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医療法人 医仁会武田総合病院

(京都府 京都市伏見区)

一山 智 院長

最終更新日:2024/07/08

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高度急性期医療を強化し地域の安全をめざす

京都外環状線に面し、京都市営地下鉄東西線石田駅から程近い「医仁会武田総合病院」。伏見区をはじめ京都市東部の高度急性期診療を担う病院として知られている。新型コロナウイルス感染症の流行を経た2023年以降は、あらためて救急診療に注力し、これまで以上に多くの救急搬送の受け入れに注力。それを支えているのは、救急部門の充実したマンパワーや、新たに導入した血管撮影装置など先進の診療機器、そしてスタッフが共有する地域医療への責任感だという。また、がんや循環器疾患を中心に、高水準の急性期治療を追求しているのも同院の特徴。京滋地域の大学病院とは強い連携関係があり、医療職の教育機関としての役割も担う。さらに一山智(いちやま・さとし)院長は、自身の専門である感染制御や医療安全においても新たな取り組みを展開。質の高い医療を提供できる病院づくりに努めている。「今後は地域医療との連携や役割分担をより明確にして、当院では急性期医療にさらに注力し、患者さんも職員も安心や満足を感じられる病院にしていきたい」と話す一山院長に、同院の現状や展望を聞いた。(取材日2024年6月3日)

病院の歩みや理念、地域での役割をご紹介ください。

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1976年に開院した当院は、京都府内で多くの病院や診療所、介護・福祉施設を運営する武田病院グループに属しています。当院のある伏見区は、京都市内で最も人口が多く、40年以上にわたり、伏見区や洛東・洛南地域の中核的な病院として高度急性期医療に取り組んできました。私は大学病院の副院長や公立病院の院長を経て、2023年4月からこちらへ着任しました。当グループの理念である「思いやりの心、地域社会の信頼、職員相互の信頼」をモットーに、患者さんに良い医療を提供すること、そのために職員が働きやすい職場をめざし、同時に医療の継続に欠かせない健全経営にも努めています。現在は病床数500床と豊富な診療科を備え、特定の疾患を専門的に診る診療部門や外来も数多く設けています。また、臨床研修指定医療機関であり、若い医師の育成にも力を注いでいます。

注力されている救急診療の現状は、いかがでしょうか?

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当院は以前から、「救急搬送や、開業の先生方からご紹介を受けた急患は断らない」という姿勢で、深草にある京都医療センターとともにこの地域の急性期医療を担ってきました。新型コロナウイルス感染症の時期には、医療体制の事情もあって受け入れ患者さんの数が減りましたが、あらためて救急診療の重要性について院内で共有した結果、2023年の年末以降は以前に増して多くの救急診療を行っています。救急部門では専従の医師が4人いて、内科、外科、脳神経外科、循環器内科、産婦人科、小児科の急患は24時間体制で受けつけています。ICUやCCU、SCU、HCUといった集中治療の行えるベッドが手術室とスムーズに連携する他、検査や治療機器も充実。2023年に導入した先進の血管撮影装置では、手術室と同レベルの環境下で、短時間で高精密な画像が得られるようになりました。脳卒中などの脳血管障害の診療において大きな威力を発揮しています。

専門性の高い急性期治療も積極的に実施されています。

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以前から力を入れているがん診療では、消化器、呼吸器、泌尿器などのがんを中心に、急性期の手術や化学療法に対応。前立腺がんの手術ではロボット支援手術が日常的になっていて、手術時間や手術の精度、侵襲の少なさなどはやはりメリットですね。肺がんでもロボット支援手術を始めていますし、他の領域でも準備を進めているところです。なお、がん治療を行っている診療科はいずれも大学医局とのつながりが深く、より高度な診療が必要であればそちらへスムーズにご紹介できるのも強みです。他に、循環器領域ではカテーテル検査・治療や不整脈のカテーテルアブレーションをアクティブに実施。脳神経外科では先ほどお話しした脳血管障害の血管内治療に注力する他、脊椎脊髄疾患の診療も積極的に行っています。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などでは小さな切開による手術を、また脊椎圧迫骨折ではセメント治療と呼ばれる経皮的椎体形成術も多数実施しています。

医療安全など、医療の質の向上にも取り組まれています。

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私の専門が感染症であり、また京都大学医学部附属病院では副病院長として、医療安全を長期にわたり担当していました。医療事故というのは一定の割合で起きるものですので、そのときに包み隠さず正確に報告し、患者さんにきちんと説明や謝罪、検証を行う。これは患者さんに対して当然行うべきことですし、職員が安心して働ける職場であるためにも非常に重要です。また感染に関しても、専門のドクターが各診療科に正しい抗菌薬の使い方などを指導し、耐性菌や院内感染の防御に努めています。医療安全や感染症に対する対策は、1つの部門や診療科で行うものではなく、病院を挙げて取り組むことで初めて効果が得られます。医療の質向上とともに、ハラスメントのない院内文化をさらに高めていきたいと思います。

地域医療における課題や今後の展望をお聞かせください。

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当院は急性期病院ですので、急性期治療を終えた患者さんが適切な場所で療養や回復に取り組めるよう、患者サポートセンターが地域との窓口になり、クリニックからの紹介・逆紹介や、入退院支援を一手に行っています。地域の開業医の先生方とは以前から良好な関係がありますし、武田病院グループ内にはさまざまな医療・介護施設もありますので、患者さんの受け入れ先は比較的スムーズに決まっています。ただ、当院の限りあるマンパワーや医療環境を、本来の役割である急性期医療へ最大限に投入するためには、さらに地域内での役割分担を明確にし、診療内容に優先順位をつけていくことも必要です。現在は外来診療もかなり幅広く行っていますが、地域の先生方にお任せできるところはさらにお任せしていければと考えています。そして、いざ「急性期治療が必要」という事態になれば安心感を持って受診してもらえる、そういう病院をめざしていきたいですね。

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一山 智 院長

1980年名古屋大学医学部卒業。1993年同大学医学部附属病院検査部講師を経て1998年より京都大学大学院医学研究科臨床病態検査学教授。2005年からは京都大学医学部附属病院副病院長に就任し、感染制御や医療安全に携わる。2018年からは滋賀県立総合病院の総長兼病院長を務め、2023年4月より現職。病院運営では「引き算」の視点を重視し、強みを際立たせるとともに継続性のある組織づくりがモットー。

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