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医療法人仁精会 三河病院

(愛知県 岡崎市)

大賀 肇 理事長

最終更新日:2020/11/25

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各機関と連携を密にトータルに行う心身支援

岡崎駅より車で10分程。自然あふれる広大な敷地に立つスタイリッシュな外観の「三河病院」。「心ある医療」を理念に、地域の精神科医療を支えてきた歴史ある医療機関。2019年、開業80週年を迎えるにあたり、大々的なリニューアルオープンを行い新しく生まれ変わった。児童・思春期病棟の新設、カウンセリングルームや作業療法室・屋内運動場など施設の充実、150床の入院施設を備え、児童から高齢者まで幅広い症例の急性期入院から外来、訪問看護、リハビリテーションまで継ぎ目ない医療を提供している。また、同院が中心となり、福祉や行政、教育機関と連携を密に取りながら、理想とする地域医療の実現をめざす。「患者さんがその人らしく望む場所で生活できるようサポートしていくこと。導く、並走する、見守るなど最適な関わり方で支援をしていくことがモットー」だと語る大賀肇理事長。目まぐるしく変わる時代の流れを敏感に察知し、地域から求められる新しい医療サービスの在り方に構想をめぐらす、いわゆるアイデアマンだ。そんな大賀理事長から、医療への想いや今後の展望について語ってもらった。(取材日2019年12月12日)

今年80周年を迎え、リニューアルオープンをされたそうですね。

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1939年に創業し、ちょうど今年80周年を迎えました。当初は岡崎脳病院という名称でしたが、1943年、今の「三河病院」に改名、1955年に法人化したんです。そして、新元号スタートと重なるいいタイミングで今年の5月にリニューアルオープンいたしました。以前の病棟をすべて壊しての大改装ですから、先輩方から「この時代に思い切ったね」と言われましたが、西三河地域は今後しばらく人口が増えるでしょうし、病院を運営していくにあたりまだまだ可能性の大きい地域だと感じています。それに、私だけでなく一緒に医療に携わっている人たちの期待も含め、新しい環境で自分たちのイメージする医療を実現したいという強い思いがありました。実は、病院内のベンチやテーブル、スタッフが身に着けているネームプレートは、以前の病院の敷地内に生えていた木を生かして製作したもの。素朴な木の温かみを感じていただけたらうれしいですね。

児童精神科に注力される背景にはどんなことがありますか?

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リニューアルにあたり、私の専門である児童精神科を新しい基軸として設置し、入院病棟では30床の児童・思春期の専用病床を備えました。入院設備のある児童精神科は愛知県内でもまだ少ないのですが、地域のぜひやってほしいというお声やスタッフの賛同が背中を押してくれました。子どもたちの心の問題、家庭の中に閉じ込められていた問題を社会で共有しようという流れが強くなっている昨今、行政や社会施設だけで解決するには難しい時代になってきています。そんな中、医療がいかに積極的に協力していけるかが重要ではないでしょうか。当院には、豊橋、豊田、蒲郡、刈谷、知立、衣浦など市内だけでなく遠方からも多くの方が来院してくださいます。来年度には、児童精神科の医師が2人加わる予定でいますので、心身のことで悩まれるお子さんや保護者さんを以前より増してサポートできたらと思っています。

患者の年齢層が幅広い貴院の特徴は何だとお考えですか?

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入院前の外来から退院した後も切れ目なく、患者さんの生活を支えるために、チームで患者さんを診ていくこと、地域の連携をしっかりもつことをポリシーにしています。院内では、ソーシャルワーカーや管理栄養士、臨床心理士、作業療法士やリハビリテーションなどの部門を一つに束ねてトータルで支援する「くらし支援部」をつくりました。そして、医療がすべて抱え込むのでなく地域の福祉や行政などと連携を取りながら、外来や入院中から患者さんの生活の中に入っていき「その人らしく生きるのを病院で支えていく」ことをめざしています。今では、支援者の方たちに入院前や病棟での面会に一緒に入ってもらったりしながら、1日何件も地域の方を招いてカンファレンスを行っています。入院中から専門家が関わり、退院後の生活をどうしていくのかを一緒に考えながら、再入院しないようにすることが重要だと考えています。

病院内の施設にもさまざまな工夫を凝らしておみえですね。

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病棟から隣接する庭園はちょっとした憩いの場。高齢の方が病院に閉じこもっていては気持ちが滅入ってしまうので、散歩の目標にしていただけるよう遊歩道になっています。また、敷地内に屋内運動場をつくったのは、児童・思春期病棟に入院されている元気でエネルギーに満ちあふれているお子さんが、発散でき気分転換になればと考えたからです。言葉でのやりとりが難しいお子さんは体を動かしてのコミュニケーションが大事ですが、近隣の体育館を借りていた頃は、行動制限のあるお子さんを連れていけないという問題もありました。あとは、昼休みや勤務後にバスケットボールやバドミントンを楽しんでいるスタッフもいますし、地域の方を招いての講演会や、福祉の方に開放し利用していただいています。この屋内運動場は、患者さんのためでもあり、スタッフや地域の方々のためでもあり、病院との距離間を縮め垣根をなくしていくために役立っていますね。

これからの展望と課題について教えてください。

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患者さんから「働きたい、学びたい、生活の困りごとを相談したい」など何かについて相談をいただいた時に、各機関に患者さん自身が出向くようアドバイスするのでなく、当院で生活全般のお手伝いをできたらと考えています。1ヵ所でアクセスすればそこですべてかなうワンストップショップみたいなものでしょうか。どなたでも気軽に来てくださればスタッフがサポートしながら、当院で患者さんのことを解決していけるような形です。また、相談業務を充実させ、患者さんが自立して生活できるような場として何か提供できることはないだろうかと常に構想しています。福祉、行政、学校、グループホームなどいろいろな機関とのつながりをもっと密にし、垣根を感じないレベルにまで関係を構築できたらいいですね。積極的にこちらからアクセスしていって「ぜひ一緒にやりましょう」と働きかけ、地域医療の発展のために尽力していくことが今後の課題です。

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大賀 肇 理事長

1997年愛知医科大学医学部卒業後、半田市立半田病院小児科、名古屋大学医学部精神科の研修医を経て、2003年三河病院精神科に勤務。2013年同院の理事長として就任し現在に至る。児童精神科を専門に研鑽してきた経験を生かし、2019年には児童・思春期病棟の新設に尽力。新しいアイデアの導入を積極的に行い、行政や民間の各機関と連携を取りながら地域医療の発展をめざす。日本精神神経学会精神科専門医。

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