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独立行政法人国立病院機構 南京都病院

(京都府 城陽市)

佐藤 敦夫 院長

最終更新日:2022/04/01

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病院の特色を生かし、地域医療に貢献する

「南京都病院」へは、近鉄京都線の新田辺駅、もしくは学研都市線の京田辺駅からバスで約15分。結核治療を専門とする病院として診療を続けてきた病院で、現在は結核や非結核性の呼吸器疾患の診療や、神経・筋疾患、小児慢性疾患などに対して、専門性の高い医師やスタッフが特色ある医療を提供している。地域医療の中での役割として同院が力を入れているのは、慢性疾患への対応だ。慢性疾患や難病、障害を対象としたセーフティーネットとして、地域の医療機関はもちろん介護施設、教育機関などとも連携。重度心身障害、神経難病や重症の慢性呼吸不全などに対して、終末期までをカバーする医療やケアを提供している。子どもの診療にも尽力し、人工呼吸を続けながら通学する子どもや、家庭の事情等の理由で院内で共同生活を送る子どももいる。病院のポリシーや特色ある診療について、2022年4月に院長に就任した佐藤敦夫先生に話を聞いた。(取材日2022年3月1日/情報更新日2022年4月1日)

病院の診療ポリシーを教えてください。

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当病院が最も大切にしているのは、ホスピタリティーです。診療科がそれほど多くないので、対応できる疾患や症状はある程度限られてきますが、慢性的な疾患を抱えておられる方と長くお付き合いさせていただき、患者さんやご家族にとって温かみのある医療を提供できるよう努めています。現在、国の方針は高度な医療は大規模な病院が引き受け、それ以外については地域のクリニックが担当するという体制が基本となっています。実は慢性的な疾患を抱えた患者さんにとっては、この体制になると適した医療機関で必要な医療サービスを受けることが難しくなってしまうことも。当病院では、こうした患者さんにも寄り添えるよう、体制を整えています。同じく、重度心身障害者児と神経難病を抱えておられる患者さんの診療も当病院の大きな役割です。対応できる医療機関は少なく、大切に守っていかなければならない当病院の大切な使命だと思っています。

呼吸器疾患に強い病院なのだそうですね。

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当院の設立以来、結核専門の病棟を備えて治療に力を入れています。京都市以南にお住まいの患者さんについてはほぼ当院で対応しています。また、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や間質性肺炎などが原因となる呼吸不全の患者さんの在宅酸素療法、人工呼吸器の管理なども得意とする領域です。背景としてはかつて、結核の治療後に呼吸不全を起こす患者さんが多くいたため、呼吸不全についての豊富な診療ノウハウを蓄積しているためです。慢性呼吸不全の患者さんを対象として呼吸器リハビリテーションにも力を入れています。さらに近年は、非結核性抗酸菌症の患者さんが増え、結核患者さんの数を超えるようになってきています。現在のところ効果的な治療法が乏しく、長期間にわたって治療を続ける必要があるため、急性期を専門とする病院では継続した対応が難しいのが現状です。このため、慢性の呼吸器疾患に対応する当病院を受診される患者さんが多くなっています。

脳神経内科ではどのような患者さんを診ておられますか。

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ALS(筋萎縮性側索硬化症)をはじめとする神経難病を抱えた患者さんが多く、最近はパーキンソン病など脳血管疾患のリハビリテーションにも力を入れています。パーキンソン病の薬は進化していますが、病気が進行すると薬の処方だけでは対応が難しくなってくるため、リハビリテーションを治療に取り入れているのです。スタッフに講習を受けてもらうなど、充実したリハビリテーションを患者さんに提供できるようシステムを構築しています。普段は地域のクリニックで治療を受けていただきながら、リハビリは当院で受けていただくなど、患者さんが医療機関をうまく使い分けられるようにしていきたいですね。また、神経難病が進行すると人工呼吸器の管理が必要となるケースが多くあります。当院には豊富なノウハウを持つ呼吸器を専門とする医師が在籍していますので、脳神経内科の医師と協力しながら患者さんを診ていける体制は、当院の強みだと思います。

障害がある子どもの入院も多いそうですね。

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120床の重症心身障害児病床を確保しており、お子さんには小児科の医師を中心に対応しています。最近は「ポストNICU」と言って、新生児集中治療室で治療を受けた患者さんの退院後の生活への対応が必要となってきました。人工呼吸器なしでは生活できないなど、重度の障害があるお子さんが増えています。当院ではほとんどが入院で治療を受けていますが、1週間〜10日程度の短期入院にも対応可能な病床も用意しています。また、小児心身症や起立性調節障害、発達障害などのある子どもたちに対しては、小児科の「子どもの心と体」の外来で専門的にケアやサポートを行っています。必要に応じて、当院でお子さんをお預かりすることも可能です。

院長としての今後の目標を聞かせてください。

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現在はコロナ禍の影響で、病院の経営環境は厳しい状態です。当院も国立病院機構とはいえ国から支援を受けているわけではなく独立採算制ですので、自分たちがめざす医療を地域に提供し続けるためには経営の健全化が必須課題です。厚生労働省が推進する地域医療構想の中で、当院がどのようなポジションを得て機能していくべきかを考えるべき時期で、より良い方向に舵を取るのが私の役目だと考えています。地域の開業医の先生方と緊密な連携を図るとともに、慢性期に強い病院としての特徴を生かして急性期病院とのより良い連携のあり方を模索しています。また、「生きていくことに意味がある」という視点で成り立つ障害者医療についても、当院がしっかり取り組んでいくべき領域です。私自身30年近く勤務してきて、やはり良い病院だなと思います。地域の方々に当病院をもっと活用していただけるように、さまざまな可能性を探っていきたいと考えています。

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佐藤 敦夫 院長

1985年京都大学医学部卒業後、1993年より南京都病院勤務。専門は呼吸器内科。日本呼吸器学会呼吸器専門医。呼吸器の専門家として呼吸器疾患を診ながら、患者の生活全体を捉える視点を重視して、患者と一緒に病気の治療を考えていく。2022年4月院長に就任。病院の役割をしっかり認識し、特色を大切にしながら、より良い方向に病院を発展させていくことに力を注ぐ。

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