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宝塚市立病院

(兵庫県 宝塚市)

今中 秀光 病院長

最終更新日:2023/11/07

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「地元で治療を受けたい」市民の期待に対応

独自の文化を育み、地元を愛する住民が多く暮らす宝塚市。「宝塚市立病院」は市内の公立病院として、約40年にわたり地域の医療を支えている。近年ではがん診療や救急医療、さらに消化器内科や整形外科など市民からのニーズが高い領域を中心に、診療体制の拡充に取り組んできた。同時に、開業医から病院長へのホットラインを開設し、入院前から退院後まで患者・家族を一貫して支援できる患者サポートセンターを設けるなど、地域と病院とのつながりを確かなものにする仕組みづくりにも注力。7年前から病院長を務める今中秀光先生は「開業医の先生方からのご紹介が増え、市内の医療機関や介護施設などとの連携もスムーズに行えています」と手応えを語る。そんな同院では「住み慣れた場所で暮らし続けながら、質の高い医療を受けたい」という地域住民の願いに応えるべく、長期的な観点からの病院改革も進行中だ。「地域から信頼され、それを職員が意気に感じる。患者さんも職員も幸せになる病院をめざします」という今中先生に、同院の現状や将来像について聞いた。(取材日2023年9月7日)

最初に、地域における貴院の役割についてお聞かせください。

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当院は1984年に開設されました。公立病院かつ地域医療支援病院にも指定されており、宝塚市内はもとより隣接する川西市や伊丹市からも患者さんが来られています。兵庫県の南東部、いわゆる阪神北準圏域といわれる地域の北部には病院が少ないので、そこも含めた地域医療を支えていくのが当院の役割だと考えています。現在は31診療科があり、心臓血管外科や分娩は近隣の病院にお願いしていますが、その他の領域では幅広い診療が可能です。また当院は救急告示医療機関であり、“2.5次”の診療体制を整えていると自負しています。宝塚市は地域に愛着をもって長く暮らしている方が多く、高齢化が進んでいるため、遠方への通院がどうしても負担になり、「地元で確かな治療を受けたい」というご期待が高まっています。そこで当院では、がん診療、救急医療を中心に、消化器内科や整形外科などの診療内容やスタッフの拡充を図ってきました。

では、がんの治療についてご紹介ください。

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外科治療、薬による化学療法、放射線治療の大きく3つがあり、各々に注力しています。2018年にがん診療部門を集約したがんセンターを開設。20床を設けた2階の化学療法センターでは患者さんが安全に安心して治療を受けられるよう、専門のスタッフが治療を行います。当院には腫瘍内科があり治験への参加など先進の化学療法も実施しています。また1階の放射線治療センターに導入している強度変調放射線治療(IMRT)や動体追尾照射システムでは、腫瘍の範囲や体動に合わせた高精度の照射が可能です。これにより治療時間の短縮、放射線性肺炎などの有害事象の抑制、患者さんの負担軽減が見込めます。当院はアジアの中でも早くから動体追尾照射システムによる治療を開始し、世界的にみても早期にこの技術で肝治療を行いました。現在は前立腺がん、肺がんや乳がんなどの患者さんが多く、乳腺外科には女性医師が在籍しており受診される方が増えています。

がんに関しては、患者・家族支援にも力を入れているとか。

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がんになると、精神的、経済的な面などでも悩みや苦しみが生じがちです。そこで、がんセンターの中にがん診療支援センターを設け、専門の看護師やスタッフなどがあらゆる相談に対応。患者さんやご家族同士が本音で語り合えるがんサロンも開催しています。さらに、がんが進行して治療が難しい時期になった場合には、緩和ケア病棟で過ごしていただくこともできます。緩和ケアを専門とする医師や日本看護協会緩和ケア認定看護師のほか、カウンセラーや臨床心理士、多職種のスタッフが苦痛を和らげるためのケアやサポートを行います。症状が落ち着いた場合にはご自宅へ戻ることが可能ですし、また不調になれば緩和ケア病棟をご利用いただくといった循環で、最期まで落ち着いた、充実した時間を過ごしていただけるように努めています。このように、検査、診断からさまざまな治療、ケアまで、一貫したがん診療を提供できるのが当院の特徴です。

消化器内科や整形外科、救急の特徴を教えてください。

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消化器内視鏡センターには5室の検査室を設け、11人の医師が在籍。上部・下部消化管や肝胆膵の多くの検査や内視鏡治療を実施しています。胃カメラは高画質の経口内視鏡を使用し、鎮静を行いますので、患者さんには寝ている間に終わったと感じていただけるのではないでしょうか。また当直の医師が毎日いますので、夜間の緊急内視鏡も可能です。整形外科では高齢者に多い大腿骨骨折にも積極的に対応しており、脊椎疾患の治療にも力を入れています。人工股関節や膝関節の手術も増えていますね。またリウマチ科では薬物治療に加えて手の外科治療も開始し、治療選択肢が広がっています。救急医療センターではハイケアユニットの機能を持つ病床を設け、中等症以上の症例や夜間の救急搬送にもスムーズに対応。また救急外来では平日の昼間、救急隊員が救命処置に加わり、必要に応じて当院の医師が救急車に同乗するため、効率的な救急搬送や初療が実現しています。

院外との連携や、今後の病院像についてお聞かせください。

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急を要する患者さんを迅速に受け入れられるよう、開業医の先生方が私や総長に直接連絡できる「院長ホットライン」や、救急隊から脳外科の医師へのホットラインも開設。また、患者サポートセンターでは入院前から退院後まで切れ目なく支援します。これらの仕組みや各科での意欲的な診療によって、以前であれば阪神間や大阪の病院を受診していた患者さんにも、頼ってもらえるようになったという実感はありますね。ただ、新規の治療を導入するためには新たな設備やスペースも必要になります。時代に応じた質の高い医療を安全に提供し続けるべく、院内では、建て替えも含め病院像について検討を始めています。そこで大事になるのは、やはり「市民の皆さんが、ご自宅に近いところで医療を受け、快適に暮らすための病院」という当院の使命です。地域で信頼され、それが職員のやりがいにもつながるような病院を、今後もめざしていきます。

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今中 秀光 病院長

1983年大阪大学医学部卒業。大阪大学医学部附属病院麻酔科および集中治療部、関西労災病院麻酔科等で研鑽を積み、1994年にはハーバード大学マサチューセッツ総合病院麻酔科に留学。1996年国立循環器病センター外科系集中治療科。2001年より同科医長。2007年には徳島大学医学部医学科病態情報医学講座救急集中治療医学准教授、2016年より現職。還暦の際スタッフから贈られた赤いスクラブがトレードマーク。

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