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日本赤十字社 京都第二赤十字病院

(京都府 京都市上京区)

⼩林 裕 院長

最終更新日:2023/03/20

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この地で、質の高い医療を長く提供したい

「京都第二赤十字病院」は、1912年開設の日本赤十字社京都支部常設救護所を前身とし、110年を超える歴史を持つ。現在では、667床を有する病院として、地域の高度急性期医療の役割を担い、各診療科が先進的で専門性の高い医療を提供。ほかの医療機関では対応が難しい症例やまれなケースについても、設備とスタッフを充実させて対応している。「歩み入る人にやすらぎを帰りゆく人に幸せを」を病院の理念に掲げる同院がめざすのは、医師をはじめ多職種のスタッフが、患者や家族と一緒になって健康をめざす医療を提供すること。高度急性期病院としての役割を果たしながら、地域のクリニックや他の病院などとの密接な連携を生かして、 “かかりつけ病院”のように疾患に悩む患者、家族に長く寄り添う姿勢を大切にしている。開業医向けの広報誌の発行や地域の医師会との症例検討会など、各医療機関と顔の見える関係づくりにも熱心だ。同院の特色ある取り組みや長い歴史が物語る地域との密接な関係などについて、「医学だけでなく、患者との関わりを含めた医療を大切にしたい」という小林裕院長に話を聞いた。(取材日2023年1月25日)

地域における病院の位置づけや役割を教えてください。

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当院は高度急性期の中核病院と位置づけられており、救急医療に対応できる医師が数多く勤務し、多くの救急搬送を受け入れています。救急医療がまだ広く注目されていなかった昭和初期から救急医療に取り組んできた歴史があり、救命救急センターも関西圏で早い時期に開設しました。夜間や休日の小児救急については輪番制で担当の病院が決められていますが、入院にも対応できる医療機関は限られます。このため、ほかの病院と連携しながらこの地域の小児救急をしっかりと支えています。また脳卒中の患者さんの受け入れも多く、対応できる医療機関が限られる心筋梗塞などの循環器系の疾患、心臓血管外科の対応が必要な疾患などにも注力しています。一方、事故などによる多発外傷の診療も特色の一つです。また銃創などの多発外傷はまれにしか見られませんが、診療できる医療機関はさらに限られてきますので、職員を海外に派遣するなどして対応できるよう整えています。

「地域がん診療連携拠点病院」に指定されていますね。

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救急医療と並ぶ重点であるがん診療では消化器や呼吸器のがん患者さんが多いですが、同種移植も含め血液のがんにも注力しています。内視鏡手術支援ロボットを導⼊し、前立腺がん手術などに積極的に取り入れています。さらに前立腺の生検には、昨年からMRIと超音波エコーを融合させた機械を導入しました。この機械では採取すべき細胞の部位を精密に特定することが可能です。さまざまな診療科に関わるのががんの診療の特徴です。このため、複数の診療科を統括する「がん診療推進室」を設置し、連携を生かして診療にあたっています。また、臨床倫理委員会ではガイドラインをもとに終末期医療についての対応も検討します。患者さん、ご家族と話し合い、多職種でいろいろな視点からどう対応していくのか検討できるのが強みです。さらに経済的な問題や社会的なことも含めてサポートする相談室も設置しています。

救急医療やがん診療のほかに注⼒している診療はありますか?

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膠原病をはじめとする自己免疫疾患は開業医の先生では対応が難しいため、力を入れている領域です。近い将来には、自己免疫疾患を専門で診る部門が開設できればと考えています。また、自己免疫機能が関わっているクローン病や潰瘍性大腸炎については、専門の医師を中心に多職種でチームを編成して積極的に対応しています。整形外科の膝や股関節の手術についてはより精密な施術が行える支援ロボットを導入しています。以前は医師の経験を頼りに手術を行っていましたが、支援ロボットを活用することで施術の誤差をより少なくし、術後のスムーズな機能回復につなげたいと考えています。

今後の課題として考えておられることはありますか?

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当院は、京都で赤十字病院が発祥した場所にあり、高度急性期病院としての役割が明確になる以前は、救急医療と並行して地域の“かかりつけ病院”としてのスタンスを大切にしてきました。病院が手狭になり、移転が決まった際には、地元の強い要望に応えて一部の医師が残って診療を続けた経緯があり、地域とのつながりの強い病院です。現在のA棟を建設する際も、地元の強い後押しを得て梅屋小学校の跡地を使わせていただきました。時代や医療システムが変わっても、こうした地域との結びつきを今後も大切にしていきたいと考えています。とはいえ、現在の場所で診療を続けるには広さが足りず、建物も老朽化しています。建て増しを繰り返した結果、院内の動線の効率が悪く、患者さんに不便を強いることもあります。患者さんにとってより診療を受けやすい病院となるために、早急に建て替えを実現して、長くこの地で医療を提供したいと考えています。

読者や地域の皆さんのメッセージをお願いします。

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当院の理念は「歩み入る人にやすらぎを、帰りゆく人に幸せを」です。この理念を達成するためには、より安全で質の高い医療の継続的な提供が必要です。「質の高い医療」とは医学的にレベルが高いだけでなく、いかに患者さんに寄り添えるかが大切な条件です。この地で安全かつ質の高い医療を追求し続けるとともに、各医療機関と情報共有・交換しながら、急性期の前後も含めて継続的にともにかかわっていける病院でありたいと考えています。さらに、継続的に質の良い医療を提供するためには、スタッフの人材育成やしっかりとした経済的基盤も必要ですね。こうした基本姿勢を大切にしながら、診療については当院の強みをさらに強化するのが目標です。例えば、少子化で小児の患者さんは減少しているものの、小児救急を受け入れられる病院は限られています。こうした私たちが注力すべき領域、私たちに求められる診療に、これからもしっかりと対応していきます。

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⼩林 裕 院長

1980年京都府⽴医科⼤学卒業。京都府⽴医科⼤学附属病院、舞鶴赤十字病院、大阪鉄道病院などを経て、2008年京都第⼆⾚⼗字病院第1内科部長、2013年同院副院⻑、2017年より現職。⽇本⾎液学会認定⾎液専⾨医。「医学」だけでなく、患者との関わりを含めた「医療」を大切にし、優秀な医師であるよりも、患者にとって良い医師でありたいと考える。

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