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独立行政法人国立病院機構 福岡病院

(福岡県 福岡市南区)

吉田 誠 院長

最終更新日:2025/03/27

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長期的な目線で患者のより良い人生を考える

1926年に開院し、100周年を目前にした歴史ある医療機関である「福岡病院」。「思いやり」を基本理念とし、病と闘う人への共感と、良質な医療をめざす向上心を大切にしている。国立病院機構の病院として政策医療に積極的に取り組み、現在では特に呼吸器・アレルギー・小児・障害者医療の4分野に尽力している。一般急性期から回復期、慢性期まで一貫した診療に重きを置き、慢性呼吸器疾患を対象とした包括的呼吸リハビリテーションの充実や医療的ケア児の受け入れ拡充を図るほか、右心カテーテル検査も新たに導入した。「大切なのは長期的な目線で患者さんやそのご家族と一緒にこれからの人生を考えること。チーム医療に携わるスタッフの専門知識向上や協力体制の強化が、当院の医療のあり方を支えていると考えています」とやわらかな口調で吉田誠院長は話す。院内では医師、薬剤師、看護師をはじめ、さまざまな職種において研究が盛んで、多くの論文を発表しているという。そんな同院の役割や診療の特徴について、吉田院長に詳しく話を聞いた。(取材日2024年3月6日/情報更新日2025年3月24日)

呼吸器内科ではどんな診療が受けられますか?

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子どもから高齢者まで幅広い年齢層を対象に、ほぼすべての呼吸器疾患の診療に応じています。特に気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎などの慢性疾患が多く、最近は感染症も増えました。また院内の呼吸器外科と連携して肺がん治療にも注力。特に患者さんへの侵襲の軽減が望める胸腔鏡下手術は数多く実施しています。その他、慢性呼吸不全を対象とした包括的呼吸リハビリテーションにも尽力しています。呼吸機能検査や動脈血ガス分析など安静時の状態に加え、運動時や睡眠時の評価も踏まえて、理学療法士らによる運動療法・呼吸訓練、管理栄養士の食事指導、薬剤師の吸入指導、看護師の生活指導などからなるチーム医療でオーダーメイドのプランを提供し、生活の質(QOL)向上をめざしています。急性期の治療後も、入院を継続して在宅復帰をめざす回復期リハビリテーションによって、転院せずにシームレスな医療が実現できると考えます。

100周年も目前ですが、新しい取り組みも多いとか。

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当院は福岡市立結核療養所として開設されました。この伝統を引き継いで、現在も呼吸器疾患が大きなウエートを占めています。最近、呼吸器感染症の一つである非結核性抗酸菌症の新しい治療として、抗菌薬の吸入療法が登場しました。特殊な機器を取り扱うには患者さん自身のトレーニングが必要なため、病棟で治療を導入できる体制を整えました。また、呼吸器疾患に併発することの多い肺高血圧症を診断して、重症度を正確に評価するために、循環器内科で右心カテーテル検査を導入しました。このように呼吸器疾患の新たなニーズにもしっかり応えていきたいと考えています。

アレルギー分野ではどのような取り組みに注力されていますか?

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2019年4月に「都道府県アレルギー疾患医療拠点病院」に指定され、アレルギー拠点病院のモデル事業には5年連続で採択されました。事業としては、福岡県アレルギー相談窓口や、アレルギー疾患治療と就労のための両立支援事業を行うほか、院内にアレルギーセンターを開設しています。日本アレルギー学会アレルギー専門医の資格を持つ医師が多数在籍し、アレルギー科、呼吸器内科、小児科、耳鼻咽喉科、皮膚科、心療内科の6つの診療科と、医師、看護師、薬剤師、栄養士、心理士を含む多職種によるチーム医療体制を確立しました。食物アレルギー、薬剤アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、金属アレルギー、食物依存性運動誘発アナフィラキシーなどのアレルギー疾患に幅広く対応し、最善と考える治療をめざしています。小児アレルギーの専門的な知識を持つ看護師、薬剤師、管理栄養士も多いです。遠方からの受診も少なくありません。

障害者医療での取り組みについて教えてください。

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福岡県では以前からNICUでの治療後も、入院の継続が必要な医療的ケア児の受け入れ病床が不足していました。NICU病床の慢性的な逼迫(ひっぱく)は、県内の新生児医療と障害者医療の大きな課題だったのです。そこで、患者さんにとって在宅、療養施設、障害者病棟のいずれが適しているのかについて、重症度や必要な医療的ケアの種類、家庭環境などに基づき、ご本人やご家族と相談できる施設でありたいと考え、2023年度から福岡県や高度急性期医療機関と連携して中間施設としての受け入れを開始しました。障害者病棟では長期入所を対象に3棟130床を確保し、小児一般病棟でも短期入所を受け入れています。近年、人工呼吸管理など高度医療を必要とする超重症児・者が増え、多くの患者さんが長期間の入院を余儀なくされています。隣接の特別支援学校とも積極的に連携し、病室での訪問授業のほか卒業式や入学式を院内で行う機会も設けています。

今後の展望をお聞かせください。

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呼吸リハビリテーション、アレルギーセンターでの活動、医療的ケア児の受け入れなどの取り組みに共通するのは、患者さんのこれからの人生を遠くまで見据えた医療を提供することです。呼吸器疾患では急性期治療から在宅復帰まで、入院期間が90日を超えない範囲内ではありますが、必要な治療や看護をできるだけ1つの病院で完結できるよう、さらに体制を整えていきたいと考えています。今後も高い専門性を生かして、他の医療機関では応えることの難しいニーズにも積極的に対応していきたいと考えています。

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吉田 誠 院長

1989年九州大学医学部を卒業後、同大学呼吸器科に入局。呼吸器科・循環器内科の研修医として研鑽を積む。1996年に九州大学大学院内科系専攻を修了。呼吸器内科とアレルギーを専門領域とし、数多くの患者を診療し、経験を重ねる。カナダ・マクマスター大学の呼吸器研究部門で博士研究員として専門性を深めた経歴も持つ。2019年より現職。質の高いチーム医療のために力を尽くし、若手の人材育成にも積極的に取り組む。

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