医療法人明倫会 本山リハビリテーション病院
(兵庫県 神戸市東灘区)
齋藤 実 院長
最終更新日:2026/06/02


生活に戻るためのリハビリテーションに尽力
神戸市東灘区の落ち着いた住宅街に位置する「本山リハビリテーション病院」。海と山を望む穏やかな環境の中、2013年に開設された回復期リハビリテーション専門病院である。急性期治療を終えた患者を受け入れ、住み慣れた地域や自宅への復帰をめざす「入院特化型」のリハビリを提供。全120床を個室対応とし、患者が安心して療養に専念できるよう環境を整えている。「当院が大切にしているのは、『退院すること』ではなく、『生活に戻ること』です」と話すのは、2026年より院長を務める齋藤実先生。入院直後から在宅復帰を見据えたリハビリ計画を立案し、買い物や公共交通機関の利用など、実生活に即した訓練にも取り組んでいる。必要に応じて患者宅を訪問する「家屋評価」を行うなど、生活環境にまで踏み込んだ支援も特徴だ。また、法人理念である「WE ARE ONE」のもと、多職種によるチーム医療を重視し、地域や家族も含めた「町ぐるみ」の支援を実践。「機能回復だけでなく、その人らしい暮らしを支えることが回復期リハビリの役割です」と穏やかに語る齋藤院長に、同院の取り組みについて詳しく話を聞いた。(取材日2026年5月7日)
病院の成り立ちと地域における役割について教えてください。

当院は、医療法人明倫会の一員として、2013年に開設した回復期リハビリテーション専門病院です。急性期治療を終えた患者さんの受け入れを行い、住み慣れた地域やご自宅への復帰をめざして集中的にリハビリに取り組めるよう環境を整えています。主な対象は脳卒中などの脳血管疾患と脳外傷、脳腫瘍などが全体の約6割を占め、大腿骨頸部骨折や脊椎圧迫骨折などの整形外科疾患が3〜4割、そのほか廃用症候群などが約1割です。リハビリに特化した病院は国内でも数少なく、神戸市東灘区・灘区・中央区を中心に、芦屋市や西宮市からも多くの患者さんを受け入れています。病院からは海と山の両方を望むことができ、周辺には緑も多く、落ち着いた環境の中でリハビリに取り組める点も特徴です。さらに院内には多くの絵画を展示しており、「アートのある病院」として、患者さんが前向きな気持ちで過ごせる空間づくりにも力を入れています。
強みであるリハビリの具体的な取り組みをお聞かせください。

当院は、リハビリに特化した病院として、「退院すること」ではなく「生活に戻ること」を見据えた支援を大切にしています。脳卒中後のまひや高次脳機能障害、大腿骨骨折後の歩行障害など、多様な後遺症に対応していることもあり、入院直後から在宅復帰を前提としたリハビリ計画を立案しています。必要に応じてスタッフが患者さんのご自宅を訪問し、段差や浴室構造、生活動線などを確認。手すり設置や介護用品の導入も含めた「家屋評価」も行うことができます。さらに、実際の生活環境に合わせて、買い物や公共交通機関の利用、調理動作など、実践的な訓練にも取り組んでいます。また、歩行訓練支援ロボットを活用したニューロリハビリテーションも導入しており、今後はVRを用いた機能訓練も検討しています。全120床を個室化している点も特徴で、患者さんが安心してリハビリに集中できる環境づくりにつなげています。
在宅復帰に向け、体制づくりも重視されているそうですね。

患者さん一人ひとりの生活背景まで踏み込んだ支援を行うため、多職種によるチーム医療を重視しています。入院後早期から、主治医、看護師、リハビリスタッフ、薬剤師、管理栄養士、医療ソーシャルワーカーなどがカンファレンスを実施し、「どうすればその人らしい生活に戻れるか」を共有しながら支援方針を決定していきます。特に大切にしているのが、法人理念である「WE ARE ONE」の考え方です。病院だけで完結するのではなく、地域や家族も含めて「町ぐるみ」で患者さんを支える姿勢が、当院のさまざまな取り組みの土台になっています。退院前にはあらためて、ご家族やケアマネジャー、訪問看護師らも交えたカンファレンスを実施し、住宅改修や在宅サービス利用について具体的に調整。ご家族がリハビリ場面に参加できる機会も増やし、介助方法を一緒に学んでいただくことで、退院後も安心して生活を継続できる環境づくりにも力を注いでいます。
若い患者さんへの支援にも力を入れているとお聞きしました。

回復期リハビリというと高齢者のイメージを持たれがちですが、当院では40~50代の比較的若い患者さんへの支援にも力を入れています。若年層では「歩けるようになる」だけでなく、復職や社会復帰が大きな目標になります。そのため、屋外歩行訓練では信号や駅構内、電車利用など実生活を想定した訓練を実施。高次脳機能障害に対するリハビリも積極的に行い、必要に応じて職場復帰を見据えた支援につなげていきます。また、失語症の患者さんに対しては、言語聴覚士が中心となり、同じ悩みを持つ方同士が交流できる「おしゃべりカフェ」を開催。さらに、ご家族の介護負担軽減を目的にしたレスパイト入院にも対応しています。今後は高齢化に伴い、認知症や医療的ケアを必要とする患者さんも増えると考えています。より実生活に近いリハビリと必要な支援を追求していきたいと思っています。
最後に、地域の方へメッセージをお願いします。

回復期では「時間」が重要で、発症後できるだけ早い段階で専門的なリハビリを始めることが、その後の生活の質にも大きく関わります。不安や気がかりがあれば、些細なことでも、どうぞお早めにご相談ください。兵庫県では「回復期リハビリテーション連携パス」が整備されており、スムーズな受け入れ体制づくりに努めています。また、当院でも近隣病院やクリニックへの訪問、法人主催の「KIZUNAの会」などを通じて、地域との連携強化にも注力しています。「顔と腹と腕の見える連携」を大切にし、信頼関係や医療技術、互いの考え方を共有しながら地域全体で患者さんを支えていきたいと思います。さらに、明倫会グループでは、急性期から回復期、介護、訪問看護・訪問リハビリまで幅広い事業を展開しているので、当院退院後も切れ目のない支援が可能です。皆さまが安心して在宅生活を送れるよう、これからも地域と一体となって支えていきたいと考えています。

齋藤 実 院長
1985年神戸大学卒業。脳神経外科医として急性期医療に携わり、前職ではリハビリテーション科部長として、急性期から回復期まで一貫した治療に従事した。2020年には社会人大学院で経営研究科を修了。2023年7月より本山リハビリテーション病院勤務、2026年より現職。回復期リハビリに特化した診療を通じ、在宅復帰と地域医療への貢献に力を注ぐ。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医。





