公益財団法人淀川勤労者厚生協会附属西淀病院
(大阪府 大阪市西淀川区)
福島 啓 病院長
最終更新日:2026/09/01


地域とのつながりを大切に幅広い医療を提供
JR東西線・御幣島駅より徒歩約5分、淀川通沿いにある「西淀病院」は、1947年の開設以来、「無差別・平等の医療」を理念に掲げてきた。地域に根差したケアミックス病院として、急性期から回復期、在宅療養まで切れ目のない医療を提供し、高齢化が進む地域の多様なニーズに応えている。総合診療を担う医師が中心になって、複数の慢性疾患や生活上の問題を抱える患者を総合的にサポートする診療を実践。断らない救急医療、専門性の高い人工透析、充実したリハビリテーションに加え、介護職による院内デイサービスなど、多くの高齢患者が入院する病院ならではの取り組みも実践している。また、健康診断や予防医療、健康教室、共同組織「友の会」の活動などを通じて、地域住民とのつながりを育み、「コミュニティー・ホスピタル」としての役割を追求している。「困った時だけでなく、普段から身近に感じてもらえる病院でありたい」と語る福島啓病院長に、同院の診療ポリシーや、地域とともに歩む病院づくり、今後の展望などについて話を聞いた。(取材日2026年7月29日)
病院の歴史や診療姿勢を教えてください。

当院は、全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)加盟の病院です。開設以来、「無差別・平等の医療」を一番に掲げ、地域のお住まいのすべての方、特に社会的弱者と呼ばれる方や経済的に困っておられる方も、平等に医療が受けられる病院であることを大切にしています。当院のある西淀川区は大阪市の中でも下町的なエリアで、以前は工場が立ち並ぶ地域だったのですが、マンションが建設されて新しい住民の方も多い地域です。エリア内には、当院の他に高度急性期病院が1つ、療養型病院が2つ、ケアミックス病院が1つあり、役割分担をしながら患者さんに対応しています。当院がめざすのは、地域になくてはならない病院「コミュニティー・ホスピタル」です。急性期一般病棟、地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟の4病棟を有しており、急性期から回復期まで対応するケアミックス病院として、幅広い患者さんを受け入れています。
こちらの診療の特色をお聞かせください。

ある領域に特化して専門的な診療を提供するというより、総合的に患者さんを診ることに注力しており、病院の規模に対して総合診療を担う医師が多く在籍しています。当院のような規模の病院の場合、入院患者さんはご高齢者の割合が高く、複数の病気を抱えている方も多いため、そうした方に対する総合的な対応は当院が得意とする部分ですね。状態が悪化した際は入院していただき、退院後の外来受診や訪問診療などは法人内の10の診療所なども活用することで、切れ目のないトータルな医療の提供が可能です。ご高齢の方のニーズが高い人工透析についても、入院・外来ともに対応しており、腎臓を専門とする医師が在籍し、通院回数が少ないなどのメリットが期待できる腹膜透析も取り入れています。一方、急性期医療では、高度急性期の病院では入院の適応にならないような方なども含めて、救急車を積極的に受け入れています。
リハビリテーションについてはいかがでしょうか?

規模に対して理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の人数が多く、リハビリテーションを専門とする医師も在籍しています。当院の場合、急性期治療を終えて転院してこられる患者さんに加え、当院の入院患者さんもリハビリテーションが必要です。より不安なく地域に帰っていただくために、リハビリテーションはさらにレベルアップをめざしていきたい分野です。 また、介護職による「院内デイサービス」も当院ならではの取り組みです。ご高齢になると、認知症の方や精神的に落ち着かない状態や昼夜逆転になる方もおられ、病棟でそうした状態になると、スムーズな診療の提供が困難です。このため病棟には介護職が多数勤務しており、各病棟のケアが必要な方を特定の部屋に集めて、機能訓練やレクリエーションなどのデイサービスを提供しています。日中に活動することで、気持ちが落ち着き、睡眠リズムが整いやすいため、看護師の負担軽減にもつながっています。
地域とのつながりを大切にしていますね。

当院は「HPH(ヘルスプロモーティングホスピタルズ)」という国際ネットワークに加盟している病院です。地域の健康増進につながる活動を実践し、ワクチン接種や健康診断、胃・大腸の内視鏡検査といった予防医療はもちろん、学校での喫煙防止教室、理学療法士などによる運動教室などにも積極的に取り組んでいます。一方、地域の開業医の先生や介護職の方々との顔の見える関係を大事にしており、お世話になっている所には、少なくとも年一回は病院長・副病院長が直接挨拶に伺っています。さらに、「友の会」という共同組織も当院の特徴です。患者さん以外もご加入いただけ、ワクチンや健康診断の案内だけでなく、会の中に多くのサークルがあり、ご高齢の方が外出する機会にもなっています。健康イベントや中高生の職場体験なども好評です。当院は、地域とのつながりの中で成り立っている病院ですから、今後も地域との関わりをさらに増やしていきたいですね。
今後の目標や地域の方へのメッセージをお願いします。

当院がめざすのは、地域になくてはならない病院「コミュニティー・ホスピタル」です。医療の専門性の高さを競ったり、高額な自由診療に特化したりするのではなく、法人内の診療所や介護施設と連携しながら、一人の患者さんをトータルに診る医療サービスの提供が、地域における当院の役割と考えています。病棟は慌ただしいことも多く、患者さんやご家族からお叱りを受けることもあるのが現状です。しかし、一人ひとりのスタッフに、患者さん第一の姿勢を徹底しており、全職員対象の院内研修に加え、各職種ごとの教育プログラムの実施や臨床研修指定病院として若手医師の育成にも努力を惜しみません。多職種によるチーム医療を実践して、アウトカムの向上をめざしてまいります。「友の会」の活動などを通じ、地域の方々との関わりを大切にしながら、困った時はもちろん、そうでない時にも、より身近な病院でありたいと考えています。

福島 啓 病院長
大阪大学医学部卒業。全日本民主医療機関連合会の系列病院に携わり、地域医療や総合診療、健康増進活動拠点病院(HPH)の推進、都市部の中小規模病院における高齢者診療の質向上などに尽力する。2021年より現職。マラソンが趣味で年に数回フルマラソンにも出場。ランニングなど日々のトレーニングも欠かさない。日本専門医機構認定総合診療専門医。日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医。





