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医療法人社団保健会 東京湾岸リハビリテーション病院 

(千葉県 習志野市)

近藤 国嗣 院長

最終更新日:2024/05/15

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患者の将来を見据えたリハビリテーションを

京成本線の谷津駅から徒歩5分、円柱状の建物が連なるユニークな外観が目を引く「東京湾岸リハビリテーション病院」は、回復期リハビリテーションに特化した専門病院。2007年の開設以来、スタンダードな治療・訓練をはじめ、ロボットなどを駆使した先進的なリハビリテーションプログラム、退院後の通所や訪問によるリハビリテーション、就労支援に至るまで、患者の将来を見据えた切れ目のない医療の提供を追求している。リハビリテーション科の医師12人、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護スタッフら230人超を率いるのは、日本リハビリテーション医学会理事で、同院開設当初から院長を務める近藤国嗣先生。「どうしたら患者さんの活動能力を高められるかというところを常に考え、体の状態に応じた適切な難易度の課題を提供することが大切です」と語る近藤院長に、病院の成り立ちからリハビリテーションマインドに基づいた多様な取り組み、リハビリテーション医療を担う人材の教育・研究拠点としての役割についてなど、じっくり話を聞いた。(取材日2024年3月12日)

最初に病院の成り立ちについて教えてください。

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当院は急性期医療を担う谷津保健病院の改築の際、同院のリハビリテーション病床を引き継ぐ新たな専門病院として2007年に設立されました。リハビリテーション科の医師は、慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室で学んだ者が多く、安全で質の高いリハビリテーションをめざすのはもちろんのこと、日本のリハビリテーション水準の向上に寄与すべく、医師やスタッフの教育・研究活動にも力を注いでいます。また、病院の建物は同一法人の各施設のデザインを手がけるアメリカ人建築家の手によるもので、病院でありながら滞在型リゾートを思わせるホテルライクな雰囲気が患者さんやそのご家族にも喜ばれています。

こちらで提供するリハビリテーションの特徴は?

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リハビリテーションというと、まひの治療や筋力などの機能回復をめざすイメージが強いと思いますが、現代医学でも脳血管疾患などで残ってしまった障害そのものを治すというのはなかなか難しいことです。ですから私たちは、障害があっても可能な限り高いレベルの生活動作や身体機能を獲得し、就労も含めた退院後の生活を築くことを目標に、日々患者さんをサポートしています。一人ひとりの体の状態に合った最適なリハビリテーションプログラムを提供するために、入院時には病状に応じて心電図検査、血液検査、エックス線検査、頭部・胸部CT検査、各種エコー検査、体組成検査、骨密度検査、栄養状態の確認など、詳細な検査等を行い、患者さんが抱えるリスクファクターを可能な限り洗い出した上で、リハビリテーション領域以外の健康状態も考慮した治療計画を練り上げています。

近年は訓練ロボットの導入など新たな取り組みも進んでいますね。

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脳血管疾患などで手足に障害が残る若年層の患者さんも多いことから、当院では特に上肢まひの治療に注力してきました。2019年に立ち上げた「手のまひ治療センター室」では、まひのある側の手を集中的に使うCI療法、電気刺激療法、ロボット操作による機能訓練等を用いたトレーニングなどを組み合わせ、先進的なリハビリテーションプログラムを行っています。ロボットを用いることで各々のまひの状態に見合った適切な難易度の訓練課題を随時提供しやすくなり、それが患者さんのリハビリテーションに対するモチベーションアップにもつながります。通常のプログラムに加えて、隣接する通所リハビリテーション施設である東京湾岸リハビリテーションセンターと連携し、失語症のある患者さんのグループ訓練や、転倒・骨折予防のためのフィットネス型トレーニングなど、身体機能と活動の維持向上を目的とした幅広い世代の患者さんのニーズに対応しています。

就労支援など退院後のサポートにも注力されています。

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患者さんの将来までをともに見据えるリハビリテーションマインドに基づき、日常の生活動作の訓練や、退院後の生活面で大きな課題となる就労支援など、切れ目のないリハビリテーションを提供したいと考え、専任の日本リハビリテーション医学会リハビリテーション科専門医やセラピストからなる「就労支援チーム」を院内に組織して、就労が困難な方へ入院・外来から社会復帰までを継続的にサポートします。病前就労状況の詳細なヒアリングや職務通勤能力の評価、職場への情報提供、周辺就労支援施設との連携など多角的な支援を通じてスムーズな社会復帰をめざします。また、脳卒中の再発やてんかんのリスクが少なく、高次脳機能評価で車の運転に支障がない患者さんには希望に応じて運転再開支援も行います。今後は、NPOと連携して社会保険労務士による「仕事とお金の個別相談会」などのイベントも定期的に開催し、より実践的な就労支援を予定しています。

リハビリテーション人材の教育・研究機能も備えているのですね。

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科学的根拠に基づいた医療を実践するためにも、研究体制は重要です。当院のリハビリテーション研究室には動作解析装置など専門的な研究・検査機器を備えていることから、熱意ある若手医師やセラピストが全国各地から集まっています。特にセラピストは当院に在籍しながら大学院で修士号、博士号を取得する人材が年々増えており、当院を巣立って大学教員となり、日本のリハビリテーションの発展に貢献している人材もすでに15名以上おります。さまざまな研究成果とともに科学的根拠を積み重ねつつ、臨床現場で質の高いリハビリテーションを追求し、多くの患者さんのお役に立てる専門医療機関としてより一層存在感を高めていきたいですね。

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近藤 国嗣 院長

1988年慶應義塾大学医学部リハビリテーション科入局後、一貫してリハビリテーション医療に取り組む。慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター、東京専売病院(現・国際医療福祉大学三田病院)、川崎市立川崎病院などを経て、2007年に東京湾岸リハビリテーション病院 院長に就任。医学博士。日本リハビリテーション医学会リハビリテーション科専門医。慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室客員教授。

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