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西尾市民病院

(愛知県 西尾市)

禰宜田 政隆 院長

最終更新日:2023/10/02

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中規模病院の利点を生かし若手育成にも注力

今から75年前、1948年に西尾町立西尾地方病院として開院し、1966年に西尾市民病院に改称、現在は二次救急病院として救急医療や急性期治療に対応する「西尾市民病院」。22の診療科を標榜し、321病床を持つ。これまで複数科の撤廃や病床縮小、病棟改修など改革を進めてきたが、長く地域に根づいた、患者との距離が近いアットホームな病院として親しまれている存在だ。就任して10年になる禰宜田政隆院長は、「市民のため産婦人科と泌尿器科を復活させていきたいですね」と意気込むとともに、若手医師の育成にも注力していきたいとしており、「研修医には臨床の現場で体験を通して医師として、人として成長してほしい」と期待を寄せる。コロナ禍以前から市民公開講座などを通して常に市民に寄り添う姿勢を貫いてきた同院。「市民がいつでも安心して頼れる病院であるように」と将来を見据える禰宜田院長に、同院の特徴やめざすところを聞いた。(取材日2023年7月12日)

こちらで注力されている診療などはありますか?

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当院は2023年で創立75周年を迎えます。病院改革の中で診療科の縮小などを行い、現在は22科となりました。その中で、この地域でも珍しいのは昭和大学とつながりのある形成外科です。形成外科の常勤医師がいる病院としての歴史は古く、1976年より同大学から医師が派遣されていました。当時、同大の先生と当院の院長にご縁があってのことと聞いています。形成外科には血管腫のあるお子さんをはじめ、青や赤色のあざ、ほくろ、しみ、外傷、やけどの方、また美容に関心のある方などさまざまな患者さんが大勢来られます。同科では2022年に新しい機器を導入するなど多種のレーザー治療器をそろえています。近隣に専門施設も少ないことから完全予約制で部門化し、力を入れているところです。また眼科も三河地域においては歴史があり、現在は白内障、緑内障、加齢黄斑変性などの治療を行うほか、週2回、斜視と弱視の専門の外来を設けています。

他にも先進の治療機器があれば教えてください。

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2023年度、高精度な放射線治療ができる新しいシステムを導入しました。腫瘍の形や大きさに合わせて放射線を集中させて照射するもので、腫瘍の周辺の正常組織への放射線量を減らすことをめざします。従来は正常組織への副作用が心配されていましたので、それが軽減され治療効果の向上が期待されています。内蔵されたCTで画像を撮影して腫瘍とその周辺の正常な臓器の位置を確認し、体の位置の微調整を行うことでより適切な放射線治療が可能となります。当院で多いのは、乳がん、肺がん、消化器のがん、泌尿器のがんなど。このシステムにより、患者さんには今まで以上に安心して治療を受けていただけると思います。また通常の画像撮影に加え、より精密に物質を調べられる性能を持つCTがありますのでその活用をいち早く実現するよう努めているところです。実現すればMRIより迅速な診断が望め、脳梗塞のより迅速な治療に役立つと思います。

「温かい心」や「人に優しい医療」を理念とされていますね。

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はい、そうした「心」や「人」を重んじる医療のためには、患者さんとのつながり、職員同士のつながりを最も大切にしなければなりません。20年以上前に当院に着任した時、患者さんが「うちで今日取れたよ」と言って野菜を持ってきてくださってびっくりするやらありがたいやらということがありました。今も何となくアットホームな雰囲気はありますね。研修医も数が多くないのでみんな顔を知っています。コロナ禍以前は年に1度、職員でバーベキューをしていたんですよ。また三河湾に浮かぶ佐久島に医師を派遣していた時期には、島でも患者さんたちとバーベキューをしたりということがありました。さらに以前は島での健康相談や、地元の金融機関にご協力いただき市民向けの公開講座も開いていましたので、これから徐々にそれらの催しや救命処置講習会、看護師による豆知識公開講座などを復活させていきたいですね。

若手医師の育成についてはいかがですか?

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西尾市の人口17万に対し医師の数が少ないため、医師確保は長年の課題で、解消のための取り組みをこれまでさまざま行ってきました。若い医師の育成は市民のためにもたいへん望まれることです。研修医はどうしても大規模病院に集中してしまう流れがあるのですが、当院でもできるだけ、研修医に対しては、その人が医師として、人として成長できる環境をつくっていきたいと考えています。当院が大規模病院よりも利点があるとすれば、研修医の数が少ないために現場に出る機会が多いということが挙げられます。研修医が多いと見学で済まされることも、当院では実際に体験ができます。もちろんベテランがカバーしますが、ご自身が臨床現場でトップに立つことができるのです。私は若い医師が勉強面だけでなく、精神的にも困難を乗り越えて成長してくれることを願っています。

今後の展望についてお聞かせください。

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一つには、産婦人科と泌尿器科の復活をめざしたいと思います。現在、市内に産婦人科クリニックは少なく、市民のためにもまず婦人科の開設を実現させたいですね。泌尿器科も患者さんの高齢化に伴い、排尿疾患や腎炎などの増加が予想されますので、外来だけでなく手術ができる体制を整えたいです。二つめに、急性期治療を終えた後も患者さんとのつながりを持ち、安心して住み慣れた地域で暮らしていただけるように訪問看護ステーションの設置を予定しています。最終的には地域包括医療という形が理想で、急性期から回復期、そして自宅や施設までシームレスな医療を実現したいです。先にお話ししたように、当院は大規模病院ではないけれどもそれゆえにアットホームな雰囲気が持ち味です。患者さんにとっても職員にとっても、また研修医にとっても風通しの良い病院、そして何よりも市民に安心していつでも頼ってもらえる病院であり続けたいと思います。

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禰宜田 政隆 院長

1986年名古屋大学医学部医学科卒業。小牧市民病院、国立がんセンター、名古屋大学医学部附属病院での勤務後、米国オクラホマ留学。帰国後、名古屋市立守山市民病院外科部長。2001年西尾市民病院外科医長として着任、外科部長、診療部長、副院長などを歴任し2013年より現職。日本外科学会外科専門医、名古屋大学医学部臨床教授、医学博士。

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