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学校法人藤田学園 藤田医科大学病院

(愛知県 豊明市)

白木 良一 病院長

最終更新日:2023/06/13

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国産の手術支援ロボットも駆使した医療

名古屋市緑区と豊明市にまたがる広大な敷地に立つ「藤田医科大学病院」。大学、研究施設と複数の病棟が青々とした芝生広場を囲む。長く地域に根づき、地元住民に愛されるとともに、基礎研究や医療人の育成に地道に取り組んできた歴史がある大学病院だ。昨今では低侵襲で行うロボット支援手術やがんゲノム医療にも注力し、設備や施設の充実を図ってきた。2021年から新たに病院長に就任した白木良一先生は、泌尿器分野でロボット支援手術に早くから取り組んできたパイオニア的存在でもある。「新しい治療を提供できる体制づくり、IT技術の活用で働きやすく安全性に配慮した医療環境整備を進めています」と話す白木病院長に、先進の医療と進化するソフト面について詳しく聞いた。(取材日2022年8月23日)

こちらで注力しているロボット支援手術について教えてください。

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当院のロボット支援手術は、外科系すべての診療科で3台を稼働しながら行われています。2009年の導入以来、数多くの手術を手がけ、2021年9月からは、開発に本学が携わった国産の手術支援ロボットでの手術も始めました。まだ、泌尿器領域だけでなおかつ保険適用の術式も限られていますが、中には骨盤臓器脱に対する先進の術式も含まれています。日本のメーカーが開発しているわけですから、手術をしていく中での改善点をスピーディーに反映することができるのは大きなメリットですね。さらに、海外製のものよりも動作周りがコンパクトに作られているため、アジア人のように体の小さい人の手術に向いていると思います。今後は、体の奥のほうで細かい操作が適切に行えるという利点も生かし、がん摘出だけではなく、先天的な疾患や機能温存のための手術にも役立てていければと考えています。

がんゲノム医療連携病院にも指定されていますね。

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ゲノム医療とは、患者さん自身のゲノム情報を実際の診療に応用することです。がん細胞の遺伝子変異を特定することで、治療前に効果が見込めそうな薬の選択肢を増やせる可能性がありますが、保険適用になっているのはまだ一部のがんだけです。大学のがん医療研究センターに、今年の8月からがんゲノム専門の医師が入り、新鋭の遺伝子パネル検査機器も導入しました。体制が整った段階で開始したのが、「手術を受けるがん患者さんのゲノム解析」です。これは、当院でがん手術をされる患者さんが対象で、年齢や性別も問いません。160種類のがん遺伝子変異を検出するがん遺伝子パネル検査で採取したがん組織を解析します。蓄積したデータは、個別化治療や新治療の開発にもつながりますので、第2弾として血液の検査を使ったゲノム解析も計画しています。

スマートホスピタル構想についても教えてください。

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新型コロナウイルス感染症の拡大もあり、医療従事者の負担は増えています。院内ラジオ「フジタイム」を放送しているのですが、患者さんは看護師の業務の大変さを目の当たりにしているためか、質問コーナーでは看護師のことを案じて気にかけていただくような投稿も多々あります。患者さんにご心配をおかけしないためにも、ロボットやITシステムを活用するスマートホスピタル構想を進めて、医療従事者の負担を減らし、医療の安全性を高めていきたいですね。具体的には、ロボットによる検体や医薬品の運搬をはじめ患者さんの移送、院内誘導などで、スタッフが見守りながら慎重に病院内での実証実験を進めています。リハビリテーションや調剤、PCR検査など、ロボットを活用できる場は複数あり、職員の負担軽減だけでなく、患者さんの利便性の向上にも役立てるよう努めています。

5月には「フジタモール」も完成したそうですね。

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私たちは病院であり大学でもあるので、アカデミックで明るい雰囲気にしたいと考え、アメニティー施設の充実にも注力しています。患者さんの入院生活や外来時に少しでも快適に過ごしていただきたいとの思いで、コンビニをはじめ、郵便局やATM、そして「フジタモール」内にはカフェや理容室、美容室も入っています。抗がん剤や放射線治療による副作用に悩む患者さんにも対応したいと思い、医療用ウィッグの販売や病棟出張といった病院内美容院ならではのサービスを提供しています。「フジタモール」前にある芝生広場は、ベンチもあり、平時は癒やしの場になっていますが、災害時には広場の格納庫にあるテントを張ってトリアージが行えるようになっています。地域の方々も気軽に来ていただける場でもあり、頼りになる場でもあるようにしていきたいですね。

最後に今後の展望についてお聞かせください。

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近い将来、起きるといわれている震災に備え、地域の基幹病院として災害対応の機能を高めていかなければいけないと思っています。水や電気などの環境整備を進め、患者さんや地域の方々に頼りにされる病院をめざしていきたいですね。そしてもう一つは、がん治療。世界にはまだ日本で導入できないような、さまざまな治療法があります。そういった新しい治療が日本でも受けられるよう1日でも早く進めていかなければいけません。先ほどもお話ししたがんゲノム医療もそうですが、ゲノムの情報から次の治療に結びつけられるような研究を発展させていきたいですね。大学病院ですから、先進的な治療を常に患者さんに提供できる体制を維持していきたいと考えています。

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白木 良一 病院長

1984年慶應義塾大学医学部卒業。立川病院医員を務めた後、1992年より2年間、米国セントルイス・ワシントン大学外科客員研究員として留学。1995年より藤田保健衛生大学医学部泌尿器科で15年間、講師、助教授を務めた後、同大学医学部腎泌尿器外科教授、講座教授を5年間務める。2016年藤田保健衛生大学病院副院長を経て2021年より現職。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医。

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