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社会福祉法人恩賜財団 大阪府済生会富田林病院

(大阪府 富田林市)

宮崎 俊一 院長

最終更新日:2023/05/16

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総合的な医療提供で地域住民に開かれた病院

金剛駅、富田林駅などから送迎シャトルバスが運行し、通院にも便利な「社会福祉法人恩賜財団 大阪府済生会富田林病院」。内科、耳鼻咽喉科、産婦人科、小児科など多岐にわたる分野の診療科と病床260床を有する南大阪地域の中核病院で、社会貢献性の高い医療サービスを提供する公的病院として、46年の歴史を持っている。院長を務める宮崎俊一先生は2016年に就任。以来、医師たちの意識改革を中心に、可能な限りすべての患者を受け入れるよう体制を整えてきたことで、同院は地域住民が頼れる病院へと変化してきた。2021年秋からは同敷地内に建設された新病院へ移転。今回は同院の成り立ちや院長就任後の取り組み、新病院の特長など、宮崎院長に語ってもらった。(取材日2023年4月26日)

貴院の成り立ちと特色を教えてください。

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当院は1977年に富田林市と大阪府が共同で開設した富田林病院を前身とし、長らく指定管理という形で病院の管理・運営を恩賜財団済生会が行い、2018年から大阪府済生会が開設者となりました。日本の病院は大きく分けて「公立・公的・民間」の3つに分類されますが、当院が属するのは「公的病院」です。公的病院は、自治体が母体となり運営費の補填がある公立病院と同等レベルの感染症・災害対応も含んだ医療サービスの提供が要求される一方、医療を継続するための運営費や資金調達については自助努力が求められます。加えて困窮者の救済を掲げて明治時代に発足した背景を持つ済生会として、患者さんの医療費自己負担を軽減する無料低額診療事業も継続しています。少子高齢化や医療人材不足の時世の中、公立病院とは違う土俵の上で、社会貢献性の高い医療サービスを真摯に展開していることを、多くの方にご理解いただきたいと思っています。

院長就任の経緯と、就任後の取り組みについてお聞かせください。

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市立病院として長期にわたり赤字体質に陥っていた当院の立て直しのため、近畿大学医学部で循環器内科教授を務めていた私に白羽の矢が立ち、2016年に院長として着任しました。私は循環器内科の医師である前に「内科医師であれ」という考えを基本に持ち、最も大切な医療サービスは「住民の方に安心を提供すること」だという信念があります。院長就任後は当院の医師に対し、専門分野を持つことは重要なことだが、それだけを診るスペシャリストではなく総合的な知識・技術を持つゼネラリストとしての基本診療能力を持って、すべての患者さんに対応するよう伝えました。どんな症状であれ可能な限り受け入れて診断し、仮に当院での治療では不十分だと判断すれば近畿大学病院に送る。それが「富田林病院は、いざというときに必ず診てくれる」という安心感となり、診療に最大限の努力をするスタッフの存在を知ってもらう機会にもなると考えています。

チーム医療を推進していると伺いました。

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救急であれば内科系医師と外科医師の2人を中心に体制を整えていますが、日頃からコミュニケーションを密にすることで、いつでもヘルプを求められる関係性を築いてほしい、各科が横のつながりを強固にしてほしいと伝えています。というのも、病院にはゼネラリストもスペシャリストもどちらも必要ではあるものの、人数が限られていますよね。何か困難なことが発生したとき、たとえ互いの専門分野でなかったとしても、チームが「1人の人間」であるかのように機能することで可能性を広げていけると考えているからです。そのため、内科系医師への考え方同様、外科医師にもスペシャリストであることに加え、内科系コモンディジーズや初期研修医レベルの救急に対応できるよう準備をしてほしいと望んでいます。看護師、臨床検査技師らスタッフに関しては医師ほどの専門分科傾向はありませんから「全員で医療の質を上げていく」という気持ちで取り組んでくれています。

2021年には、新病院がグランドオープンしたそうですね。

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新病院の建設では、いざという時の地震対策や電源の確保といったハード面はもちろん、病床数を300床から260床へ減少させることで1床あたりの面積を広くするなど、アメニティーやサービス面などもフレッシュになり、患者さんだけでなく職員にも心理的に大きな安心感を提供することができました。また、新病院では人的支援の見直しを実行し、できるだけ必要なところに人を配置することで効率化を促進しています。周辺地域は日本の地域ごとの平均値と比べても高齢化率が高いことから、重点項目はリハビリテーションです。リハビリテーション科の職員数を増やし、リハビリルームも広く設計しました。さらに、循環器疾患をはじめ急性期治療の質の向上をめざし、数多くの医療機器を集約させた救急対応の大きな治療室も備えました。人材不足は医療業界にとって大きな課題です。今後もコメディカルとのタスクシェアなど柔軟な対応をめざしていく予定です。

最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

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当院のような中規模病院では、地域で完結できる総合的な能力が求められています。「ゼネラル」をキーワードに病院再建に取り組み、院長就任から5年でようやく新病院を皆さまにお披露目できるようになりました。これからの超高齢社会において、訪問医療・看護の充実化とQOLの向上は一つのポイントになるでしょう。当院に併設する居宅介護支援事業所や訪問看護ステーションとの相互連携をさらに強め、地域の方を中長期的に安定して支援できる体制を構築し、主たる安心を提供する病院をめざしていきたいと思っています。また、そのためには診断能力・技術を含めた質の高い医療という基本を身につけたチームづくりが不可欠です。初期研修や専門研修など、豊かな人財の育成に注力することはもちろん、職員に優しい病院をめざすことで、患者さんにもより優しくできる施設となることを目標にしてまいります。より一層の安心と信頼を得る病院をめざしてまいります。

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宮崎 俊一 院長

1979年京都大学医学部医学科卒業後、カリフォルニア大学医学部研究員、国立循環器病研究センター心臓内科医員、心臓内科医長などを経て、2006年に近畿大学医学部内科学講座循環器内科学教授就任。2016年より現職。循環器のスペシャリストである以前に「内科医師である」という強い信念を持ち、ゼネラリスト育成に注力。断らない医療で同院を再建に導くなど経営者としても手腕を発揮。

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