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独立行政法人国立病院機構 南京都病院

(京都府 城陽市)

徳永 修 院長

最終更新日:2025/06/24

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長期療養患者や家族を支える医療を提供

城陽市東部に広がる緩やかな丘陵地帯。梅林や茶の産地としても知られる緑豊かな一角に、「南京都病院」はある。傷痍軍人の療養施設として戦前から診療を始め、戦後は当時の国民病であった結核患者の療養所に。さらに1970年代以降は結核などの呼吸器疾患に加え、重症心身障害児・者や神経・筋疾患に対しても、専門的な治療を提供し続けている。これらの領域では長期にわたり治療や療養が必要な患者も多く、同院では外来診療や入院治療とともに、普段は自宅で過ごす患者・家族への支援にも注力。行政や教育機関とも連携しながら、セーフティーネットとして重要な役割を担っている。そんな同院で2025年4月から院長を務める徳永修先生は、穏やかな雰囲気を身にまとう小児科のドクター。「慢性疾患とともに生きる患者や家族にも、楽しさや彩りを感じられる生活を過ごしてほしい」と話し、「また受診しよう」と思ってもらえる関係づくりや、患者を継続的に支え続けられる病院運営に取り組みたいと語る。同院の診療の現状や、「支える医療」を担うことの意義について、その思いをじっくりと聞いた。(取材日2025年5月21日)

こちらの診療内容や特色をご紹介ください。

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病院には救急医療や高度急性期医療などさまざまな診療機能がありますが、当院はどちらかといえば慢性期医療、つまりご病気や障害で長期に療養されている方々に向けた治療や支援を行っています。今、病院の役割としては救命救急や先進の医療が重視されがちですが、慢性疾患や障害とともに生きる方を、急性期医療の現場で診ることは困難です。そこで、当院も属する国立病院機構が担う役割の一つとしての「セーフティーネットの医療」が生かされます。慢性に経過する病気や障害に寄り添い、社会の網から漏れてしまいがちな方々を支えていく。これが当院に期待される役割です。具体的には呼吸器疾患、脳神経内科、小児科という3つの領域で、診療を行っています。患者さんは当院がある京都府南部から受診される方が多いのですが、京都市内や大阪府東部、奈良県からも来られていますし、障害者病床には長期にわたって入院し療養している患者さんもいらっしゃいます。

小児科では、どのようなお子さんを診ていますか?

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以前から、重度心身障害者医療に取り組んでいます。生まれつき、あるいはその後の成長過程で病気や事故のために重い肢体不自由があり、ご自身ではコミュニケーションが取れないような重度の知的障害もあるお子さんが対象で、ご自宅で過ごすことが難しい方は重症心身障害児・者病床で療養生活を送っています。ただ最近では、重度心身障害があってもご家族などのケアを受けながら家庭で生活されるお子さんが増えています。このような方には呼吸や食事に医療的なサポートが必要です。最近では医療的ケア児とも呼ばれますが、当院では外来でそのようなお子さんの健康管理も実施。併せて通所事業や、ご家族に一時的に休養していただけるレスパイト入院も積極的に行っています。さらに最近では、さまざまな原因で慢性的な心身不調を訴えるお子さんが増えています。そこで子どもの心と体や睡眠に関する専門の外来も開設し、多くの患者さんが来院されています。

呼吸器では慢性呼吸不全のサポートに力を入れているとか。

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当院はかつて結核の療養所であった歴史もあり、現在も病棟に結核病床ユニットを設けるなど、京都府の結核診療の中心的な役割を担っています。また呼吸器内科では各医師がさまざまな専門性を生かして幅広い診療を提供していますが、特色は長期の呼吸管理です。呼吸ケアの院内横断的な組織があり、医師や看護師、リハビリテーションスタッフ、人工呼吸器などを扱う臨床工学技士などがチームになって、慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器疾患や、神経・筋疾患などでの慢性呼吸不全の患者さんを多方面からサポートします。このチームでは「ご自宅でいかに苦しくなく生活するか」の観点からの介入にも尽力し、食事や入浴などの日常動作を想定した指導やリハビリも実施しています。このような支援を希望して、遠方から来院されるケースも増えています。呼吸器外科の医師は肺がんや気胸の手術にも積極的に取り組むなど、呼吸器領域の診療体制を構築しています。

脳神経内科に関しては、いかがでしょうか?

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脳・筋肉の疾患に幅広く対応していますが、中でも神経難病、特にパーキンソン病の患者さんが多いです。筋萎縮性側索硬化症(ALS)のような神経変性疾患も診療しています。この領域では認知症が最近のトピックで、当院にも物忘れを専門に診る外来があります。注目度の高い薬物治療は、適応の有無を調べる詳しい検査や投与時の慎重なサポートが必要です。そこで当院では初回は入院で投与を行い、その後は外来通院で治療を続けられるようにチームで対応しています。また、認知症の検査・治療ができることを、地域の先生方にも情報発信しています。ちなみに慢性疾患に長く取り組んできた当院では、院内の各部署が行政や保健所、小児科では学校などさまざまな外部機関と連携して、患者さんのサポートにあたれる点も強みです。開業医の先生方や地域の医療従事者に向けたセミナーでは、独自のノウハウや専門的な実践内容を共有していきたいと考えています。

診療や病院運営で、大事にしていることをお聞かせください。

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慢性疾患や障害とともに生きる上では、急性疾患とはまた別の大変さがご本人にも家族にもあります。当院では専門的な医療を提供していますが、それを継続的にご利用いただいてこそ、支えになれたといえるでしょう。ですから、患者さんやご家族が求めることをまずは受け止めて理解し、そこからできることを一緒に考えていく。当院に期待される役割を果たすためには、診療内容とともに、「ここへ来て良かった、また来よう」と満足してもらえる関係づくりも大事だと感じています。幸いにも院内には、「単に病気を診るのではなく、病気や障害とともに生きている患者さんやご家族を支えたい」と自ら望んで勤務している多くのスタッフがいます。医療を取り巻く環境は厳しさを増していますが、病気や障害がある方にも、時には楽しさや彩りを感じながら充実した生活を送っていただけるよう、診療や支援を安定的に継続できる病院でありたいですね。

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徳永 修 院長

1988年自治医科大学卒業。兵庫県などでへき地医療や小児科診療に従事した後、1998年に南京都病院へ入職。その後25年以上にわたり、同院で小児の呼吸器疾患、結核診療、医療的ケア児者を対象にした呼吸管理などに携わるほか、院外への情報発信にも注力。2025年4月より院長に就任。診療内容の専門性向上とともに患者・家族への接し方も含めた良質な医療提供をめざし、「支え続けられる医療」の実践を心がける。

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