学校法人藤田学園 藤田医科大学病院
(愛知県 豊明市)
今泉 和良 病院長
最終更新日:2026/02/06


がん医療や急性期医療を強みに研究にも注力
名古屋市緑区と豊明市にまたがる広大な敷地に立つ「藤田医科大学病院」。尾張東部地域の基幹病院として、また医学教育機関として、救急医療、超急性期医療の充実、優秀な医療人の輩出を大きな使命とし、長く地域医療に貢献してきた。1376床の病床数を備えるとともに、高度救命救急センター、総合周産期母子医療センターを擁し、数多くの救急車を受け入れる。手術支援ロボットは6台を有し、積極的に活用。地域がん診療連携拠点病院として、がん医療にも力を注ぐ。約50年にわたり紡いできた「優しい医療」という創業理念が根底にあることは変わらず、チームで患者目線を大切にした医療の提供を心がけている。また、大規模災害を想定した対策にも注力しており、今泉和良病院長は、「医療救護活動の要となるべく、ドクターヘリの運航や、太陽光発電などインフラ整備を進めています」と力強く語る。医療DXの推進、新設備の始動、他大学との共同コンソーシアムの立ち上げなど次々と新しい試みに挑み、今なお進化を続ける同院。その現状や将来像について、今泉病院長に話を聞いた。(取材日2025年12月23日)
病院の役割や特徴を教えてください。

当院は、がん医療から超急性期医療、急性期医療まで、幅広い疾患への対応と高度で先進的な医療の実践を使命としています。救急車の受け入れ台数と病床数の多さ、手術支援ロボットを国内産含め6台有していることも特徴でしょう。ロボット支援手術は外科領域、婦人科の手術で行っており、ロボット支援手術のためのトレーニング施設もあるなど指導体制も徹底しています。また、心臓以外の臓器移植が可能です。さらには地域災害拠点病院という役割も大きく、2024年にはドクターヘリの運航が始まりました。また、この地域は溜池が多く、当院の敷地にもあるのですが、その水面と、職員駐車場の屋根には太陽光パネルを設置し、災害時の電力確保に備えています。藤田医科大学の学生は全員、防災士の資格を取得し、災害発生時にすぐに動ける人材として期待されています。
がん医療についても詳しくお聞かせください。

がんの治療は、薬物療法、放射線療法、手術に対応。外来では49床を用意しています。乳がん領域では、乳頭温存のロボット支援手術の実用化を視野に研究を進めています。また、がんゲノム医療連携病院としてがんゲノム医療にも積極的に取り組んでいます。ゲノム専門の医師がいますので、がんだけでなく、がん以外の遺伝性腫瘍、遺伝子異常のカウンセリングも行っています。がんのしくみを深く理解し、それぞれの患者さんに合った治療をご提案できると思います。さらに2024年には、放射性医薬品を体内に投与して、がん、あるいはアルツハイマー病の診断、治療につなげるための核医学専用施設が完成。当院で放射性医薬品を合成できることになり、より多くの患者さんの診断・治療に役立てるようになりました。今後は前立腺がんなど適用する疾患を順次拡大していく予定です。このように、がん治療の発展にいっそう寄与することをめざしています。
他にも新たな取り組みはありますか?

AIの活用による診断や医療補助業務の実践など医療DXを実装したスマートホスピタル構想を推進しています。具体的には、診療時に患者さんの主訴や症状をAIが録音、分析して電子カルテに入力したり、退院時のサマリーのたたき台をAIに作成させたりといったことなどです。他にも、医薬品の運搬、調剤、PCR検査などロボットが活躍する場は増えています。現場の業務の効率化は医療者の負担を軽減し、医療の安全性を重視することにもつながります。2025年には順天堂大学と共同で、医療情報や電子カルテを安全かつ効率的に活用するためのコンソーシアムを立ち上げました。これにより、さまざまな臨床研究や解析データなど膨大な医療情報が標準化、活用されて、よりしっかりした医療体制ができ上がり、病診連携、病病連携が強化され、患者さんの利益になると考えています。
チーム医療についても教えてください。

医療サービスはすべて、それぞれの専門性を持つ多職種のスタッフが一丸となってのチーム医療により提供されています。藤田学園はもともと検査技師さんの学校としてつくられたと聞いています。医学部は後からできたという歴史があり、看護師、リハビリテーションスタッフ、検査技師などのコメディカルや医師がともに学ぶアセンブリ教育がなされています。学生時代から、チームで課題に取り組むという姿勢ができていますので、それがそのまま現在の病院の特色として浸透しているのではないでしょうか。そして患者さんを中心に、患者さんのことを第一に考える「優しい医療」という藤田学園創設者、藤田啓介の理念は、当院に文化として根づいていると思っています。
今後の展望についてもお聞かせください。

今後も、超急性期、急性期の医療を担い、がん治療をはじめ高度で先進的な治療に積極的に取り組んでいきます。それとともに、医師主導研究や新しい治療法の研究にも注力し、これまで適応のなかった薬の新しい展開など医療を創出する、アジアの中でも先進的な研究拠点をめざしたいと考えています。その分、慢性期疾患の治療や持続的なリハビリは近隣の病院にお願いすることになります。当院は、豊明市はじめ名古屋市東部、日進市や岡崎市の医療機関とつくるネットワークの一員です。そのネットワークの中で、当院は急性期医療を担当し、それぞれの病院が慢性期医療、リハビリ、介護、在宅と機能分担しようというしくみができています。地域を点で捉えるのではなく面で捉え、地域医療機関と協力し合って、患者さんが安心して暮らせるようにサポートしていきたいですね。これからも、「困ったら藤田さん」と信頼していただける存在でありたいと思っています。

今泉 和良 病院長
1985年名古屋大学医学部卒業。東海市民病院、名鉄病院呼吸器内科勤務を経て、1994年名古屋大学医学部附属病院第一内科へ。2009年同大学医学部呼吸器内科准教授。2011年藤田医科大学呼吸器内科学講座教授、2016年同大学病院副院長、2025年4月より現職。専門分野は呼吸器内科で、肺がんや間質性肺炎など難治性呼吸器疾患の診療に従事。





