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津島市民病院

(愛知県 津島市)

神谷 里明 院長

最終更新日:2021/01/27

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急性期医療を担う病院としての役割を果たす

名古屋市の西に位置する津島市、愛西市などを含む「海部医療圏」の人口は約32万人。その急性期医療を担う医療機関の一つが「津島市民病院」だ。医療圏内にある公的病院の間での協議を経て2020年、それまで440床あった病床を352床に再編、うち8割以上をHCU(高度治療室)7床を含む急性期病棟とし、第二次救急医療機関としての方向性を定めた。かねてより救急搬送される患者はできる限り断らず受け入れている同院。再編により、これまで以上に急性期医療に注力する病院としての責務を担うこととなった。神谷里明院長は「地域の皆さんに必要とされる、なくてはならない病院としてあり続けたい」と意欲を語る。自身は外科が専門で、現在は乳がん患者を多く診る。マンモグラフィもこの地域では早い時期に導入し、早期診断に努めてきた。がん患者の「トータルペイン」に配慮し、院全体で支える姿勢を大切にしているという神谷院長に、同院の特徴について話を聞いた。(取材日2020年12月18日)

2020年10月、病院を再編されたそうですね。

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はい。津島市、愛西市、弥富市、あま市、大治町、蟹江町、飛島村の「海部医療圏」にどの程度の病床数が必要かという議論は公的病院の間で以前よりなされてきました。当院では一時期、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟を含め440床を持っていましたが、近年この地域では回復期を担う病棟は比較的豊富になりつつあります。そのため回復期リハビリはそうした信頼できる病院にお任せして当院は急性期医療を担うとし、病床は352床に整理、そのうち約8割を急性期病棟に再編しました。緩和ケア病棟と、急性期治療を終えた方のための地域包括ケア病棟もあります。高次医療については、弥富市の海南病院はじめ一宮市、また名古屋市の基幹病院、大学病院にお願いしています。病診連携も重視しており、退院された方については開業医さんを主治医とし、必要に応じて当院から訪問看護師を派遣しています。

病院の特色や、来院する患者について教えてください。

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名古屋大学医学部などからのバックアップもあり、特に消化器系については内科、外科とも医師がそろい、新しい人員も増えて戦力になってくれています。胃がん、大腸がんにおいては低侵襲な腹腔鏡手術がメインです。また循環器疾患に関しては、当院は心臓血管外科を持っていないので重症の患者さんは第三次救急医療機関にお願いしますが、内科的な治療、カテーテル治療には積極的に取り組んでいます。このたび血管撮影装置を更新して、より鮮明な画像を得て安全性にこだわった治療が可能となり、脳神経外科の血管内治療でもフル活用しています。患者さんは、地域の方々の高齢化に伴い、脳血管疾患、認知症の方が増えていることが特色で、脳神経外科、脳神経内科でそれぞれ診療を行っています。この地域には5つの消防署があるのですが、脳卒中や意識障害などで救急搬送される患者さんははかなりの割合を当院で受け入れています。

先生のご専門についてもお聞かせください。

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私はもともと一般外科が専門で、甲状腺がん、胃がん、大腸がんなど頭頸部を除く手術に長年携わってきました。現在は乳腺・内分泌外科が中心で、私の患者さんは約8割が乳がんの方です。乳がんが疑われる方は来院したその日にマンモグラフィ、レントゲン、超音波検査を行い、場合によっては細胞診、針生検まで進みます。来院して1週間で検査結果が出て診断がつくようにしているのです。中には、がんが進行した状態で来られる方もおられますが、今はホルモン治療、抗がん剤治療などいろいろな方法がありますので、ご本人の本来の寿命に近いところまで人生を全うしていただきたいと思って治療にあたっています。また、外科の医師として若手の医師に手技を伝え、育成することも私の仕事。手術中は自分の目と手でしっかり学んでほしいと思い、できるだけ手出し口出しをしないように気をつけています。

普段どのようなことを心がけていらっしゃいますか?

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胃がんや大腸がんなら5年の経過観察、乳がんなら10年の経過観察が続き、再発する場合もあるので10年以上の付き合いになる患者さんは少なくありません。緩和ケアは、がんという診断がついた時点から始まるといわれており、トータルペインというのですが、体の痛み、精神的な痛み、社会的な痛みなど心身ともにつらい状況の患者さんに寄り添っていくことを心がけています。具体的には積極的ながん治療と並行して、その方の不安や望みなどお話をよく聞くようにしています。外来でもできるだけ時間を取っているのですが難しいときもあり、看護師や薬剤師が後でお話を聞いたり説明したりすることもありますね。患者さんによっては医師よりそのほうが話しやすいということもあるようです。今の医療は医師1人でできるものではありません。患者さんを中心に、看護師、薬剤師、技師、さらに福祉や介護分野の人との協力、情報共有が重要だと思っています。

今後の展望についてお聞かせください。

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市民病院として地域に根差した病院をめざしていますので、地域の方々から信頼され、必要とされる病院でありたいですね。そのために、地域の方々が何を望んでおられるのかきちんとくみ上げて、それに対してできるだけ早めにお応えできるよう体制を整えていきたいです。当院は、約32万人を抱える「海部医療圏」の中で急性期医療を担う病院として位置づけられますので、他の病院と提携・役割分担し、その任務を果たしていきたいと思います。その中で、患者さんの立場に立って物事を考えることを常に忘れずにいたいですね。私は当院のスタッフには、「仕事は楽しく」と言っているんですよ。嫌々やっていてはそれが患者さんにも伝わってしまいます。不安を抱える患者さんに少しでも明るい気持ちになっていただけるように、医療スタッフが楽しそうに働くことは大切だと思っています。

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神谷 里明 院長

1983年名古屋大学医学部卒業後、名古屋第一赤十字病院にて初期研修を終え、名古屋大学第一外科腫瘍研究室勤務。その後、静岡厚生病院、安城更生病院での勤務を経て1999年津島市民病院着任。甲状腺がん、乳がん、胃がん、大腸がんなどの手術に携わり、現在は乳がん、甲状腺がんをメインとする。副院長兼外科統括部長を務め、2017年より現職。

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