し、リハビリテーション病院の病院機能評価にて、2025年9月に認定証を受領しました。公益財団法人日本医療機能評価機構による病院機能評価とは、皆さまが安全で安心な医療を受けられるように、病院組織全体の運営管理や提供される医療について評価する制度です。約1年かけて、リハビリテーションはもちろんのこと、お薬や注射を安全に提供するためのシステムの整備、看護業務の見直しから、病院の理念と基本方針や個人情報保護、防災・危機管理などに至るまで、職員が一丸となって、あらゆる面から見直しを行った成果です。当院は一段とステップアップしました。
病院を運営する上で心がけていることはありますか?

私たちはリハビリテーションによって患者さんの機能を回復させることをめざしています。その中で、患者さんが良くなるということは、医療者にとってそれに勝る喜びはないと、医師や看護師、セラピストはもちろん、栄養士や事務員、清掃員なども含めて、気持ちを共有するようにしています。セラピストのリハビリテーションだけで回復を図るのではなく、食事の栄養管理を行う栄養士、体調の変化をしっかりチェックする看護師、トイレや入浴の介助をするケアワーカー、薬を調合する薬剤師の力も必要です。つまり、チームワークが大切なのです。当院に来る前、私は大学病院の脳神経外科で、成人の悪性脳腫瘍を専門に診ていました。大人の悪性脳腫瘍は非常に予後が悪く、治る人が非常に少ないのですが、それでもリハビリテーションで機能の回復をめざすことはできるわけです。これは残りの人生を賭けるに値する仕事だと感じています。
最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

まず、ホームページの健康動画というコンテンツで、新たな動画を順次取り上げる予定です。次は市民公開講座です。中規模以上の病院で開かれる講座は、高齢者を中心に多くの人が集まりますので、健康に対する皆さんの意識を高め、予防などにつなげ得るといわれています。当院でも2024年9月に第1回の市民公開講座を、当院のあるココネリビル内のホールで開催し、2025年11月に第2回を開催予定です。また「ねりりは便り」という病院情報誌の発行を年4回のペースで開始しました。表紙は、切り絵作家でもある職員の作品を使わせていただいています。また、先進の取り組みも順次始めており、2024年には歩行ロボットの稼働を始めました。新しい試みをできるだけ取り入れることによって地域になお一層、貢献していきたいと考えています。ご家族や本人に回復期リハビリテーションが必要になったときには、安心してご利用いただきたいと思います。

西川 亮 院長
1980年東京大学卒業。関東労災病院、東京都立荏原病院、東京都立豊島病院、東京都立府中病院、国立がんセンター、東京大学医学部附属病院勤務、米国サンディエゴ、Ludwigがん研究所留学、埼玉医科大学脳神経外科講師、同大学助教授、同大学教授、同大学国際医療センター脳脊髄腫瘍科診療部長を経て2022年より現職。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医。埼玉医科大学名誉教授・客員教授。医学博士。





