全国の頼れる病院・総合病院・大学病院を検索
病院・総合病院・大学病院7,983件の情報を掲載(2024年4月23日現在)

  1. TOP
  2. 福岡県
  3. 福岡市博多区
  4. 吉塚駅
  5. 地方独立行政法人福岡市立病院機構 福岡市民病院
  6. 堀内 孝彦 院長

地方独立行政法人福岡市立病院機構 福岡市民病院

(福岡県 福岡市博多区)

堀内 孝彦 院長

最終更新日:2024/03/18

Main z55442 20240118   11 Main z55442 20240118   11

市民を守るため常に最前線で戦う公的病院へ

「福岡市民病院」は、福岡市博多区、東区を中心とした福岡都市圏において長年にわたり市民に医療を提供してきた。第二種感染症指定医療機関として、新型コロナウイルス感染症流行時には先頭に立って治療に取り組んできたほか、感染症医療や災害医療を担う公立病院としての役割を担っている。また救急医療にも注力しており、第二次救急医療機関としての存在感も大きい。脳卒中をはじめ急性期の脳血管障害については専任の医師が24時間365日体制で迅速に治療を開始する。心不全などの循環器疾患に関しては24時間オンコールにて受け入れている。堀内孝彦院長は「福岡の医療圏を守る公立病院として、新型コロナウイルス感染症にも前線に立って戦ってきたという自負がある。そのDNAを受け継ぎ、平時だけではなくいざという時に頼りになる病院としての役割を果たしたい」と話している。今回は2023年から現職を務める堀内院長に、病院の成り立ちや理念に加え、診療の特徴、今後の展望などについて詳しく聞いた。(取材日2024年1月18日)

まずは病院の成り立ちについて教えてください。

1

当院は1928年に開設された市立松原病院が前身となっています。時代のニーズに合わせて増改築を繰り返し、1989年に現在の場所へと移転。200床を備えた福岡市民病院として再スタートし、2014年には感染症病床を増床し204床となりました。新型コロナウイルス感染症が2類相当から5類感染症へと移行し、時代は変化の時を迎えています。第二種感染症指定医療機関として新型コロナウイルス感染症の患者さんを積極的に診療するという非常事態は収束しつつあることから、今後はますます市民に対して充実した医療サービスを提供する必要があります。依然として受診控えがあり、コロナ禍前の状態に戻ることは難しいでしょう。そのため感染症への対応はもちろん、がん、脳血管障害、心血管疾患などの高度専門医療や救急医療を提供するとともに、公立病院として災害対策にも即効性がある体制を構築していかなければならないと意識しています。

病院の理念や地域に果たすべき役割についてのお考えは?

2

私たちは理念として「こころをつくした質の高い医療を通じてすべての人の尊厳を守ります」という言葉を掲げています。医療においては当たり前のことですが、患者さんの目を見てお話しをして診療を行い、最後は元気で過ごしてくださいと送り返す。そこには精度の高い医療が求められます。医師やコメディカルスタッフが常にスキルを高め、診療科の垣根を超えてチームワークを発揮しなければ理念を実現できないというのが私の考えです。当院は救急医療、感染症医療、災害医療、高度医療、地域医療連携の5つの柱で成り立っていますから、市民の皆さまにとって「何か不測の事態が起きた時に頼れる病院」としての役割を果たしていきたいと思います。地域医療支援病院、紹介受診重点医療機関として、地域のクリニックと連携し、顔の見える緊密な協力体制を構築していくほか、市民公開講座にも取り組みながら地域とのつながりを深めていきたいと思います。

特徴的な診療領域についてお聞かせください。

3

がん診療については、肝臓・胆のう・膵臓をはじめとした消化器がん治療が強い部分です。地域特性として肝炎などの肝臓疾患が多いエリアですから、中でも肝臓がんについては内科部門と外科部門が密に協力し治療にあたっています。また整形外科領域では脊椎疾患の患者さんが多いのが特徴です。当院の整形外科は立ち上げの段階から脊椎疾患に強い医師が多く、現在も整形外科医7人中5人が脊椎を専門としています。加えて、救急医療も欠かすことはできません。二次救急を担っており、特に脳血管障害については患者さんの搬入後迅速に治療を開始するため24時間365日体制で専任の医師が対応します。心不全、心筋梗塞、不整脈など緊急性の高い循環器疾患に関してもオンコールで常に受け入れているところです。今後、団塊世代の年齢が高くなり心不全パンデミックが起こるという予想もあり、ニーズに応えるためにも注力しています。

今後の課題や力を注ぎたいことはありますか?

4

福岡市立病院機構には当院以外に「福岡市立こども病院」があります。小児・周産期に特化したユニークかつ存在感のある病院ですが、医療の進歩により原発性免疫不全、重篤な感染症、小児がんなどの難病も治療が期待できるようになりました。そうした子どもたちが大人になれば、当然受け入れる病院が必要になります。いわゆる移行期医療という課題ですが、いかにスムーズに診療をつなげるかが課題になっています。中には5万人に1人、1万人に1人という難病を持っていた方もいるわけですから、一般の病院でのフォローアップは困難です。同じ機構の病院として当院が担っていくべきだと考えていますし、一つの連携モデルを提示できるようにしたいと思います。また、新型コロナウイルス感染症に関しても、これが最後のパンデミックであるという保証はありません。福岡はアジアの玄関口でもあるため、その防波堤となるべく非常時への備えも重要だと思っています。

最後に市民の皆さんにメッセージをお願いします。

5

当院は福岡市の病院ですから、基本的には福岡都市医療圏の皆さまのお役に立つことが前提です。世界とも近い都市であり、今後も感染症や災害などに即応できる体制が必要です。高度医療にも対応していくため、スタッフのスキルアップ、人員の拡充、そして施設や設備の充実などを図りながら、常に期待に応えることをめざしていかなければなりません。一人の医師として医療に必要なものを考えた時、思い浮かぶのは患者さんが抱えている問題を解決できる、問題解決能力です。もちろん患者さんご自身には経済的な問題や周囲の環境などさまざまなお悩みがあるかと思いますが、医療に関連するお困りごとであれば何でも解決できることが目標でもあります。福岡市民病院はコロナ禍において前線に立ち命懸けで戦ってきた病院です。そのDNAを受け継ぎ、いざという時に頼っていただける病院であり続けたいと思います。

Main z55442 20240118   11

堀内 孝彦 院長

1982年九州大学医学部卒業。九州大学第一内科に入局し、国立がんセンター研究所を経て、米国アラバマ大学に留学。愛媛大学医学部第一内科助手、九州大学医学部第一内科助手・講師などを経て、2013年に九州大学病院別府病院内科教授、2016年に同病院の院長、2023年より現職。NPO法人遺伝性血管性浮腫情報センター理事長、一般社団法人遺伝性血管性浮腫診断コンソーシアム代表理事などを務める。

access.png