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宝塚市立病院

(兵庫県 宝塚市)

岡田 敏弘 病院長

最終更新日:2024/06/17

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地域の思いに応え、進歩を続ける公立病院

独自の文化を育み、地元を愛する住民が多く暮らす宝塚市。「宝塚市立病院」は、市内の公立病院として、約40年にわたり地域の医療を支える病院だ。近年ではがん診療や救急医療、さらに消化器内科や整形外科など市民からのニーズが高い領域を中心に診療体制の拡充に取り組み、2024年4月には新たに人工関節センターがスタート。それと同時に病院長へ就任した岡田敏弘先生は「患者さんに寄り添い、地域から信頼される病院になります」と、その強い思いを理念に掲げる。「住み慣れた場所で暮らし続けながら、質の高い医療を受けたいという思いは当然のこと。地域の皆さんのそんな思いを支えることも、われわれが果たすべき役割の一つだと考えています」。地域のクリニックから病院長へ直接連絡できるホットラインの設置など、地域の医療機関や介護施設との関係強化はもちろんのこと、入院前から退院後まで患者・家族を一貫して支援できる仕組みづくりにも注力する同院。地域により貢献するための病院改革に取り組む岡田病院長に、同院の現状や将来像について聞いた。(取材日2024年5月15日)

まずは、地域における貴院の役割についてお聞かせください。

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当院は1984年に開設された公立病院かつ地域医療支援病院です。兵庫県の南東部、いわゆる阪神北準圏域といわれる地域の北部には病院が少ないので、そこを含めた地域医療を支えることがわれわれの役割だと考えています。現在は31の診療科があり、心臓血管外科や分娩こそ近隣の病院にお願いしていますが、その他の領域では幅広い診療が可能です。また当院は救急告示医療機関として、年間数多くの救急対応を行っています。宝塚市は地域に愛着を持って長く暮らしている方が多く、高齢化が進んでいるため、遠方への通院がどうしても負担になり、「地元で確かな治療を受けたい」というご期待が高まっています。その気持ちにお応えするため、がん診療、救急医療を中心に、消化器内科や整形外科などの診療内容やスタッフについても、さらなる拡充を図りたいと考えているところです。

注力されているがん診療について、詳しくご紹介ください。

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外科治療、薬による化学療法、放射線治療の大きく3つがあり、それぞれに注力しています。2018年にはがん診療部門を集約したがんセンターを開設し、専門的かつ標準的ながん治療が宝塚市内で完結できるようになりました。20床を設けた2階の化学療法センターでは、腫瘍内科と専門スタッフが協力して化学療法を実施しています。また1階の放射線治療センターに導入している強度変調放射線治療(IMRT)や動体追尾照射システムでは、腫瘍の範囲や体動に合わせた高精度の照射を追求しています。これにより治療時間の短縮、放射線性肺炎などの有害事象の抑制、患者さんの負担軽減が見込めます。当院はアジアの中でも早くから動体追尾照射システムによる治療を開始し、世界的に見ても早期にこの技術で肝臓がん治療を行いました。現在は前立腺がん、肺がんや乳がんの患者さんが多く、乳腺外科には女性医師が在籍していますので受診される方が増えています。

がんに関しては、患者・家族支援にも力を入れているそうですね。

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がんになると、精神的、経済的な面などでも悩みや苦しみが生じがちです。そこで、がんセンターの中にがん診療支援センターを設け、専門の看護師やスタッフなどがさまざまな相談に対応。患者さんやご家族同士が本音で語り合えるがんサロンも開催しています。さらに、がんが進行して治療が難しくなった場合には、緩和ケア病棟で過ごしていただくこともできます。緩和ケアを専門とする医師や日本看護協会緩和ケア認定看護師のほか、カウンセラーや臨床心理士、多職種のスタッフが苦痛を和らげるためのケアやサポートを行います。病床も14床に増床し、医師も増員。今後は放射線治療による疼痛制御にも注力していきたいと考えています。症状が落ち着けばご自宅へ戻り、不調になれば緩和ケア病棟をご利用いただくといった循環で、地域の先生方と協力しながら、検査、診断からさまざまな治療、ケアまで、一貫したがん診療を提供できるのが当院の特徴です。

消化器内科や整形外科、救急の特徴を教えてください。

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消化器内視鏡センターには5室の検査室を設け、13人の医師が在籍。上部・下部消化管や肝臓・胆道・膵臓の多くの検査や内視鏡治療を実施しています。胃カメラは高画質の経口内視鏡を使用し、鎮静下で検査を行いますので、患者さんの心身の負担も少ないと思います。また当直の医師が毎日いますので、夜間の緊急内視鏡も可能です。整形外科では高齢者に多い大腿骨骨折や脊椎疾患の治療に力を入れています。さらに2024年4月には新たに人工関節センターも稼働しましたので、より専門性が高く人工股関節の手術に取り組めるチーム体制が整いました。リウマチ科では薬物治療に加え、手の外科治療など治療選択肢が広がっています。救急医療センターではハイケアユニットの機能を持つ病床を設け、中等症以上の症例や夜間の救急搬送にもスムーズに対応し、一分一秒を無駄にせず効率的な救急搬送や初療を実現しています。

院外との連携や、今後めざす病院像についてお聞かせください。

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新型コロナウイルス感染症の流行で中止していた地域の医療機関への訪問や地域医療懇話会を再開し、地域の医療機関と顔の見える関係強化に努めたいと考えています。開業医の先生方が病院長に直接連絡できる「院長ホットライン」や、救急隊から脳神経外科の医師へのホットラインを生かし、これまで以上に協力して地域の皆さんの安心を支えていければと思います。また公立病院として、平時だけでなくコロナ禍のようなパンデミックや災害時にも、地域の基盤を支える病院として力を発揮しなくてはならないと強く感じています。これまで以上に「市民の皆さんが、ご自宅に近いところで医療を受け、快適に暮らすための病院」であるために、建て替えも含めた病院改革が動き始めました。時代に即した質の高い医療を安全重視で提供するだけでなく、公立病院の当院だからこそできることは何か目をそらさずに考え、あるべき姿へ近づいていけるよう努力し続けたいと思います。

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岡田 敏弘 病院長

1988年兵庫医科大学卒業。兵庫医科大学病院第1外科で24年間、宝塚市立病院で7年間研鑽を積む傍ら、兵庫医科大学大学院での研究や民間病院での勤務などを経て、2022年に宝塚市立病院の診療部長兼外科主任部長に再赴任。2023年より副院長、外科主任部長および患者サポートセンター長を務め、2024年4月より現職。「信頼され愛される病院」をめざし、邁進している。専門は内視鏡外科手術。

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