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京都府立医科大学附属病院

(京都府 京都市上京区)

夜久 均 病院長

最終更新日:2021/04/13

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世界トップレベルの医療の提供を理念に

神宮丸太町駅から徒歩10分。東は鴨川の清流、西は京都御所の緑に挟まれた交通至便な地に建つ「京都府立医科大学附属病院」。今からおよそ150年前、京都の一般市民や財界の寄付で建てられた歴史を持つ同院は、京都府民の病院として地域医療の中核を担い続けてきた。近年では、「世界トップレベルの医療を地域へ」の理念を掲げ、がんの陽子線治療などの先端医療、専門性の高い医療を次々に導入するとともに、都道府県がん診療連携拠点病院、小児がん拠点病院、地域周産期母子医療センター、肝疾患診療連携拠点病院などの指定を受けている。長年、心臓血管外科医として多くの患者の治療に携わってきた夜久均病院長は、「当院には優れた技術だけでなく、豊かな人間性を持つ医師がそろっていると思います」と胸を張る。同院の最近の取り組みを中心に話を聞いた。(取材日2019年8月7日/情報更新日2021年3月4日)

病院の歴史と、地域における役割をお聞かせください。

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当院は1872年に青蓮院という寺の境内に建てられた病院を起源としています。戊辰戦争で傷ついた兵士たちを治療した西洋医学の効果を目の当たりにした幕末の志士と京都の町の人々が、自分たちで寄付を募って建てた病院です。それを京都府が運営することになりましたが、開設当初から京都府民の病院であり、地域に密着した医療を提供するという姿勢を貫いてきました。現在では「世界トップレベルの医療を地域へ」を理念として、京都府をはじめ、滋賀県や兵庫県にある100以上の関連病院と密接な関係を持ち、地域のクリニックとも連携してネットワークの中核として急性期医療を提供し、地域に貢献しています。都道府県がん診療連携拠点病院、小児がん拠点病院、地域周産期母子医療センター、肝疾患診療連携拠点病院などの指定を受け、これらの領域は文字どおり京都府で中心的な役割を果たしています。

がん医療には、特に力を入れて取り組んでいるのですね。

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都道府県がん診療連携拠点病院として、極めて専門性の高い治療も含めて、あらゆる治療選択肢をそろえた総合的な診療体制をめざしてきました。例えば、低侵襲な手術法としては腹腔鏡手術やロボット支援手術がありますし、薬物療法では従来型の抗がん剤に加えて新しい分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬なども組み合わせて治療できます。また、放射線治療では2019年4月から地域で数少ない陽子線治療も開始しました。陽子線は病変部に集中的に照射することができるため、正常な組織の損傷や副作用が抑えられる可能性が高いとされる治療法です。特に小児がんでは、副作用による成長障害や二次発がんのリスクがありますから、陽子線治療が有用と期待されます。現在では小児がんのほか、前立腺がん、骨軟部腫瘍、頭頸部のがんの一部でも健康保険が適用されるようになりました。

小児医療では、どのような特徴があるでしょうか。

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当院は、4階の外来フロア、5階の入院フロアに小児医療に関係する小児科、小児外科、小児心臓血管外科を統合した「小児医療センター」を設けています。ここでは、すべての診療科が密に連携して集学的治療を実践するとともに、看護師、保育士、臨床心理士、管理栄養士といったコメディカルスタッフやボランティアが協力して、患者さんとその家族を、医療だけでなくさまざまな側面から包括的にサポートしています。ですから、センター内には骨髄移植などの専門性の高い治療を行う無菌治療室などもありますが、子どもたちが遊べるプレイルームや家族が無料で宿泊できる家族控室もありますし、屋上には芝生や遊具のある屋上庭園もあります。小中学生を対象とした院内学級や、幼いきょうだいを連れて入院中の子どもを見舞う家族のために、そのきょうだいを保育するサービスも実施しています。

他に重点的に強化している領域はありますか。

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循環器領域ではカテーテル治療を数多く実施しています。例えば、心臓弁膜症は高齢者に多い病気です。この病気に対しては従来、開胸手術で機能不全を起こしている弁を、人工弁に取り換えたり、自分の組織を使って形成したりする治療が行われていました。しかし、加齢で体力が落ちていたり、基礎疾患があったりすると、開胸手術が難しい場合がありました。近年は、それをカテーテルを血管から心臓まで入れて治療できるようになりました。当院では、内科と外科が協力して大動脈弁狭窄症に対するTAVI(経カテーテル大動脈弁置換術)を実施しているほか、僧帽弁閉鎖不全症に対して医療用クリップを用いた経皮的僧帽弁クリップ術と呼ばれる治療も開始しました。どちらも心臓を止めずに治療でき、体への負担が少ないため、日常生活への早期復帰が期待できます。内科、外科の合同チームで話し合って個々の患者さんに適した治療を行う体制が築かれています。

これからの展望をお聞かせください。

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超高齢社会では疾病構造も変わってきます。地域の医療機関との連携をさらに強め、地域医療をけん引できるよう取り組んでいきます。例えば、がん医療では先端的な医療だけではなく、緩和ケアにも力を注いでいます。緩和ケア病床16床を有しているほか、在宅医療を行う医療機関との連携調整や相談、緩和ケアの教育研修まで総合的な取り組みを行っています。がんだけではなく、他の病気でも慢性的な痛みに苦しむ患者さんは多いので、高齢社会では特に求められる機能だと思います。また、医師の育成という面では、京都府立医科大学の学生に京都府立大学、京都工芸繊維大学の一般教養科目の受講を勧め、臨床実習前には基礎医学教室に配属するなど、全人的な視野を持つ医師、医学者の育成に努めています。当院には人間性豊かな医師がそろっていると思います。それが、患者さんが安心して医療を受けられることにつながると考えています。

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夜久 均 病院長

1982年京都府立医科大学医学部卒業後、同大学第二外科学教室入局。心臓血管外科の医師として勤務し、米国、豪州留学を経て、2004年から京都府立医科大学外科学教室(心臓血管・小児心臓血管外科学部門)教授。2019年から京都府立医科大学附属病院病院長を兼任する。超高齢社会の地域包括ケアシステムに貢献できる新しい病院づくりを進めている。

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