個人差が大きい更年期症状
些細な不調でもまずは婦人科へ相談を
医療法人藤森医療財団 小国病院
(兵庫県 姫路市)
最終更新日:2025/03/07


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多くの中高年女性が直面する更年期障害。体力の低下が加速する時期に家庭や仕事のストレスが加わる場合もあり、心身のつらい症状に苦しんでいる人も多いという。ただ、更年期障害を経験する時期や悩まされる症状は人それぞれで、症状の重さも個人差が大きいそう。また、更年期障害だと思い込んでいた症状から他の病気が見つかることもあり、「些細な不調や不安でも、まずは婦人科で相談してほしい」と「小国病院」の福本俊院長は話す。「地域の女性の健康に貢献する医療」を提供する同院では、更年期障害の診療にも注力。受診前の相談から詳しい検査、薬物治療、生活習慣の改善と、女性の心身を熟知した医師やスタッフがさまざまなサポートを行っている。そこで、更年期障害の症状や治療について詳しく教えてもらった。(取材日2025年1月27日)
目次
ホルモン補充療法や漢方薬、生活習慣の改善なども組み合わせ、その人に適した治療で「つらさ」の改善を
- Q更年期障害はどういったもので、どのような症状がありますか?
- A
白を基調とした明るい雰囲気の待合スペース
多くの女性は45歳~55歳の間に月経が終了し、これを閉経といいます。この閉経前後には、体調に加え精神面でもさまざまな変化や不調に見舞われることがあり、これらをまとめて更年期障害と呼びます。よくみられる症状としては、体や顔が突然ほてったり汗が出る「ホットフラッシュ」、心臓が急にドキドキする「動悸」、体力が落ちたように感じる「疲れやすさ」、眠れない、あるいは眠りが浅いといった「不眠」、また精神面では情緒不安定や気分の落ち込みが強くなり、イライラが募るといった訴えも多いです。その他、人によっては耳鳴りや物忘れが増えたり、主に手足の関節が痛くなったり、腟が乾燥して性交痛に悩むこともあります。
- Qこちらでも、更年期障害の相談や治療が受けられるのですね。
- A
病院内に薬局があるため利便性も良い
はい、当院の婦人科ではHRTや漢方薬、生活習慣の改善も組み合わせて治療を行います。HRTでは貼り薬、塗り薬、飲み薬などが使えますし、漢方薬でもさまざまな選択肢があります。もちろん、薬物治療には期待できるメリットとともにリスクもあり、それらをよく知った上で治療を始めることが大切です。当院では、各患者さんの症状や健康状態、生活背景などもよくお伺いしながら、その方に適した治療を行うようにしています。もし受診が不安であったり「恥ずかしい」と思われたりするようであれば、看護師による相談室があり、更年期障害や治療についてもゆっくりお話を伺いますので、ぜひ気軽にご利用ください。
- Q治療中の注意点があれば教えてください。
- A
症状や生活習慣に寄り添った治療を実施
HRTではいくつかの副作用の可能性が知られています。例えば、まれに血栓症のリスクが高まることがあるので、投与中は定期的に受診して血液検査や体重管理を行う必要があります。また、年齢的に見ても乳がんや子宮体がんの検診を定期的に受けることが重要で、これらから異常を早期に発見できれば、適切な対応へとつなげられます。同時に、生活習慣を整えることも欠かせません。喫煙や過度の飲酒は控え、バランスが取れた食事や適度な運動を意識する。ストレスの要因があれば、減らしてみることも大事でしょう。お薬をうまく取り入れながら、これまでの生活も見直し、ご自身が心身ともに快適に過ごせる環境をつくってみましょう。
- Qそもそも、更年期障害を予防することはできるのですか?
- A
完全な予防は難しいかもしれませんが、さまざまなアプローチで症状の軽減がめざせます。例えば食事。野菜や果物、全粒穀物、良質なたんぱく質は、ホルモンバランスを整える助けになります。更年期に不足しがちな成分を補うサプリメントを、試してみても良いでしょう。定期的な運動もストレスの軽減や心身の健康に役立ち、ヨガやウォーキングなどがお勧めですね。そして良質な睡眠をしっかりと取ることが、疲労の回復やホルモンバランスの維持につながります。ストレスの原因を取り除けなくても、瞑想や深呼吸、マッサージなどのリラクゼーションはストレスを和らげますし、趣味など好きなことを楽しむ時間は心の健康を支えてくれるはずです。